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V65 再生記 <10>

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今回は車体まわりに取りかかります。
まず上の画像の左上ですが、センタースタンド・サイドスタンドの接地部分を大きいプレートに変更し、アンダーフレームのサイドスタンドステーを強化したところです。
 
サイドスタンドステーを強化したのにはわけがありまして、元々モトグッチのサイドスタンドはあくまでもメインではなくサブスタンドとしての使用を前提としていたので、あまり強く作られていませんし、スタンドを出した状態で固定できず、荷重を抜けばパタンと戻ってしまいます。長く離れるときはセンタースタンドを使うこと!というメーカーの意思表示だったわけですが、今回は例えばキャンプ地など柔らかい土の地面でセンタースタンドが立てづらかったりするときにサイドスタンドが使えるようにしました。またセンターもサイドもスタンドが土にもぐらないように接地部分を広くしたのです。
 
ステップは、フロリダには大きなラバークッションのついたものが使われていましたが、振動軽減の効果もあったのでしょうけれどダイレクト感に乏しいラバーは外しました。そして裸になった丸パイプに、スペインのモンテッサのトライアルモデルに使われていた頑丈なステップがリパラーレにありましたので、それを熔接してみました。左下の画像はビフォー&アフターです。
 
それと、前回のステアリングヘッド等の組みつけに続いて、フロントフォークも取り付けました。V65の標準、ステアリングヘッド下端からアクスルシャフトセンターまで545mmで組みました。しかしアメリカン・モデルであるフロリダのフロントフォークはもっと長いので、ご覧の通り突き出しが多くなってしまいました。さてさて・・・・・


 
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続いてリアスイグアーム。この車体には画像のスペーサーが入っていませんでした。センター出しの"肝"になるのに・・・・・。
 
前にP系はV系と違ってスイングアームがトランスミッションケースに取り付けられると書きましたが、もう少し書くと、V系が「外側に位置するフレームにネジが切ってあってピボットボルトでスイングアームを締め付ける」のに対してP系は「外側に位置するスイングアームにネジが切ってあってピボットボルトでトランスミッションケースを締め付ける」という違いがあるのです。
 
さらに、V系はテーパーローラーベアリングが入っているのでピボットボルトによってベアリングを一定のトルクで左右同等に締めつつ、ピボットボルトの頭が左右同じ高さになるように調整することで、スイングアームのセンター出しをしています(メンテナンスブック194Pをご覧ください)が、P系ではボールベアリングが使われていてスラスト方向の仕事はしていません。スイングアームの右の内側のみに入れられたスペーサーをはさんでいるスイングアームとトランスミッションケース(正確にはケースに入れられているボールベアリングですが、以降省略)に密着させることによって位置決めをしています。つまりこの車体はスペーサー無しで「雰囲気」で組まれてたということになります。いろいろ残念ではありますが、どんどん治していきましょう!
 
で、位置決めの方法、少し長くなりますが・・・・・
まず左右のピボットボルトを仮組セット、もちろん右の内側にスペーサーを入れておきます。あまり右は締めこまずにおいて、左のピボットボルトを締めこんでいくと、スイングアーム全体が左へと寄せられていきます。そして締めこみが進んでピボットボルトの反力が強くなったら、右側のスイングアーム・スペーサー・トランスミッションケースがピタッと密着したと判断できます。ちなみにボルトが締めこまれたことを「反力が・・・」という書きかたをしたのは、スイングアームがアルミ製なのである程度開いていくため、締め込みの最後にカチっと締まるような感触は得られないからです。
 
位置が決まったところで、右側のピボットボルトをベアリングインナーレースに着座するまで締めこんでいきます。先に書いたように締め過ぎがあるので注意!締めすぎるとすき間が生じます。
右側がきちんとセットされたあと、あらためて左側のピボットボルトも一度ゆるめてから右と同じようにベアリングインナーレースに着座するまで締めこんでいきます。やり直すのは、最初の締め込みでは左にきっちり寄せるために若干余分に締めていると考えられるからです。スイングアームの変形に注意してください。
 
ちなみに、スイングアーム組み付け時、ドライブシャフト表面にグリスを塗っておきました。P系はこのエリアにオイルが回らない構造で、スイングアーム内でひそかに真っ赤に錆びてることが多いので・・・・・。
 
だいぶ長くなりましたが、次にタイヤの組み付け。
アクスルナットを締める際にはスイングアーム後端のクランプを締めてアクスルシャフトを固定しなければなりません。が、アクスルナット締め付け後に一度緩めてから締めなおさなければなりません。なぜならナットが緩んでる位置から締めこんだ位置まで・・・・・画像の場合アクスルシャフトが右側に引っ張られている可能性があるからです。
おわかりでしょうか?フロントフォークも同様です。アクスルナットの反対側のクランプを締めてからナットを締めると、当然左右のフロントフォークが内側に引っ張られた状態になる恐れがあります。是正して、アクスルナットと2本のクランプボルトを適正な順番で締めていかなければなりません。そうでないとディスクブレーキの場合、キャリパーとディスクのセンターがずれてしまいます。
 
そしてリアサスペンションは新調しましたが、新品であっても使用する前にダンパーシールにシリコングリスを塗っておくとシールを傷めません。


 
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さあもろもろセットして、久しぶりに屋外に出せる状態になりました。タンクは中古を取り寄せて交換しました。
 
実は以前、親しいお客様が「なんでカリフォルニアがあるのにもう一台アメリカンなんですか?」と怪訝そうにしていらっしゃいましたが、もちろん2台似たようなのは要りません。アメリカンタイプではないことはこの画像でおわかりいただけると思って載せました(笑) ご心配、申し訳ありませんでした。
 
 
mas

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V65 再生記 <9>

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ついに、ようやく、やっとフレームに載ったところです。
今回は完全にバラバラになっているのでなおさらですが、仮にフロントフォークやその他装備品がついていたとしても、このエンジン&ミッションとフレームをあわせるのはわりと容易です。ただし画像のようにエアクリーナーケースを先にセットしておくと作業時間節約になります。
 
V系同様にストレートパイプを中心に構成された美しいダブルクレードル・タイプです。ただ、後端部はトランスミッションを介して接続され、スイングアームもトランスミッションに取り付けられてるのがV系(いわゆるトンティフレーム)とは異なる特徴です。


 
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このベース車輌のフロリダにはエンジンが載っていなかったので、それに伴って失われた配線がありました。また点火系はフロリダはトランジスタイグニッションであったのをあえてポイント点火を選択。ハンドルスイッチを換えたり、イグニッションキーやヒューズ配列を自分好みにしたり(例えばパーキングポジションを廃しスモールランプやウィンカーは作動させずにアクセサリー電源のみが使えるように変更など)。このため、あらたに配線を作る必要がありました。
 
ただ例えばいつの日かこのV65が私の手を離れたのち誰かが見たときに、いかにも改造車みたいな切った貼ったのぐちゃぐちゃ汚い配線にしたくなかったのと、できればモトグッチに手馴れたメカニックが見ても改造に気づかないような自然な仕上がり(コードの使用色も含めて)にしたかったので手間はかかりました。恐らく自己満足の域を出ないことでしょうが。
 
ちなみに既存の配線を使う場合も含めて、全ての圧着端子を新しいものに打ち換えて、全てハンダ付けしました。このあたりは若干は変態の領域に踏み込んでいるかもしれません(笑)。
ただ、この一連の作業を通じて感じるのは熱や油や摩擦などの外的要因が無ければ配線の損傷が少ない(皮膜・芯線ともに)ことです。もちろん電気部品は経年変化とともに抵抗が増すなどして性能が落ちるのでしょうが、たまに電気系トラブルが重なったからワイヤーケーブルを全て新調したいとおっしゃる方がいらっしゃいますけど、そこまでする必要があるのか疑問に感じます。丹念な故障探求と接点のケアに勤めたほうが良いように思います。
 
付随して、ボンディング・アーシングすればさまざまな電気要因のトラブルが一気に解決すると考える方もいらっしゃるようですが、元の構造が悪くない限り、言われるほど効果があるように思えません。それどころかリパラーレに持ち込まれたモトグッチの中にはボンディングパーツをつけているわりには、バッテリー端子の締め付けが甘かったりする例もありました。
自分自身ボンディングの有無による違いを確かめて書いているわけではないので書くには弱いかもしれませんが、既存配線の接点を丁寧にチェックするなど基本を見直すほうがよほど近道のように思えてなりません。
 
V65の配線に話を戻しまして、配線の美しさという点で・・・・・近年はカーナビをつけるライダーも増えまして、その他多様なオプション機器のために電源が必要になりましたが、私はどうもバッテリー端子にぐちゃぐちゃたくさんのコードがきてる光景が容赦できないので(笑)、画像のごとくシンプルになるよう整備or整理しました。
 
画像の配線図2枚は改造前後のもの。改造後(下)のほうがすっきりしているのが自慢です!?これも自満かな?(自己満足)
 
この配線製作と整理、考える時間も含めて予想よりもかなり時間がかかりまして、残業6晩を費やしてしまいました(笑)


 
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上はステアリングステムの組みつけです。
P系フレームではステアリングベアリングは、V35・V50・V65から始まりV35イモラ・V50モンツァまではボールベアリングを、V35イモラ兇筍孱僑汽薀螢以降はテーパーローラーベアリングを使用しています。
 
画像はベアリングのアウターレースを専用工具で圧入し、グリスをたっぷり塗りこんだインナーをセットするところです。そしてここからはボールベアリングとテーパーローラーベアリングとで構成部品と組み付け方が変わります。
 
文章だけでは説明がかなり長くなってしまうので詳細を書きませんが、ボールベアリングの場合は最後に締めるのはアッパーブラケットの中央のクランプボルトであり、テーパーローラーベアリングの場合は最後に締めるのはステアリングステムのトップのナットになります。
位置決めの仕方、各部に余計な応力がかからないように固定させるには?を考えて組むとそうなるのです。・・・・・と、偉そうに書きましたが、私ははるか昔、自分で考える前に師匠である志賀に教わってしまいました(笑)
 
ちなみに以前「天然ステダン」で触れましたが、ステアリングベアリングの損傷・磨耗・弛みは自然なハンドリングを阻害します。定期的なチェックと適切な部品交換を意識してください。ボールベアリングの場合、玉だけの交換では不十分です。カップなどのメッキが傷んでいる場合が多いので、思い切って全て交換することをお勧めします。
 
 
mas

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V65 再生記 <8>

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今回は小物ネタその1です。
 
まずはキャブレター。今回、エンジンが無い車体を買ったのでキャブレターはついていませんでした。イタリアで中古のエンジンを手配する際に中古キャブレターを買うこともできたのですが、それはせずに新調することとしました。
 
ありがたいことにデロルトは戦前のモデルについていたタイプでも新品を供給してくれています。ですからV65の時代なら余裕のよっちゃんなのです。
 
古いモトグッチを整備している方はあちこちいらっしゃると思いますが、覚えておいてください。もしキャブレターが欠品していたら新しいキャブレターを使うべきです。中古のキャブレターなんてアテになりません。キャブレターは精密機械です。ゴム類が硬化・劣化していたり、ジェットやニードルやアトマイザーが腐食していたり(これらは表面が曇って見える、ぐらいの腐食でも大きく走りに影響します)、本体ボディやスロットルバルブが磨耗していたり、これらを全てケアしなければならなくなったら新品を入手したほうが安上がりになると思います。
 
で、イタリアから届いた新品キャブレターですが、さっそくオーバーホールしました。念のためジェットなどのサイズが合っているかもチェックしつつ、洗浄し、ボディに目詰まりなどないかもチェック、すべて自分の眼でチェックしました。今回デロルトの工場から出たまんまの、ビニール袋に入った新品でしたが、ジェット類が薄汚れていました。
 
再生記<7>で新車納車整備に関連して書きましたが、キャブレターも要チェック箇所でした。新車は工場での完成検査でエンジンをかけて各部の作動チェックをしますので、キャブレターにガソリンが入ります。そしてそのまま梱包されて海外に出荷すると、時間経過とともにガソリンが揮発して添加剤などがフロートチャンバー内に残ってトラブルの原因となることがあったのです。
 
ちなみにEFI車であっても、モデルにもよりますが納車時にするべきチェックがあります。組み立て工場のラインでは「だいたい」の調整はしてありますが、やはり「慎重な」調整をする余地があるのです。モトグッチリパラーレでは必ずチェックしていましたし、他店で販売されたモトグッチでも整備に入った車輌はチェックしています。もちろん整備代金はいただきますが。


 
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続いて点火系。
エンジンを探すにあたり、ポイント点火車であることを条件の一つにしました。つまりポイントを付けることができるカムシャフトのついたモデルであることが求められます。650ccのモデルではラリオの後期型やフロリダのエンジンは対象外になりました。
トランジスタ点火もチョイスできるのに時代に逆行していますが、構成部品の総額が安いのと、出先のトラブル発生時にポイント点火のほうが対処できる可能性が高いのもありますが、やはりちょくちょくポイントの整備をするのがまったく苦にならない、むしろ楽しいし、ビシッと調整が決まったときの快調さが捨てがたく(笑) ポイント点火にしました。
 
上の画像は新しいコンタクトブレーカーを組むところです。プライヤーでスプリングを潰すように挟み込んでいますが、これは新品のコンタクトブレーカーのスプリングが強いためカム面への密着が強すぎてコンタクトブレーカーのヒールの磨耗が早くなったりするので、反発力を弱めるためにやっています。私がこの仕事を始めたころ教わったことですが、今でも変わりなく強いです。
 
下の画像に移ります。
アドバンスガバナーで進角をさせているのですが、2つのウェイトに2本ついているリターンスプリングは強さが異なるものが使われています。エンジンが回ると遠心力でウェイトが開くことによってカムの角度を変えて点火時期を進角させるのですが、ひとつのウェイトには軽いスプリングをつけて低回転からまず作動させ、高回転になると重いスプリングをつけたもうひとつのウェイトがゆっくり開き始めることによって、回転域に応じて進角を変化させているのです。
 
スプリングにガタが出ている、と勘違いしてスプリングがピンにかかる部分を曲げて設定された遊びをゼロにしてしまう方がいます。重いスプリングは低回転では軽いスプリングが伸びるのを邪魔しないように遊びを持たされていて、いくらかウェイトが開いたあとから作用し始めて、進角の後半をコントロールしているのです。
 
ポイントもアドバンスガバナーも、シャフトなどには丁寧にグリスを塗って組みます。特にアドバンスガバナーのカムが固着すると正常な進角ができずにエンジン不調の原因となります。ここをグリスアップするにはポイントをプレートごとはずさなければならないので手間ですが、面倒がらずに毎回やってあげてください。
 
また、コンタクトブレーカーのヒールにはシリコングリスを、回転するカム面とヒールのあいだにシリコングリスが入るように塗ってあげるのも大事です。ヒールが磨耗すれば点火時期はずれていきますし(多少の磨耗は避けられませんが、早期磨耗すればしょっちゅう点火時期調整をしなければならなくなります)、カム面が磨耗したらアドバンスガバナーを交換しなければなりませんが、ちなみにアドバンスガバナーは現在入手困難です。


 
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最後の画像はセルモーターのマグネットスイッチをオーバーホールしたところです。作動確認は良好だったのですが、後顧の憂いをなくすため一応開けてみます。コミュテーターとブラシは傷も汚れも無くキレイなものでした。
 
しかしマグネットスイッチは、スイッチ接点が荒れていました。画像はビフォー&アフターになります。
この接点が、まさにセルモーターに大電流を流し込むところなのです。始動時のトラブルで、スタータースイッチを押したときにセルモーターがガチャッと音をたてたにも関わらず回らないのは、バッテリーが弱いか、バッテリー端子の締め付け不足か、このマグネットスイッチの接点が荒れているのが主な原因です。
 
なお、リレーがカチッと作動したのにセルモーターがなにも反応しないのは上記接点の導通不良のほか、リレー自体とリレーからセルモーターまでの配線等が疑わしく、リレーの作動音すらしないときはスタータースイッチからリレーまでが疑われます。
 
ちなみにルマン1000の後期から使われ始めたヴァレオ製のセルモーターは、それまでのボッシュ製やルーカス製と違って遊星ギアを使うことで小さい電力で始動することが可能になりました。ただしその構造の違いから上記以外に、遊星ギアとモーター部を隔てる金属製カバーが外れてショートを起こすことも起きていますので、動作不良の際はチェックしてみてください。
 
 
mas

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TEATRO LA GUZZI <6>

映画で出会えるモトグッチ 6(連載10回予定)
 
当劇場ではモトグッチが登場しているイタリア映画をご紹介しています。一部イタリアを舞台にした外国映画なども含まれています。画面をサッと横切るモトグッチを探して、イタリア映画を観てみませんか?
 
ざっとですが、以下のように分類してご紹介していこうと思います
 
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グルッポ アー (Gruppo A)主人公とからんでいるか、登場時間が多い
 
グルッポ ビ (Gruppo B)短いがそれなりにしっかりと写っている
 
グルッポ チ (Gruppo C)ほんの一瞬だけ
 
アルトリ(Altri)その他番外
 
あくまでモトグッチを中心にご紹介していきますので、イタリア映画論みたいな内容には期待しないでくださいませ!!なお、たぶんに個人的感想に基づくものであること、また若干のネタバレが含まれることをご理解くださいませ!! massi


 
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新宿駅の新しいバスターミナル「バスタ」のニュースから・・・・・
でも、上の画像は警官が来て「バスタ!!」と叫んでいるわけではありません。これから始まるモトグッチ・パレードの警備に来てくれているのでした。



★グルッポアーから、「ああ、もうやめて!」

 
「ミニミニ大作戦」 (The Italian job) 1969英
        ASIN: B000EWBUO4
        EAN: 4988113756525

監督 ピーター・コリンソン
出演 マイケル・ケイン、ノエル・カワード

新宿駅に新しくできたバスターミナル「バスタ」がテレビで連呼されて思いついたテーマ「バスタ」ですが、これはイタリア語でbastare(=充分である)という言葉を元にした「バスタ!」「もうけっこう!」「やめて!」という意味でよく使われる言葉なのです。
 

ミニミニ大作戦(近年公開された新作ではありません)において、あまりにもモトグッチやフィアットが無残にやっつけられるので「バスタ!」「もうやめて!」のメッセージをこめて・・・・・
 
イギリスの組織がフィアット社に運び込まれる金を奪うため、トリノの街を大混乱に陥れる。イタリア車が次々とやられていく点では不満な映画。またオープニングのつづら折れの峠道を見ると、北イタリア製の車が足腰をしっかり造られてきたわけがわかるような気がする。

フィアット社の金輸送隊を守る白バイは交通警察のファルコーネ・ツーリズモ。階段を駆け下り、ジャンプし、スライデイングし、と様々なアクションシーンを演じてくれる。ただしコテンパンに負ける側だが。
 
 
★グルッポビーからは、「かんべんして!」


 
「黒い法廷」 (Corruzione al Palazzo di giustzia) 1972伊
 

監督 マルチェッロ・アリプランディ
出演 フランコ・ネロ、フェルナンド・レイ、ウンベルト・オルシーニ
 
検察や政界に食い込む悪に翻弄される判事達を描いている。冒頭、V7ポリッツィアが登場する。また途中、チンピラ二人組が乗っているチョッパーのベース車両はなんだろう?
 
カルロ・グッチ設計のハイドロリック・サス(液圧=油圧サス)装着モデルで、これは1947年からの採用。さらに赤が基調のやや丸いタンクは1952年頃からの採用。候補にはアイローネ・アストーレ・ファルコーネなどの1952年以降のバージョンが挙がるが、ひどくカスタムされているので(かんべんして!!!笑)、これ以上の判別は不明。この映画の製作年から考えれば、最も遅く1967年まで製造されたファルコーネと考えるのが妥当ではなかろうか。
 
 
★グルッポチからは、「もうたくさんだ・・・」


「アパッショナート」 (Senza Pelle) 1994伊
 
          ASIN: B000657P9S
          EAN: 4988003968137
 

監督 アレッサンドロ・ダ・アラトーリ
出演 キム・ロッシ・スチュアート、アンナ・ガリエナ
 
神経障害を持つ繊細な青年サヴェリオ(キム・ロッシ)が人妻ジーナ(アンナ・ガリエナ)に片思いを寄せる。双方の家族を巻き込んだ苦悩を描く。サヴェリオの報われない愛を見ているとどうしても「もうたくさん・・・・・」気持ちが重くなっていってしまう。
 
映画後半、2人が歩くローマの街角。交差点に置かれている青のモンツァだ。
 
 
 
mas

V65 再生記 <7>

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今回は足回りなどをまとめてご紹介します。
ブレーキポンプを前後とも、ブレーキキャリパーも3つ、オーバーホールしました。
 
ですが画像をご覧の通り、キャリパーのボルトの一部は錆びて緩まず、強硬手段をとることとなりました。で、ようやく分解してみれば中の汚いこと!!これはほとんどブレーキフルードの交換をしていない証拠です。ちなみにブレーキホースも過去交換した気配が無かったので全交換です。
 
さらに、ピストンにも錆が出てコーティングが剥がれていました。各部オーバーホールやホースの交換は想定内でしたが、ピストン交換は少し痛かったです。ブレンボのキャリパー、現行モデルはダストブーツが付いていないものもありますが、この車輌のころはダストブーツがあり、ピストンが露出したから錆びたというわけではありません。ブレーキフルードを定期的に交換していればこれは防げると思います。
 
ブレーキフルードは吸湿性が高く(DOT4以下のグリコール系のもの)、そのためブレーキ内に水分が混入しても、ブレーキフルードに吸われるため沸点が低い水という姿のままでいることはなく、ゆえに極端な制動力低下を防げるのですが(ブレーキライン内で水が蒸発して気体になるとエアが入ったことと同じになるので)、ブレーキフルードを長く使いすぎると吸湿も進んで接している各部品を傷めやすくなります。また吸湿したブレーキフルード自体も沸点が下がってしまいます。


 
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上の画像は前に撮っておいたものですが、この車輌はまだ納車から最初の車検も受けていないのにリアブレーキのリザーバタンクの中が真っ黒でした。いざ交換作業を始めると黒いブレーキフルードがいつまでも出てくる。ブレーキライン内のブレーキフルードまんべんなく劣化していたのでした。
 
新車を売って、お客さまにお渡しする前にロクな整備をしていない証拠です。モトグッチリパラーレは正直、新車販売数はものの数ではありませんが、買っていただいた方々、伝票を引っ張り出してみてください。納車整備料をきちんといただいておりますが、そのかわり、納車整備の中には全ての油脂類とブレーキフルードの交換が含まれています。
 
国産車ではありません。メーカーの工場で完成してからしばしのプール、箱詰め、港へ陸送、船で日本へ、もろもろの手続きを経て、お客さまがついたら納車。各オイルだって何ヶ月か経っています。2度の赤道通過だってしています。ましてやブレーキフルードは車輌組み立て時に入れられるのではありません。ブレーキメーカーでマスター・ホース・キャリパーが連結されてブレーキフルードも入れられて納入されるのなら、もっと時間が経過しているはずです。
 
この真っ黒ブレーキフルードの車輌は納車整備料は支払われていたのでしょうか?こういう車輌に接すると、新車の初期クレームのなかには販売店の納車整備で防げるものがたくさんあるような気がします。メーカーにとってもこういった面の改善は、遠回りであっても販売促進にも利すると思うのですが、まあ、たくさん売ってから言ってくれ、と言われそうですね。
 
ともかく、ブレーキフルードの定期的な交換は私のV65のような余計な出費を防ぐことにもつながります。ブレーキの整備は無視していてもそこそこ効きますし、車検も受かってしまいます(ただし車検合格は次の2年間の安全を保証するものではありません)。でも無整備はいつか必ずなにかのかたちでしっぺ返ししてくるはずです。


 
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いろいろ不具合の多いこのV65ですが、フロントフォークのダンパーはまだ機能してくれていました(ホッ)。でもそのかわりインナーチューブに錆が浮いていたので悲しいかな・・・・・交換します。インナーチューブの画像で右の2本が古いもの、左が新品です。ポチポチ浮いた錆が見えるだけのどうでもいい画像ですが、出費が大きかったので載せずにはいられませんでした(笑)
 
さて問題なのは右上の画像です。差し示しているカラーが一部潰されていました。
これはアウターチューブ内の様子を考えずにおおざっぱに組んだあと、切り欠きの位置があっていないにも関わらずドレンボルトを強引にねじ込んだ痕跡です。そうならないように、ドレンボルトを位置決めとして活用しつつ、本締めの前にはボルト穴から切り欠きの位置が正しく収まっているか確認する、など留意が必要です。
 
またアウターチューブとダンパーを結合するには下から10ミリ径のボルトで締めるのですが、アウターチューブのボトムのボルト穴には当然「遊び」があります。なのでアウターチューブとダンパーの中心が多少ずれて組まれることも可能なわけで、そうなると一見ちゃんと組まれているようでも、インナーチューブとアウターチューブが正確に平行に作動せず、ストロークさせるとフルボトムに近づくほど摩擦が増えてしまいます。
 
ではどうやってセンターをそろえて組むか?
ダンパーはインナーチューブの上から、アウターチューブは下からセットしてボルトで連結されます。ダンパーはまだインナーチューブにねじ込まずにボルトは手で締める程度の仮組みをします。当然組む前に画像のようにオイルシールを傷めないようにオイルシールとカラーにたっぷりグリスを塗ります。インナーチューブのボトムにはモリブデングリスを塗りこんで、オイルも塗っておきます。カラーの切り欠きが回ってずれないようにドレンボルトも仮に入れておきます。
 
仮組みしたら、アウターチューブをフルストロークさせます。・・・つまり縮めるわけですが、インナーチューブにまだねじ込んでないダンパーも一緒に上へあがっていきます。最後にインナーチューブのボトムがカラーにぶつかりますが、その時センターが揃っていなければゴスッと違和感を感じることができるはずです。カラーはフルボトム時にインナーチューブの底つきを防ぐとともに、テーパー加工されているのでそれを利用してセンター出しができるのです。つまり仮組み状態なので何度かコンコンと押してやれば、カラーが(そしてダンパーロッドのボトムが)アウターチューブ内で正しく中心に収まります。そこで初めて本締めするのです。本締めしたら念のためドレンボルトを一度抜いて切り欠きがずれていないか確認します。
 
こうして組めば、ストロークさせると気持ちよく動いて最後にトンと軽やかな音を出してボトムするはずです。余分なグリス等を拭き取り、フォークオイルを規定量入れてダンパーも締め込んだら完成です。


 
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続いてホイールです。
フロントのリムは表面が傷んでいたので再メッキして、スポークも新調しました。リアは・・・・・・16インチリムがついていたのですが、用途に即したタイヤの選択肢のこともあって17インチに換装しました。現行V7のリムを取り寄せて、こちらもメッキしました。ちょっと出費がかさみましたが、見た目だけではなく耐候性が増すことに期待しての決断(笑)でした。
 
少し無理するとグニャグニャ狂ってしまう自転車のホイールと比べて、オートバイの硬いリムはざっと組んだだけでそこそこのカタチになりますが、もちろんその先は縦振れ、横振れを丁寧にとっていきます。ここはもう、丁寧に、と言うしかありません(笑)


 
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ホイールが組みあがったら、チューブレス加工をしました。「えっ、そんなことできるの!?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実は以前お客さまから「こういうキットがあるから」と依頼されてやったことがあったのです。こういうやり方があるのか〜!というアイデア商品でした。
 
以前よりリパラーレではチューブが入っていたキャストホイールのモデル(ルマン1000以前、ほとんどがそうでした)にはチューブレス化することをお勧めしてきました。リムに大きな傷など密着性が乏しい場合は除きますが、まず問題はありません。チューブレス化する最大のメリットは、パンクしても瞬時に空気が抜けないことです。出先でパンクに気づいても刺さった異物を抜かずに置けば、空気の漏れはゆっくりなのでなんとか走り続けることができます。もちろんそれはあくまでも家まで、整備工場まで、安全地帯まで、という非常走行です。それなりに注意も必要です。
 
そしてこのチューブ用スポークホイールのチューブレス加工、私はいまのところ4本実施して成功率100%ですが、それなりに神経を使う、雑にやれば失敗もあり得る加工のように感じました。
またこの先タイヤ交換をしたりとか、さまざまに使用するうちに気密性能が変化しないかどうかもまだ体験していませんので、いまの時点で「リパラーレ推奨」ということでご紹介するものではありません。
 
極端な話、こういった加工を施すと何かの場合にメーカー保証が受けられなかったりということも考えられますので、ご依頼があればお受けしますが、いろいろご心配な方はやめておいたほうが良いかもしれません。
 
画像の最後はホイールのラバーダンパーを交換したところです。P系はファイナルギアのフランジがこのラバーダンパーに差し込まれています。そしてV系にくらべてよく磨耗・変形します。
ラバーダンパーはチェーン駆動・シャフト駆動ともにだいたいの市販車に装備されていますが、チェーン自体にも多くの遊びがあってショックが緩和されるチェーン駆動に比べて、シャフトドライブ車は駆動力がよりストレートにホイールに伝達されるので、ダンパーの仕事が重要です。フランジの爪を2つのラバーダンパーで挟み込むようになっていますが、おもに進行方向側のラバーダンパーがよく減るようです。タイヤ交換のときなどにチェックして磨耗が進んでいたら交換しましょう。
 
タイヤ交換時のチェックといえばホイールベアリングも同様ですが、ホイールベアリングがよくイカレるという方は、中のカラースペーサーの交換をお勧めします。
ホイールベアリングのアウターレースはホイールまたはハブの定まった位置に納まります。もし中のカラースペーサーが繰り返したアクスルナット締め付けやベアリングの異常(摩耗による振れなど)による潰れで規定値より短くなっていたら、ベアリングを新しくしてもアクスルナットを締めるとアウターレースの位置よりも奥にインナーレースが押し込まれるように圧力がかかってしまいます。その状態で回転させれば早期にベアリングの異常磨耗が進んでしまうのは自明の理でしょう。
 
モトグッチに限らずですが、「よく壊れるんだよね〜」というようなセリフの裏にはこのようなもっともな原因とそれに気づかなかった至らなさとが隠れていることがたまにあるようです。


 
mas
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V65 再生記 <6>

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エンジンの組み立てに入ります。一度組んだら次にいつお目にかかるかわからないクランクシャフトまわりから。
 
コンロッドをクランクシャフトへ組み付けます。メタル・コンロッドボルト、コンロッドナットは無条件で交換とします。メタルは1サイズしか供給されていませんが、クランクピンやジャーナル部の径が規定値内でしたのでそれを使います。もしピンやジャーナルの磨耗が生じて規定値以下になってしまったら、加工したうえでメタルを作らなければなりません。クランクシャフトを新調するよりは安いでしょうか?そもそもクランクシャフトこそがエンジンそのものなので、ここは換えたくないですね〜。
メタルを組み付ける際はコンロッドとメタルの間にオイルが入らぬよう、メタル裏にオイルをつけたりせず慎重にセットします。
 
ここで、メタルはポンと置いただけではコンロッドビッグエンドに収まらず浮いた状態になりますが、これはそのように「張り」を持たされているからです。指でやや強く押し込むと入りますが、それでもややコンロッドの合わせ面より端が少し飛び出てしまいます。これを「クラッシュハイト」といいます。
張りはメタル背面とコンロッドの密着を高めるために設けられています。クラッシュハイトもコンロッドボルトを締め付ければきっちりと収まり、張りと同様に密着を高める効果があります。先ほどのオイルをつけずに組んだことも同じ狙いがあります。それはメタルが受けた熱をコンロッドに効率良く逃がしたいからです。
 
エンジンをバラしたとき、メタルに磨耗や接触痕が認められないことはままあります。オイル管理が良いエンジン、適切な暖機をして、常用回転域が低くないエンジンがそれにあたるのかな?と思われます。ただ、見た目が傷んでいないと思って古いままのメタルを使うと、張りやクラッシュハイトが少なくなっているために、トラブルにつながる恐れ(熱伝導が悪いためメタルが高温になって損傷に至る)があるので注意してください。滅多に開ける場所ではないので適切な部品交換をしてください。
 
コンロッドビッグエンドを組む際にオイルを塗らずに置いたので、あとからオイルをさしているのが左下の画像です。クランクウェイトを上に持ってくるとオイルラインが見えて、そこにオイルをさすと斜め下にあるクランクピンにオイルが回ってくれます。
 
クランクケースの締め付けの際には内側の10mmのスタッドボルトと外側の8mmのスタッドボルトは当然ながら締め付けトルクが異なります。精密さが要求されるので合わせ面にガスケットは使わず、液体ガスケットを微量塗布します。このときオイルラインを塞がない注意も必要です。そして、外側の8mmスタッドボルト6本をケースに取り付けるときはネジロックを付けて"す"を通じたオイル漏れを予防しました。クランクケース合わせ面付近からオイルが漏れるという方は、この外から見える6本のスタッドボルトも疑ってみてください。


 
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続いてカムシャフトの装着。V系(ルマン系)とは違い、タペットにつばが付いているのでケースの内側からしか入りません。カムシャフトを抜かないとタペット交換はできないのです。タペット・カムシャフトにモリブデンを塗布して組みました。この時タペットをクランクケース内に落とすとルマン系とは違ってオイルパン側からは取り出せないので注意しなければなりません。
 
カムチェーンの装着はカムスプロケットがボルト留めなせいもあって比較的容易です。ここは当然のことながらポンチマークに留意して組みます。ところでこのシリーズ、P系エンジンのカムチェーンですが、ほとんどお目にかかりませんが、シリーズ(350ccと500cc)発売当初はダブルチェーンでした。が、その後シングルチェーンに変わっています。それはいつのことか、古いサービスインフォメーションを探してみたら1984年5月に来ていました。このときに650ccが発売されたと同時にダブルチェーンからシングルチェーンになったようです。
 
排気量もあがったのに、ダブルからシングルへ?
チェーンの性能が向上したのでしょうか?もともとダブルはオーバークオリティだったのか?いずれにせよ現行のV7シリーズまでそのままシングルチェーンが採用され続けています。
 
カムシャフトの奥に位置するホルダーにオイルプレッシャースイッチを装着したら安心です。このオイルプレッシャースイッチでカムシャフトがスラスト方向に動かないようにしています。ですから、スイッチを入れるまえに不用意にカムシャフトを回すとホルダーの穴がずれてしまうので注意しましょう。
スイッチの交換時も同様に注意しましょう。「あの〜、オイルプレッシャースイッチの交換しようとしたら新しいスイッチが入らないんですが・・・・・」とお電話をくださった業者さんもいらっしゃいます。


 
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コンロッドにピストンを装着します。マニュアルには60度で・・・と書いてありますが、ピストンヘッドだけでも少しの間熱湯に漬けて、スカートのあたりが手で「熱いな」という温度になれば、ピストンピンは指ですんなり入ります(もちろんモリブデン等塗りましょう)。わざわざ「ピストンヘッドだけでも」としたのは、こうしておけばリング溝など細部に水分が入らず、拭き取りに苦労したりせずに済むからです。
 
画像で使っている特殊工具は本来ピストンピンを抜くときに使うのですが、最後にピンを奥まで収めるのに叩いたりせずに済ませたかったので、これを使って適切な位置まで押し込みました。ピストンピンクリップも全て交換します。細かい部品ですが、ここまでやってわずかな金額のクリップをケチってトラブったらもったいないですから。
 
ピストンリングはよほど無理しなければ折れたりしませんが、慎重に溝に収めます。必ず上の面にマークがあります。そして、シリンダーに収める前に、合い口の位置を調整しておきます。
ピストンリングの合い口は、エンジンが稼動したらいずれ回ってしまうのだろうけど、少しでも良い結果が出るように考えて調整します。ピストンはわずかながらも首を振るので振れの大きい位置からは合い口を遠ざけてシリンダーへの影響を小さくできるように、3つのリングの合い口が近すぎないように、トップリングの合い口はプラグ(着火位置)からなるべく遠くに、などです。この結果1例として紹介しますが、今回はトップリング2時の方向、セカンドリング8時の方向、オイルリング4時の方向、としてみました。
 
いざシリンダーに収める前にはオイルとモリブデンをたっぷりリング溝にさして、よく馴染ませました。ちなみにピストン周辺の部品調達についてですが、同じ650であってもピストンピンの径が2種類あります。当然クリップも異なります。また同じ排気量同じボアであってもピストンリングのトップとセカンドが同じものを使っているものと、異なるリングを使っているものがあります。ご注意ください。


 
V65_023.jpg
 

ちょっと時系列は前後してしまうのですが、左画像はシリンダースタッドボルトにネジロック剤を付けているところ。ネジロック剤は嫌気性と言って、空気から遮断された状態になると硬化が始まるのです。画像ではボルト側だけに多く塗ると溢れてしまうだけなので、ケース側にも塗っておいて、ほどよくネジ全体にネジロック剤が回ってくれるよう工夫してみました。
 
ちなみにシリンダースタッドの場合も、スタッドボルトの固定だけではなく"す"によるオイル漏れの効果にも期待してのネジロック剤塗布です。ただこのシリーズのエンジンのシリンダースタッドは画像左の上2本のスタッドはヘッドの外には出てこないので問題ありません。が、画像右下の2本のスタッドからオイル漏れが起こると厄介なことになります。
 
画像右上はピストンリングを押さえつけてシリンダーに収められる特殊工具。これが無くても丁寧にやればリングは収められますが、スピードがまるで違います(笑)
そして右下の画像。ここはこのP系エンジンの弱点と言ってもよいでしょう。シリンダーの外側、この部分はヘッドを潤滑したオイルがクランクケースに戻ってゆく(重力により落ちてゆく)トンネルです。が、その外側の壁が少し薄過ぎました。オイル漏れを防ぐのに充分なガスケットの面積(幅と言いましょうか)が確保されていません。ここはオイルを圧送しているわけではないので、ダラダラ流れるような漏れ方はしないのですが、じわじわと漏れてくることがありますので、液体ガスケットを塗布しました。
せめてここにもう1本スタッドボルトを立てておいてくれたら、密着が増してオイル漏れを防げたのではと思います。

 
 
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シリンダーにヘッドを載せて、いざ締め付けは画像のロッカーアームセットと共締めになるのもこのエンジンシリーズの特徴です。左上の画像で2本のピンの磨耗の差がわかると思いますが、中古と新品というわけではありません。このピンはストレスのかかる方向が決まっていてそちらの面だけ磨耗が進むのです。
それは上か?下か?どちらかわかりますか?
下からプッシュロッドに押し上げられてピンを支点にバルブを押し下げる・・・・・ので、ピンの下側のストレスが大きいのです。ですからここをバラすチャンスがあれば、なるべく磨耗(当たり)が少ないほうを下にして組むようにして偏磨耗を防ぐようにしています。画像のピンは恐らく一度もはずされた事が無かったのでしょう。片面は完全にキレイな状態でした。
 
画像左下を見るとピンに設けられた切り欠きがあるのがわかると思います。これはオイルラインから送られたオイルがラバースリーブ内の通路とピンの切り欠きを通ってロッカーアームやバルブステムトップを潤滑していくためのものです。さきほど、ピンの上下の面を入れ替えていると書きましたが、切り欠きの向きにも注意して組まないと通路が塞がれてしまい潤滑不良の原因になります。
 
画像右はオイルパンを付ける直前。P系エンジンはオイルパンを開けなくてもオイルフィルターが交換できますが、皆さんが思ってらっしゃるよりここには多くのスラッジが貯まっています。たまにはオイルパンもはずして、ストレーナーも分解して掃除してもよいでしょう。
 
そしてV系エンジンとの大きな違いのひとつ、P系エンジンのクランクケースには隔壁「バッフルプレート」が設けられていて、画像をご覧の通りクランクシャフトが見えません。高速で回転するクランクシャフトにオイルパンのオイルが当たって抵抗になってしまうのを防ぐと同時に、クランクケースの剛性増も稼いでいるものと思います。
決してざんぶりと大量にかかってるわけでもなさそうなオイルの接触抵抗ですが、レーシングエンジンにはクランクウェイトの回転方向(オイルが当たる方向)を流線型にして抵抗を減らそうとしているものもあるほどです。


 
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シリンダーヘッドを組む場面は撮り忘れていました。エンジン完成間近でテンポよく作業していたのでしょう。また、この稿はずいぶん長くなってしまったようです。V系とP系の違いもあって、モトグッチメンテナンスブックでは触れられていないことなどご紹介しようと書いていたらダラダラ長くなってしまいました。
 
最後にクラッチを組みます。画像の通り、クランクシャフトの回転をロックする特殊工具、クラッチプレートのセンターを出しつつホールドする特殊工具はV系のものと異なります。ボルトは硬度が高い特殊ボルトが使われていますが、オーバートルクをかけると伸びてしまいます。気持ちとしてガッチリ締めたい部分ですが、オーバートルクは禁物です。伸びて重くなったボルトは使わない。締め付け途中でなかなかトルクがあがらない気配を感じたらボルトを切ってしまう前に作業をやめてボルトを交換する。注意してください。
 
エンジンが完成しました。フレームを載せたらグッとオートバイらしくなるでしょう


 
mas
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Mandelloの怠慢!!??

新しいスイングアーム???
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RIPA-Shiga
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TEATRO LA GUZZI <5>

映画で出会えるモトグッチ 5(連載10回予定)
 
当劇場ではモトグッチが登場しているイタリア映画をご紹介しています。一部イタリアを舞台にした外国映画なども含まれています。画面をサッと横切るモトグッチを探して、イタリア映画を観てみませんか?
 
ざっとですが、以下のように分類してご紹介していこうと思います
 
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グルッポ アー (Gruppo A)主人公とからんでいるか、登場時間が多い
 
グルッポ ビ (Gruppo B)短いがそれなりにしっかりと写っている
 
グルッポ チ (Gruppo C)ほんの一瞬だけ
 
アルトリ(Altri)その他番外
 
あくまでモトグッチを中心にご紹介していきますので、イタリア映画論みたいな内容には期待しないでくださいませ!!なお、たぶんに個人的感想に基づくものであること、また若干のネタバレが含まれることをご理解くださいませ!! massi


 
 
 
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今回はアメリカ映画から3作
だからと言って画像はハーレーなわけではありません 

★グルッポアーから、映画史上モトグッチ最長最大出演!?
 
「ダーティーハリー2」 (Magnum Force) 1973米
     ASIN: B003EVW5K0
     EAN: 4988135806345

監督 テッド・ポスト
出演 クリント・イーストウッド、デヴィッド・ソウル
 
イタリア映画ではなく、ましてや舞台はサンフランシスコだが、この映画を外すことはできない。恐らくこれほど大写しでモトグッチが登場する映画はなかなか無いのではなかろうか。
 
サンフランシスコで悪者達が次々と何者かに殺される。ハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)は射撃の腕のたつ4人の新任警官に目を付けるのだが、彼らが乗る白バイがV7スペシャルなのだ。まさにスクリーン狭しと走り回るが、映画序盤の大アップも見もの。
 
 
 
 
★グルッポビーからは、

「ラッシュ・アワー」 (Rush Hour) 1998米
    ASIN: B00005GDUP
    EAN: 4988104013811

監督 ブレット・ラトナー
出演 ジャッキー・チェン、クリス・タッカー
 
ロサンゼルスの中国領事に呼び出された捜査官(ジャッキー・チェン)と地元の刑事(クリス・タッカー)がチームを組む。

序盤ロサンゼルスの市街地で、逃げるジャッキー・チェンを追いかけるクリス・タッカーが、通りがかりのスポルト1100インジェクションに乗る。排気音に違う音をあてているような気がするのだが、どうでしょう?
 
 
 
 
★アルトリから、

「007/ダイヤモンドは永遠に」(Diamonds are Forever) 1971米
    ASIN: B000S5K4OE
    EAN: 4988142569325


監督 ガイ・ハミルトン
出演 ショーン・コネリー

ショーン・コネリーがジェームズ・ボンド役に戻った第7作。ダイヤの謎を追って運び屋になりすまし、アメリカへ渡る。
 
ショーン・コネリー扮するジェームズ・ボンドがV7に跨っている写真はモトグッチ社にも飾られていたし、さまざまな書籍にも載っていて有名だが、残念ながらわたしが見た限りでは作品中にはV7が登場していないようだ。ノーカット版のようなものが存在するのだろうか?
 
何故映画登場が不明確ながらここで紹介するかというと、とある海外書籍の写真にこんな文章が付けてあったからだ。
 
「最近のボンドはBMWに乗っているらしいが、真のボンド(ショーン・コネリー)はモトグッチに乗っているのさ」
 
 
 
mas

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2016年 謹賀新年

謹賀新年

2016年も最良の整備内容をめざしまして、業務に邁進してまいります。
皆様に於かれましてはご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。


昨年は期待してましたモデルは発表されませんでしたが、
さて、今年はどうでしょうか?


New model or First Dream.jpg

?ムムッ??・・・・・


RIPA-Shiga
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2015年のおしまいと・・・・・

MOTO GUZZI ご愛用の皆さま。

今年も暮れ様としておりますが、皆さまのお蔭をもちまして今年も無事業務を続けていく事が出来ました、御礼申し上げます。
翌 2016年もご愛顧の程宜しくお願い申し上げます。



s-Anima MGS-1.jpg 続きを読む>>
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