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オゾンの功罪

先日のことラジオでこのコロナ禍の中ならではの製品の紹介をしていました。幕張メッセで開催された「医療と介護の総合展」に出展されていた除菌のためのオゾン水の生成機です。アルコールも塩素も使わずに除菌ができ、しかも使用後に毒性の残留物がなく、インフルエンザウィルスの不活化も確認されていると話されていました。ラジオ番組のスタッフが試しに手を洗ってみたら肌がサラサラになったと・・・それは皮脂がオゾンによって分解されたからという解説でした。へえ〜。ただし一般家庭で買えるような価格帯じゃありませんでしたので、ここは普及型の登場が待たれます。
 
オゾンは分子式でO₃、分子式O₂の酸素分子に酸素原子Oが加わったものです。作業をしながら聞いていたのですが、このオゾン0₃はわりとたやすくO₂とOにわかれるそうで、このわかれた酸素原子Oが強力で、菌や汚れなどの元と反応して菌や汚れや匂いなどを消すという解説だったように思います。そしてオゾン水は飲んでも害は無いが、オゾンガスは吸ったら危険というお話もあって、もう少し詳しく聞きたかったなと思うところでありました。
 
そういえばペットの匂いを取るオゾン発生器などの商品を見たことがありました。試しにオゾンでネット検索してみると除菌・脱臭などのたくさんの製品が見つかります。ですが私の仕事柄、オゾンと聞くとどうしても悪い影響のほうが頭をよぎるのです。まずはゴム製品のオゾンクラックという言葉を聞いたことありませんでしょうか?また皆さまのモトグッチのエンジン前部のオルタネーターカバー(比較的新しいモデルは除く)の下部にベロのような突起があることにお気づきかと思いますがこれもオゾンと関係があります。


  
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オゾンは紫外線(太陽光)や放射線や高速電子の衝突などによって発生します。私たちグッチスタの身近なシチュエーションとしては、ブラシを有した発電機やモーターが作動した際やポイント式点火装置のコンタクトブレーカー(ポイント)開閉により生じる放電により空気中の酸素からオゾンを作り出します。
 
こういうプロセスです↓
3つの酸素分子のうち「O₂ O₂ O₂」
1つが放電を受け2つの酸素原子に分かれ「O₂ O O O₂」
残り2つの酸素分子と合体してオゾン2つに「O₃ O₃」
 
そのため自動車のオルタネーターやデストリビューターなどは密封されずに外気と流通があるよう設計されています。モトグッチにおいては例えばV7や850ルマンなどを見てもオルタネーターカバーの下部にベロが出ていて空気が流通するようになっています。水がかかりやすいエンジン前部で中には電気部品があるのだから密閉したくなるもんですがそうはなっていません。そしてその後ルマン2からはフランジも追加されて空気の窓が増やされました。より空気の循環を多くして、もしかしたらオゾン対策だけでなく放熱効果も期待したのかもしれません。デストリビューターもモトグッチの場合、上部カバーは雨などが入らないよう密閉されていますが裏側に通気口が開いています。

こういった自動車関連のオゾン対策はいつごろから始まったんでしょう? 古くは(の一例ですが)1960年代から販売が始まったSUZUKIフロンテではデストリビューターにエアクリーナーケースからパイプが繋げられ、エンジンの負圧によってデストリビューター内の空気を積極的に入れ替えようとしていたそうです。
同時代のモトグッチは単気筒・チェーンドライブのモデルが主流ですがコンタクトブレーカーが内蔵されている側のカバーも通気があります。さらにさらに、コンタクトブレーカーが独立してクランクケースの上に乗っていた戦前の単気筒モデルでさえコンタクトブレーカーのカバーにしっかり穴が開けられています。オゾンは1785年に発見され、早くからオゾン生成に電気(電子?)との因果にも目が向けられていたようですから、モトグッチの最初期のモデルに反映されているとしてもうなずけます。
 
ところでなぜオゾンがあってはいけないのか?
まずオゾンによる除菌・脱臭に話を戻します。どうしてオゾンに除菌・脱臭(漂白も)の効果があるのでしょう。前にオゾンはたやすく酸素分子O₂と酸素原子Oに分離すると書きましたが、この酸素原子Oが菌や匂いのもとを、同様に金属やゴムなども攻撃します。攻撃なんて言ってますが酸素原子Oに意思があるわけではないので、目標を定めてあれこれしているのではありません。オゾンから解き放たれた酸素原子Oがたまたまそこにあるものと反応しているということでしょう。酸化させているわけですね。
 
酸化によって細菌の細胞壁を破壊して死滅させたり、酸化によって匂いの成分を分解したり、モトグッチ関連では酸化によって金属を腐食してコンタクトブレーカーなど接点の導通不良を起こしたり、酸化によってゴムの結合を切断してタイヤ表面にクラックを生じさせるのです。

もう何年も前のことですが、あるタイヤメーカーのあるモデルでオゾンクラックとおぼしきトラブルが連発したことがありました。最初はおひとりのお客さまからクレームがあり、タイヤワックスが原因でクラックが生じることがあるのでその点をお客さまに確認しつつ、メーカーサイドとも相談のうえタイヤを交換させていただいたのですが、その後もちょくちょくクラックが発生したのでした。オゾンクラックだったのなら、もしかしたら通気の悪い場所に大型コンプレッサーかなにかと一緒に保管されていたのでしょうか。その後こちらのメーカーのタイヤは使わなくなってしまいました。クレームに対応はちゃんとしてくださったのですが、余分に幾度もタイヤ交換しなければならないのもどうかと思いまして・・・・・。

役にも立てば害も為すオゾンですが、濃度によって影響の度合いが違います。濃度が管理されたオゾン関連製品に危険はないことを一応最後に書かせていただきます。
 
 
massi

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ひょっとして脱税!?

モトグッチリパラーレでお預かりしたインジェクション車、いざ整備を始めてタンクを外してみると、外気温センサーあるいは吸気温センサーに施されたイタズラに気づくということがたま〜にあります。イタズラというのはECUに実際とは異なる気温情報を送り込むために気温センサーからECUへの配線上に後付けパーツをひとつ加えてあることなのですが、そのパーツの中身は恐らく抵抗(電気部品の)なのでしょう。
 
気温センサー(温度センサー)の正体はサーミスタという温度の変化に応じて抵抗値の変化が大きい抵抗体です。抵抗値によってECUに温度情報を伝えていて、どのような情報かというと、温度が上がると抵抗値は小さくなり、温度が下がると抵抗値が大きくなるのです。なので抵抗を増やしてやれば実際より低い気温だとECUに勘違いさせることができるのです。そうするとECUはそれに対応して燃料噴射時間を増やす、つまり燃調を濃くするのです。
 
このパーツを付けていたお客さまに経緯を伺ったら、アクセルオフ時のアフターファイヤー(パンパンと音がするサイレンサーなど排気系の中で起きる異常燃焼)が気になったから装着したということでした。たしかに環境性能をクリアするために近年のセッティングはリーン(薄め)に振っています。それを濃く(リッチに)すればアフターファイヤーは収まるかもしれません。それでも抜けの良すぎるサイレンサーを付けていたりすると、それでも収まらないこともありますが。


 
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上の図はモトグッチがエレクトリックフュエルインジェクション(EFI)を導入した当時のワークショップマニュアルに載っているイラストです。燃料噴射(図の表題でいうiniezione)と点火(同accensione)を制御する回路の様子で、モデルはカリフォルニアIIIです。カリフォルニアIIIにはキャブレターモデルとEFIモデルがありましたが当時の輸入元の判断でEFIモデルは日本に輸入されませんでした。(余談ですがこの頃のモトグッチは、新しいシステムを導入するときはいつもカリフォルニアに最初に採用させていました)そして図中、エアークリーナーボックスに取り付けられた吸気温センサーを矢印で示しました。まさにこの吸気温センサーとECUを結ぶ配線の途中に先に書いたパーツを割り込ませていたのです。それによって燃料噴射時間を増やして一率に燃調を濃くすることによってアフターファイヤーを防ごうとしているのです。
 
ただ・・・・・この燃調を濃くするということに、ど〜〜〜うにも腑に落ちない側面を感じていたのです。
継続検査、いわゆる車検を受けるたびに私たちが払っている自動車重量税は現在(2020年6月)、自家用小型二輪車の場合年額1900円と定められています。なので車検受検時に2年分の3800円を納付しなければなりません。ただし車齢を重ねていって新車登録から13年超・18年超と進むほどに増税されて最終的に年額2500円、つまり車検受検時には2年分の5000円の重量税を納付しなければならなくなりました。ただ、リパラーレのお客さまには20年30年と同一モトグッチに乗り続けていらっしゃる方が多く、そういう方は「もともと5000円だよ、普通じゃん?」と思われるでしょうが、平成24年度税制改正でそれまで全ての自家用小型二輪の継続検査時の重量税が5000円だったのを3800円に改正したうえで、新車登録から18年超の車齢になると「古いがゆえ」に「3800円から1200円分の増税(2年)」となっているのです。もともと二輪車の場合はエコカー減税の対象にはなっていない一方、18年超などの古い車両つまり環境性能の面でも古くて環境負荷が大きい車両は、エコカー減税同様の観点から増税対象になるということのようです。
 
アフターファイヤー解消のために細工をして燃料を増量したら、いわゆるクリーンな排出ガスの範疇を越える可能性があります。新しいモデルであるがゆえに、つまり環境性能が基準に達しているがゆえに古いモデルに比べて重量税が安いのにも関わらず、もし排出ガスがクリーンではなくなったらば、燃費が悪くなったらば・・・・・ならばそれは言い換えれば昔ながらに5000円の重量税を払っている立場からしたら「脱税に値する!?」のではないかとかねがね感じていたのです。いつの日かそういう主張を当ブログに書いてみようと思っていたのですが、私が3年前に作ったV65スクランブラーの土台としてオークションで入手した中古V65フロリダが、製造年1986〜1995年(昭和61〜平成7年)だったにも関わらずなんと重量税3800円だったのです。最も古く製造されたV65フロリダだったとしても平成24年度税制改正の前の非エコなモデルなのにです。
このV65フロリダは型式不明として登録されていたので、製造年不明ということからそのような処理がなされたのか?単純に日本国内での初年度登録が新しいからなのか?輸入は新車しかしたことがありませんのでそこはわかりませんが、結果として実際には現代のエコな基準はまず満たしていないであろうに重量税は最新のモデルと同等に認定されているのです。あれれ!?これでは他人のことは言えないではないか・・・・・と、少々筆が鈍っていたところなのでした。が、結局は書いていますが(笑)
 

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さてさて、実は自動車重量税はそもそも道路の建設や整備に充てる道路特定財源としてスタートしたのに目的とする道路整備も目途がついたからとなんにでも使える一般財源化して徴収し続けるのはけしからん!であるとか、そもそも自動車の重量に応じて道路の整備に充てるという性格の重量税なのに、すでにガソリン税も常日頃払っているにもかかわらず環境性能によって減税だの増税だのはそぐわないのではないかという様々な議論もあるようですが・・・・・
 
それは置いておいて(笑)
 
問題のパーツを付けるとECUがどのような勘違いをさせられるのか、実車を診断機に接続して調べたことがあります。表示された気温はなんと−15度!!そのときの室温は23度でした。38度ほどの差になります。上の図はモトグッチが採用してきた2タイプの気温センサーと、その温度と抵抗値の表です。もう暑くなってきましたので、38度程度の差をこの表をもとに、温度は室温が30度、診断機上が−10℃と仮定すると、抵抗値の差は16.599−2.417=14.182kΩになるので、14kΩの抵抗を気温センサーとECUの間に割り込ませるとECUは+30度を−10度と勘違って認識するということになります。
ただし表をご覧の通り温度が低くなるほど抵抗値の変化の度合いが大きくなるので、14kΩの抵抗を使えばどの気温からも40度低くなるわけではありません。またこのようなパーツをどれくらいの数のメーカーが作っているか知りませんのであくまでも一例です。ちなみに今まで見させていただいた範囲ではこのようなパーツをつけているとたいていプラグは焼けていないようです。では気温を40度も勘違いさせられると一体どれくらい燃料が増量される=濃くなるのでしょうか?
 
「PV=nRT」
これは理想気体の状態をあらわす方程式です。P(圧力)V(体積)=n(mol=分子数)R(気体定数=0.082)T(絶対温度K)となります。
 
いかにしてこの方程式が導き出されたか?、気体定数ってナニ?、等の細かい説明まではご勘弁願います(笑)この方程式で見ていただきたいのは、圧力と体積が一定ならば、分子数は温度に反比例するということです。これをエンジンの燃焼室内に置き換えると、吸入された混合気の状態(圧力と体積)が仮に一定ならば、そこに含まれる酸素量は気温に反比例する、つまり気温が高くなれば酸素量は減り低くなれば増えるということです。「冬は(酸素濃いから)ガス濃くしよう」みたいなライダーのやり取り(言いませんか?笑)の根拠がきっちり方程式であらわされているのです。
 
では計算してみましょう。まずここまで温度の単位を「度」とのみ書いていましたが、言うまでもなくこれは摂氏、記号は℃、セルシウス温度です。ですが上の方程式では絶対温度、記号はK(ケルビン)を使うので換算しなければなりません。0K=−273℃とします。すると先の仮定の温度を換算してみると室温30℃は303K、診断機測定値−10℃は263Kとなります。
なので気温を30℃から−10℃に勘違いさせるということは絶対温度で303Kを263Kに勘違いさせるということになります。つまり気温は263K÷303K=0.867倍に勘違いさせられたということであり、それに基づいて気温と酸素量が反比例するので酸素のほうは1÷0.867=1.153倍になったと判断されます。なので酸素量が増えたと勘違いさせられたECUはそれに応じて本来の設定から15.3%ほど噴射量を増やしてしまうのです。この計算のあたりは某自動車メーカーの開発の方のお知恵拝借しましたが、私の消化不良で説明に間違いもあるやもしれません。なにか重大な間違いにお気づきの方はどうぞご指摘ください!
なおこれはあくまでも理論上です。燃料噴射量は様々な情報を集めて計算されています。これはある仮定(室温等)にたって、気温以外の条件は全て同条件とするとこんな推計ができるかな〜、というものとご理解ください。


 
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それにしても、もしこのイタズラによって燃費が15%悪くなるとしたら、環境性能を達成すべく努力した開発者は涙がちょちょぎれることでしょう。先にプラグが焼けていなかったと書きましたがそれも無理ありません。燃調はさまざまな状況に合わせるべくマッピングされているのに、そこから全領域一律に濃くされているのですから。低負荷時もアイドリング時も無駄に濃くなっているわけです。それなりの走り方をしないと標準プラグが焼けるはずもありません。 
 
また排ガス規制車の場合、車検時には件のパーツを外しておけばガス検は通るという前提なのかもしれませんが、常時濃い状態で走っていたら吸気系〜排気系に残留ガスが残っていてガス検に合格できないことも想定できます。キャタライザーの劣化が早まって早期に交換しなければならなくなることも考えられます。ご用心ください。なおアフターファイヤーの発生はリーンだけでなくリッチな場合にもあり、抜けが良すぎる社外サイレンサーが原因の場合もあります。また、バルブクリアランスの不正や左右シリンダーの同調がとれていないことが原因の場合もあります。そのあたりもっとモトグッチに限らずメーカーサイドが啓発する必要もあるのかもしれませんね。
 
最後に、この稿を書いているうちに、ついでだからV65スクランブラーの排ガスをチェックしてみようかと思い立ちました。
こちら排ガス検査機にかけた様子です。
 
パイプをあてているのはプローブ(サイレンサーに差し込んでいるガス吸入ノズル)の入り方が浅かったのでサイレンサーエンドから2次エアーを吸わないようにしたものです。
測定結果はCOが4.7%ほどでHCが300ppm台、もう少しで車検時にガス検が義務付けられている平成11年規制のCO4.5%以下まであと一歩!、HC2000ppm以下のほうは軽々クリアしていました。1980年代のキャブセッティングです。検証が目的なので、もちろん数値を下げるためにキャブをいじったりはしていません。キャタライザー無しのキャブレター車ではなかなか良い数値だと思いませんか。V35イモラIIののち、30年ほど1000ccクラスのモトグッチのみ乗り続けてから近年久々にスモールツイン2バルブのV65に乗り、車体も軽いうえに小気味よく回るエンジンに改めて目からウロコと感じ入っていたところでしたが、燃焼室の形状など割と打算的に設計されたのかな〜と失礼ながら思っていたエンジン(V7シリーズで最近までこの設計は継承されました)が実は相当な環境性能を先取りしていたとはさらに驚きでした。
 
とはいえ、案の定私自身も重量税脱税?状態には変わりありませんでした・・・・・この話に進展(例えば、当局の摘発を受けてしまった)などありましたらまた書かせていただきます。
 
mas

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TEATRO LA GUZZI <6>

映画で出会えるモトグッチ 6(連載10回予定)
 
当劇場ではモトグッチが登場しているイタリア映画をご紹介しています。一部イタリアを舞台にした外国映画なども含まれています。画面をサッと横切るモトグッチを探して、イタリア映画を観てみませんか?
 
ざっとですが、以下のように分類してご紹介していこうと思います
 
---------------------------------------------
 
グルッポ アー (Gruppo A)主人公とからんでいるか、登場時間が多い
 
グルッポ ビ (Gruppo B)短いがそれなりにしっかりと写っている
 
グルッポ チ (Gruppo C)ほんの一瞬だけ
 
アルトリ(Altri)その他番外
 
あくまでモトグッチを中心にご紹介していきますので、イタリア映画論みたいな内容には期待しないでくださいませ!!なお、たぶんに個人的感想に基づくものであること、また若干のネタバレが含まれることをご理解くださいませ!! massi


 
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新宿駅の新しいバスターミナル「バスタ」のニュースから・・・・・
でも、上の画像は警官が来て「バスタ!!」と叫んでいるわけではありません。これから始まるモトグッチ・パレードの警備に来てくれているのでした。



★グルッポアーから、「ああ、もうやめて!」

 
「ミニミニ大作戦」 (The Italian job) 1969英
        ASIN: B000EWBUO4
        EAN: 4988113756525

監督 ピーター・コリンソン
出演 マイケル・ケイン、ノエル・カワード

新宿駅に新しくできたバスターミナル「バスタ」がテレビで連呼されて思いついたテーマ「バスタ」ですが、これはイタリア語でbastare(=充分である)という言葉を元にした「バスタ!」「もうけっこう!」「やめて!」という意味でよく使われる言葉なのです。
 

ミニミニ大作戦(近年公開された新作ではありません)において、あまりにもモトグッチやフィアットが無残にやっつけられるので「バスタ!」「もうやめて!」のメッセージをこめて・・・・・
 
イギリスの組織がフィアット社に運び込まれる金を奪うため、トリノの街を大混乱に陥れる。イタリア車が次々とやられていく点では不満な映画。またオープニングのつづら折れの峠道を見ると、北イタリア製の車が足腰をしっかり造られてきたわけがわかるような気がする。

フィアット社の金輸送隊を守る白バイは交通警察のファルコーネ・ツーリズモ。階段を駆け下り、ジャンプし、スライデイングし、と様々なアクションシーンを演じてくれる。ただしコテンパンに負ける側だが。
 
 
★グルッポビーからは、「かんべんして!」


 
「黒い法廷」 (Corruzione al Palazzo di giustzia) 1972伊
 

監督 マルチェッロ・アリプランディ
出演 フランコ・ネロ、フェルナンド・レイ、ウンベルト・オルシーニ
 
検察や政界に食い込む悪に翻弄される判事達を描いている。冒頭、V7ポリッツィアが登場する。また途中、チンピラ二人組が乗っているチョッパーのベース車両はなんだろう?
 
カルロ・グッチ設計のハイドロリック・サス(液圧=油圧サス)装着モデルで、これは1947年からの採用。さらに赤が基調のやや丸いタンクは1952年頃からの採用。候補にはアイローネ・アストーレ・ファルコーネなどの1952年以降のバージョンが挙がるが、ひどくカスタムされているので(かんべんして!!!笑)、これ以上の判別は不明。この映画の製作年から考えれば、最も遅く1967年まで製造されたファルコーネと考えるのが妥当ではなかろうか。
 
 
★グルッポチからは、「もうたくさんだ・・・」


「アパッショナート」 (Senza Pelle) 1994伊
 
          ASIN: B000657P9S
          EAN: 4988003968137
 

監督 アレッサンドロ・ダ・アラトーリ
出演 キム・ロッシ・スチュアート、アンナ・ガリエナ
 
神経障害を持つ繊細な青年サヴェリオ(キム・ロッシ)が人妻ジーナ(アンナ・ガリエナ)に片思いを寄せる。双方の家族を巻き込んだ苦悩を描く。サヴェリオの報われない愛を見ているとどうしても「もうたくさん・・・・・」気持ちが重くなっていってしまう。
 
映画後半、2人が歩くローマの街角。交差点に置かれている青のモンツァだ。
 
 
 
mas

TEATRO LA GUZZI <5>

映画で出会えるモトグッチ 5(連載10回予定)
 
当劇場ではモトグッチが登場しているイタリア映画をご紹介しています。一部イタリアを舞台にした外国映画なども含まれています。画面をサッと横切るモトグッチを探して、イタリア映画を観てみませんか?
 
ざっとですが、以下のように分類してご紹介していこうと思います
 
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グルッポ アー (Gruppo A)主人公とからんでいるか、登場時間が多い
 
グルッポ ビ (Gruppo B)短いがそれなりにしっかりと写っている
 
グルッポ チ (Gruppo C)ほんの一瞬だけ
 
アルトリ(Altri)その他番外
 
あくまでモトグッチを中心にご紹介していきますので、イタリア映画論みたいな内容には期待しないでくださいませ!!なお、たぶんに個人的感想に基づくものであること、また若干のネタバレが含まれることをご理解くださいませ!! massi


 
 
 
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今回はアメリカ映画から3作
だからと言って画像はハーレーなわけではありません 

★グルッポアーから、映画史上モトグッチ最長最大出演!?
 
「ダーティーハリー2」 (Magnum Force) 1973米
     ASIN: B003EVW5K0
     EAN: 4988135806345

監督 テッド・ポスト
出演 クリント・イーストウッド、デヴィッド・ソウル
 
イタリア映画ではなく、ましてや舞台はサンフランシスコだが、この映画を外すことはできない。恐らくこれほど大写しでモトグッチが登場する映画はなかなか無いのではなかろうか。
 
サンフランシスコで悪者達が次々と何者かに殺される。ハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)は射撃の腕のたつ4人の新任警官に目を付けるのだが、彼らが乗る白バイがV7スペシャルなのだ。まさにスクリーン狭しと走り回るが、映画序盤の大アップも見もの。
 
 
 
 
★グルッポビーからは、

「ラッシュ・アワー」 (Rush Hour) 1998米
    ASIN: B00005GDUP
    EAN: 4988104013811

監督 ブレット・ラトナー
出演 ジャッキー・チェン、クリス・タッカー
 
ロサンゼルスの中国領事に呼び出された捜査官(ジャッキー・チェン)と地元の刑事(クリス・タッカー)がチームを組む。

序盤ロサンゼルスの市街地で、逃げるジャッキー・チェンを追いかけるクリス・タッカーが、通りがかりのスポルト1100インジェクションに乗る。排気音に違う音をあてているような気がするのだが、どうでしょう?
 
 
 
 
★アルトリから、

「007/ダイヤモンドは永遠に」(Diamonds are Forever) 1971米
    ASIN: B000S5K4OE
    EAN: 4988142569325


監督 ガイ・ハミルトン
出演 ショーン・コネリー

ショーン・コネリーがジェームズ・ボンド役に戻った第7作。ダイヤの謎を追って運び屋になりすまし、アメリカへ渡る。
 
ショーン・コネリー扮するジェームズ・ボンドがV7に跨っている写真はモトグッチ社にも飾られていたし、さまざまな書籍にも載っていて有名だが、残念ながらわたしが見た限りでは作品中にはV7が登場していないようだ。ノーカット版のようなものが存在するのだろうか?
 
何故映画登場が不明確ながらここで紹介するかというと、とある海外書籍の写真にこんな文章が付けてあったからだ。
 
「最近のボンドはBMWに乗っているらしいが、真のボンド(ショーン・コネリー)はモトグッチに乗っているのさ」
 
 
 
mas

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TEATRO LA GUZZI <4>

映画で出会えるモトグッチ 4(連載10回予定)
 
当劇場ではモトグッチが登場しているイタリア映画をご紹介しています。一部イタリアを舞台にした外国映画なども含まれています。画面をサッと横切るモトグッチを探して、イタリア映画を観てみませんか?
 
ざっとですが、以下のように分類してご紹介していこうと思います
 
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グルッポ アー (Gruppo A)主人公とからんでいるか、登場時間が多い
 
グルッポ ビ (Gruppo B)短いがそれなりにしっかりと写っている
 
グルッポ チ (Gruppo C)ほんの一瞬だけ
 
アルトリ(Altri)その他番外
 
あくまでモトグッチを中心にご紹介していきますので、イタリア映画論みたいな内容には期待しないでくださいませ!!なお、たぶんに個人的感想に基づくものであること、また若干のネタバレが含まれることをご理解くださいませ!! massi


 
 
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★グルッポアーから、愛する二人を切なく描く

「ミラノの恋人」 (DELITTO D'AMORE) 1974伊
     ASIN: B00005FBL3

監督 ルイジ・コメンチーニ
出演 ジュリアーノ・ジェンマ、ステファーニア・サンドレッリ

シチリアから家族でミラノに移住しているカルメッラ(ステファーニャ・サンドレッリ)が、勤務先の工場でヌッロ(ジュリアーノ・ジェンマ)と出会う。南北の貞操感の違いも乗り越えて二人は婚約するが、鋳造部門にいたカルメッラは病に倒れる。

ヌッロの愛車は125ccのストルネッロ スポルト アメリカだ。
通勤に、二人乗りのデートにと、それはもう頻繁に登場する。アメリカというだけあって、幅広過ぎの感があるアップハンドルを装備している。
 
 
 
 
★グルッポビーからは、切ない片思いの・・・

「白夜」 (Le Notti Bianche) 1957伊
    ASIN: B000CEVWOC
    EAN: 4523215006828

監督 ルキーノ・ヴィスコンテイ
出演 マリア・シェル、マルチェッロ・マストロヤンニ

夜の街で、マリオ(マルチェッロ・マストロヤンニ)はナターリア(マリア・シェル)と出会う。マリオはナターリアに想いをよせるが、彼女はある男の帰りを毎夜待っていた。ドフトエフスキーの白夜が原作。不思議な街のムードに引き込まれる。

ナターリアにからんで来るのはバイクに2人乗りの青年だ。フロントフォーク・テールレンズ・オイルタンクなどからアイローネかファルコーネかと思われる。タンクマークを布で隠しているのは監督の意図からか???
ちなみに動きは軽快だ。
 
 
 
 
★グルッポチからは、切ない・・・勘違い

「狂ったバカンス」 (La voglia matta) 1962伊
     ASIN: B00Z0B4924
     EAN: 4944285800527


監督 ルチアーノ・サルーチェ
出演 カトリーヌ・スパーク、ウーゴ・トニャッツイ

40歳目前の技師アントニオ(ウーゴ・トニャッツイ)が、16歳のフランチェスカ(カトリーヌ・スパーク)に魅せられて、彼ら若者たちにからかわれ翻弄されてしまう。

アントニオが間の悪さやフランチェスカのいたずらのせいで、再度にわたって交通違反で検挙されてしまう。交通警官が乗っているのは、ファルコーネか?と言いたいところだが、フロントフォーク・リアフェンダーなどの雰囲気を見るとむしろロドラなど小排気量車に似ていて不明。他社製なのかも知れない。
 
 
 
 
★アルトリから、切ない、といえば

「道」 (La strada) 1954伊
    ASIN: B0000635SE
    EAN: 4933672226095


監督 フェデリコ・フェリーニ
出演 ジュリエッタ・マシーナ、アンソニー・クイン

フェリーニの名作。繊細で純真な少女ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)と大道芸人ザンパノ(アンソニー・クイン)の旅を描いた悲しい物語。2人が各地を回るのに使うのはエルコーレのような荷台付きバイクではあるが、残念ながら直立単気筒である。途中ザンパノが「アメリカ製だ」と説明している。


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TEATRO LA GUZZI <3>

映画で出会えるモトグッチ 3(連載10回予定)
 
当劇場ではモトグッチが登場しているイタリア映画をご紹介しています。一部イタリアを舞台にした外国映画なども含まれています。画面をサッと横切るモトグッチを探して、イタリア映画を観てみませんか?
 
ざっとですが、以下のように分類してご紹介していこうと思います
 
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グルッポ アー (Gruppo A)主人公とからんでいるか、登場時間が多い
 
グルッポ ビ (Gruppo B)短いがそれなりにしっかりと写っている
 
グルッポ チ (Gruppo C)ほんの一瞬だけ
 
アルトリ(Altri)その他番外
 
あくまでモトグッチを中心にご紹介していきますので、イタリア映画論みたいな内容には期待しないでくださいませ!!なお、たぶんに個人的感想に基づくものであること、また若干のネタバレが含まれることをご理解くださいませ!! 

massi
 
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★グルッポアーから、イタリア映画でもなくイタリアが舞台でもないが軍用アルチェがしっかり映っているので

「コレリ大尉のマンドリン」 (Captain Corelli's Mandolin) 2001
   ASIN: B000063TJE
   EAN: 4959241930965
 
監督 ジョン・マッデン
出演 ニコラス・ケイジ、ペネロペ・クルス

第二次大戦下の1940年、ギリシアのケファロニア島を独・伊軍が占領した。音楽を愛するアントニオ・コレッリ大尉(ニコラス・ケイジ)は島の娘ペラギア(ペネロペ・クルス)との恋に落ちるが、イタリアは連合国側に降伏してしまう。
 
島に不穏な空気が流れ、コレッリがペラギアの元へモトグッチで向かう。乗っているのはアルチェと見て間違いない。1939年からの生産なので、すぐに配備された車輌、という設定になるのであろうか。シングルサイレンサーの車体だが、バリエーションは特定しきれない。因みにニコラス・ケイジは作中、ニュートラルを出せずエンストさせてしまった。ダサイ。
 
 
 
 
★グルッポビーからも、アルチェ

「夜ごとの夢/イタリア幻想譚」 (La domenica specialmente) 1991伊
  ASIN: B00005FU35
 
監督 G・トルナトーレ、G・ベルトルッチ、M・T・ジョルダーナ
出演 ジャン・ユーグ・アングラード、フィリップ・ノワレ、ブルーノ・ガンツ

3監督によるオムニバス。「青い犬」「特別な日曜日」「炎の雪」からなる。

3作品の前後に挿入されたエピソード「小鳥と男」で、戦没者墓地にやって来る男(ジャン・ユーグ・アングラード)が乗っているのは、エキパイの向きなどからアルチェの2人乗りバージョンであろう。無骨なタンデム用ステップも見える。
 
 
 
 
★グルッポチからも、スーペルアルチェ

「フィオリーレ 花月の伝説」 (Fiorile) 1993伊仏独
   ASIN: B000FIHD7K
   EAN: 4571169961038
   
監督 パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
出演 クラウデイオ・ビガーリ、ガラテア・ランツイ

その昔ナポレオン軍の軍資金を盗んだトスカーナのとある一族。大富豪になったが、数々の不幸に見舞われて呪われた一族と呼ばれるようになる。

戦時中反ファシスト運動で捕まり、丘の上に連れてこられたフィレンツエ大学の学生達。そこへ伝令がやって来る。左側に斜めに跳ね上がったサイレンサーは、時期に多少のずれがあるがスーペルアルチェだろうか。バタバタとした排気音。
 
 
 
 
★アルトリからは、1950年代前半から、モトグッチらしき姿がチラリと映る3作品を

「2ペンスの希望」(Due soldi di speranza)1951伊
「パンと恋と夢」(Pane,amore e fantasia)1953伊
「街の恋」(L'amore in citta)1953伊

 
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TEATRO LA GUZZI <2>

映画で出会えるモトグッチ 2(連載10回予定)
 
当劇場ではモトグッチが登場しているイタリア映画をご紹介しています。一部イタリアを舞台にした外国映画なども含まれています。画面をサッと横切るモトグッチを探して、イタリア映画を観てみませんか?
 
ざっとですが、以下のように分類してご紹介していこうと思います
 
---------------------------------------------
 
グルッポ アー (Gruppo A)主人公とからんでいるか、登場時間が多い
 
グルッポ ビ (Gruppo B)短いがそれなりにしっかりと写っている
 
グルッポ チ (Gruppo C)ほんの一瞬だけ
 
アルトリ(Altri)その他番外
 
あくまでモトグッチを中心にご紹介していきますので、イタリア映画論みたいな内容には期待しないでくださいませ!!なお、たぶんに個人的感想に基づくものであること、また若干のネタバレが含まれることをご理解くださいませ!! massi
 
Dscf0242.jpg
 
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★グルッポアーから、50年前のローマを走るモトグッチ

「マンマ・ローマ」 (Mamma Roma) 1962伊
   ASIN: B00005HXWQ
   EAN: 4510242162375

監督 ピエール・パオロ・パゾリーニ
出演 アンナ・マニャーニ、エットーレ・ガロファーロ

マンマ・ローマと呼ばれる娼婦(アンナ・マニャーニ)は足を洗い、離れていた息子のエットーレ(エットーレ・ガロファーロ)と暮らし始める。二人でまともな生活をしようとするが、以前のヒモが再び現れる。

バラックの古道具屋街に置かれる110ccのトラック、アイアーチェにジゴロらしき姿など。タンクやホイールやスクーターに自転車も並ぶ。マンマ・ローマがエットーレに買い与え、二人乗りで走るのはジレラの150ジウビレオ。不良仲間はストルネッロに乗っている。
 
 
 
 
★グルッポビーからも、40年前のローマを・・・

「フェリーニのローマ」 (Roma) 1972伊
   ASIN: B0011GIELE
   EAN: 4988142633729

監督 フェデリコ・フェリーニ
出演 フェデリコ・フェリーニ

フェリーニの想い出のローマを少年時代の回想から現在(1972製作当時)の撮影風景まで、断片的なシーンをつなぎ合わせて描いている。

高速道路を撮影中に事故現場に差しかかると、V7ポリッツィアが登場する。他にシエナ広場の場面でファルコーネ。ラストシーンでは、深夜のローマを数十台のバイクが数々の名所を縫って疾走する。その殆どが並列2気筒・4気筒。首の白いマフラーが時代を物語る?
 
 
 
 
★グルッポチも、ローマが舞台

「アッカトーネ」 (Accattone) 1961伊
   ASIN: B00005HXWR
   EAN: 4510242162382

監督 ピエール・パオロ・パゾリーニ
出演 フランコ・チッティ、フランカ・パスット

ローマ郊外でヒモをしているアッカトーネ(乞食)(フランコ・チッティ)。ウブなステッラ(フランカ・パスット)に恋して真面目に働こうとするが・・・・。

鉄くずを運ぶモトキャリー。男3人に鉄くずも運ぶパワーは500ccのエルコーレのバリエーションモデルではなかろうか? 警察に捕まりそうになったアッカトーネは、4スト単気筒車を盗んで逃走する。
 
 
 
 
★アルトリからも、題材からして舞台はローマだと思うのですが

「ベリッシマ」 (Bellissima) 1951伊
   ASIN: B000CEVWNS
   EAN: 4523215006811

監督 ルキーノ・ヴィスコンティー
出演 アンナ・マニャーニ、ヴァルテル・キアーリ

映画の子役オーデイションに何とか自分の娘を受からせようと、マッダレーナ(アンナ・マニャーニ)が奔走奮闘する。あげくにコネで娘を有利にしようと家の購入資金の50000リラまで撮影所関係者のアンノヴァッツィ(ヴァルテル・キアーリ)に渡してしまう。が彼はそれを騙し取ってランブレッタを買ってしまう。アンナ・マニャーニの迫力おばさんっぷりは見事。
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TEATRO LA GUZZI <1>

映画で出会えるモトグッチ 1(連載10回予定)
 
当劇場ではモトグッチが登場しているイタリア映画をご紹介しています。一部イタリアを舞台にした外国映画なども含まれています。画面をサッと横切るモトグッチを探して、イタリア映画を観てみませんか?
 
ざっとですが、以下のように分類してご紹介していこうと思います
 
---------------------------------------------
 
グルッポ アー (Gruppo A)主人公とからんでいるか、登場時間が多い
 
グルッポ ビ (Gruppo B)短いがそれなりにしっかりと写っている
 
グルッポ チ (Gruppo C)ほんの一瞬だけ
 
アルトリ(Altri)その他番外
 
あくまでモトグッチを中心にご紹介していきますので、イタリア映画論みたいな内容には期待しないでくださいませ!!なお、たぶんに個人的感想に基づくものであること、また若干のネタバレが含まれることをご理解くださいませ!! massi
 
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★グルッポアーから、ちょっとせつないこの映画

「明日を夢見て」 (L'uomo delle stelle) 1995伊
   ASIN: B00LHCVTGY
   EAN: 4933672243818

監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
出演 セルジオ・カステリット、テッツィアーナ・ロダート

1950年代のシチリア。撮影機材を車に積んだジョー(セルジオ・カステリット)は、映画の新人オーデイションだとして1500リラの手数料で人々を撮りながら島中を周っていた。彼の前に明日を夢見る少女、孤児のベアータ(テッツィアーナ・ロダート)があらわれる。

冒頭、真っ赤な車体にフィッシュテールマフラーはGTVかアイローネだろうか。また広場でジョーの言う事に驚き立ち止まる人々。GTVサイドカーも慌ててエンジンを切ってしまう。他の場面でも数機種。自転車屋の前で修理する姿も。


★グルッポビーからは、コミカルなこの映画

「カサノヴァ 70」 (Casanova 70) 1965伊
   ASIN: B00005HBEX

監督 マリオ・モニチェッリ
出演 マルチェッロ・マストロヤンニ、ヴィルナ・リージ

変わった性癖を持つNATO軍少佐アンドレア(マルチェッロ・マストロヤンニ)が次々にトラブルを引き起こす、艶笑コメデイ。

シチリアに赴任したアンドレアが、娘に手を出して追われる。追っているのはアイローネか?。シリンダーヘッドは1948以降のカバードタイプのようだが、ガーターフォークを付けている。4人乗りで走って自動車に激突する。他に軍用車両も登場する。


★グルッポチからは、珍しい車種が見られるこの映画

「ミラノの奇蹟」 (Miracolo a Milano) 1950伊
   ASIN: B000TLYCTU
   EAN: 4988182110181

監督 ヴィットーリオ・デ・シーカ
出演 フランチェスコ・ゴリザーノ、エンマ・グラマーテイカ

ミラノ郊外のキャベツ畑でおばあさん(エンマ・グラマーテイカ)に拾われて、孤児院で育った人の良いトト(フランチェスコ・ゴリザーノ)。貧しい人々と共に生活を始める。土地の所有者は私兵を繰り出して立ち退きを迫るが、トトは奇蹟を起こし始める。

第2部以降。私兵が乗るアンダーガード付きの単気筒。アイローネかひょっとするとアイローネ・ミリターレかも。小さく白煙を残して走るモトレジェッラ65の姿は貴重。ミラノ市街、信号待ちでニュートラルを出してる姿もモトグッチ?


★アルトリからはとても楽しいこの映画

「踊れトスカーナ」 (Il Ciclone) 1998伊
   ASIN: B0009Y29DS
   EAN: 4959241943262

監督 レオナルド・ピエラッチョーニ
出演 レオナルド・ピエラッチョーニ、ロレーナ・フォルテーザ

フィレンツェ近郊のレヴァンテ(レオナルド・ピエラッチョーニ)の家にカテリーナ(ロレーナ・フォルテーザ)らフラメンコダンサー達がやって来て、田舎町は大騒ぎになる。レヴァンテの足として出てくる愛車モトベカーンの運命と共に事の顛末を描く、笑えて楽しい映画。
 
 
 
 
PS:なにかしら画像も用意しようかと思いましたが、ぜひスクリーン上でモトグッチを探していただきたく、テキストのみでご紹介させていただきます
 
mas
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イヴァノ・ベッジオとグッチスタ

80th Moto Guzzi Day

この時期は毎年、マンデッロ・デル・ラーリオで9月に開催されるGMG(モトグッチ・ディ)の詳報が届いて、行く年であれば飛行機や宿の手配を始めたり、そわそわと楽しい時分なのです。昨年は待ちに待ったモトグッチ90周年のイベントがあったのですが、ご存知のように大震災が起きてしまい、それが原因で自粛したからというよりも、気が乗らないまま準備を進めることもできず夏が来て、いつのまにやら時間切れという感じで参加を見送ってしまいました。
なにしろ9月のイベントに合わせて宿を抑えるなら春には済ませておかないと間に合わないのです。マンデッロ周辺はおろか、元々ホテルが多いレッコ湖コモ湖の各地も予約でいっぱいになってしまいます。一度はどうしても部屋がとれずに、ギリギリになってイタリアのクラブが押さえていた部屋を融通してもらったこともありました。

5年ぶりに、そして5年前から当然のごとく行くつもりだった90周年イベントに行けなかったので、今までの訪問をとても懐かしく思い出してしまいます。私の場合はなんといっても自分のカリフォルニアで参加した2001年の80周年モトグッチ・ディがとりわけ懐かしいのです。
そのころのモトグッチはレッコの湖面に浮かんで波間に揺れる1枚の鷲の羽根。ようやくアプリリアのオーナー、イヴァノ・ベッジオ氏の手によって拾い上げられたところでした。

2001年からさかのぼること5年前、1996年のモトグッチ75周年イベントで壇上にいたのは、当時の大株主企業フィンプロジェッティから派遣されていたDr.アルフォルノ・ザッキでした。イベントの雰囲気はいかにも田舎町での大パーティという感じで、であるがゆえに初参加の日本人でさえもグッチスタであるというだけで迎え入れられ、それはそれはホーム感たっぷりなものだったのです。だからこそ私は自分のカリフォルニアでの再訪を決意して5年間を準備しつつ待っていたわけですが、この96年から01年までの間はモトグッチを巡って目まぐるしく様々なニュースが飛び交う時期になったのでした。
ちなみにこの96年以前もモトグッチは「SEIMM MOTO GUZZI S.p.A.」、デ・トマソ傘下だった頃の「GBM」、そして再び「MOTO GUZZI S.p.A.」と社名や経営形態はさまざまに移り変わってきてはいたのですが、当時まだ私も含め多くの日本のグッチスタはそのような本国の事情にはあまり興味なしという状況だったのではないでしょうか。

さて96年に戻ります。まずアメリカの投資グループによる大きな資本投下があり、一方3年間社長を務めたDr.ザッキは退任しました。その後、元アプリリア重役のオスカー・チェキナート氏が就任。すぐにモンツァのフィリップスの工場を買い取ってそこに移転するというプランが明るみになってマンデッロに激震が走りました。
モンツァ移転話が無事に頓挫したあとは、ビモータを買収するとかKTMに買収されるとか様々な噂が世界中のグッチスティをやきもきとさせていたのですが、これにひとまず決着がついたのが2000年の春。ついに負債もろともアプリリア傘下に入ることになったのです。

当時、年間生産台数が5000台ほどだったモトグッチに比べ、当時のアプリリアは確かに勢いのあるメーカーでしたが、エンジン開発能力はまだまだだったのではないかと想像します。この買収は単なる救済ではありません。表面的には見えにくいモトグッチの技術力の蓄積に目をつけたのではないでしょうか。
のちのちの様子を見ると、マンデッロのメンテナンスエリアでポリス仕様が施されたアプリリア車両が置かれたりしていて、そういった艤装などの多様なノウハウや官へのパイプまで同時に手に入れたとしたら安い買い物だと感心したものでした。



Beggio & Todero

80周年モトグッチ・ディでは、当時波に乗っていたベッジオ氏(写真左黒ジャンパーの人物、中央スーツの人物はウンベルト・トデーロ技師)は超ゴキゲンで、学者然としていたDr.ザッキのたたずまいとは好対照でした。イベントの壇上ではマイクをとってグッチスタ達を盛り上げ、壇から降りれば皆の求めに応じてサインをしたりツーショット写真を撮ったり忙しかったのでした。もう時効だと思って書きますが、当時生え抜きのモトグッチの社員間では「そんなにサインが好きなら1回500リラとって商売にすればいいんだ」とソフトに陰口も囁かれていました。(ちなみに当時、街のバールで飲むエスプレッソがだいたい1500リラくらいでした)
まあ、売却された側の気分としてはそんな反感も仕方ないでしょう。とあるイタリアのモトグッチ・クラブがモトグッチ・ディに参加するために作ったTシャツには以下のようにプリントされていました。
「モトグッチ イズ ラグジュアリー ブランド オブ アプリリア」
この言葉を胸にマンデッロの街を練り歩いていたのです・・・・・まさに悔しさと自負のあらわれ。実はモトグッチ・ディ会場でベッジオ氏とツーショット撮影させてもらって喜んでいた私は内心「これぞ本国のグッチスタか・・・」と舌を巻き、日本に帰ってきたのでした。

ただ、その前後の様子を見るに付け、イタリア本国のグッチスタ達の敵対感情はやや先走りすぎていたような気がしてなりません。まず、ベッジオ氏は1年の間にマンデッロの工場を進化させていました。部品工場には新しい工作機械が並び、組み立てラインも一新されました。大量の工作機械の入れ替えはかなりの設備投資になります。またそれまで写植するように活字を並べて打っていたフレームやエンジンナンバーですが、こちらもコンピューター制御のレーザー印字を使い始めました。



il stabilimento

もっともこういったことについても、モトグッチの旧来の人間の中には
「今までの設備でもオートバイは造れていたじゃないか」
と考える向きもあったかも知れません。
長い歴史のなかで、膨大な技術の蓄積がなされ、設計面でかなり成熟して、まさに玄人ウケならするオートバイ造りを続けてきていたのと同様に、経営面でもある意味達観のような状態に達していたようです。
「モトグッチは年間5000台売れればいいメーカーだ。良い年でも10000台には届かないだろう」
と明言する重役もいたのですから。

このことを私は「達観」と書きましたが、人によっては
「だからモトグッチは身売りしなきゃならなくなるんだ」
と言うかもしれません。ただ念のため書きますが、これは決して
「どうせ5000台しか売れない」
という諦観などではなく、多くのメーカーがひしめく中で自分達の位置を正しく見据えるのと同時に、拡大路線とシェア争いの行き着く先を知っているからこそ言えたのではないかと思います。

思いはさまざま・・・・・しかしながらベッジオ氏後、V11シリーズによってニュースが多い状況を演出しましたし、新しいデザインのアパレル・ラインナップも発売されたりしました。こうした表面的な部分だけ見てもモトグッチの活性化に貢献したことは間違いありません。
そして最も懸念されていたのではないかと思われるモトグッチブランドの取り扱いですが、この点ベッジオ氏はグッチスタ達の気持ちというものを先んじて理解していたような気がします。モトグッチに限らずオートバイファンならきっと少なからず抱いてるメーカー愛に水をぶっ掛けるようなことはなく、グッチスタの前ではアプリリアのアの字も出さなかったのでした。
モトグッチを傘下におさめて君臨する征服者のように見られていたイヴァノ・ベッジオ氏・・・・・実は彼自身がモトグッチへの憧れを持っていたとしても不思議はありません。彼がアプリリアの社長になり、モペッドや小排気量モトクロッサーを作り始めた60年代の終盤に、モトグッチはあのV7を発売しました。アプリリアから見ればモトグッチはレースでの栄光を冠したはるか先を行く巨大メーカーだったのですから。
もちろん経営者として、純粋に救済のためにお金を施すようなことはなし得ません。ただ敬意あればこそ、新オーナーでありながらモトグッチ愛を身にまとっていたように思えて仕方ありません。





あとがき的に・・・・

冒頭「この時期・・・」とありますが、実は書き始めたのは4月ころでした。思い出し思い出し取りとめも無く書くものですからたったこれだけのものに時間がかかってしまいました。
イヴァノ・ベッジオ氏については、その後経営難に陥り、創業の父親から引き継いだアプリリアを彼自身が去らねばならなくなったこともあっていくらか同情的に見てしまっているかもしれません。

「モトグッチは年間5000台売れればいいメーカー・・・・」
というスタンスは気分としては大いに同調するところですが、私共モトグッチリパラーレはモトグッチでのみ仕事をさせていただいているので、モトグッチ・ユーザーはやはり増えて頂かなくてはなりません。
モトグッチには強い個性があります。ゆえにモトグッチに選ばれるライダーは限られているのかもしれません。要はウマが合うかどうか。だからどうかじっくり、余分な情報に惑わされずに、何も足さず何も引かずに乗ってみてください。感覚にはライダーそれぞれの経験値も反映されるのです。またどんな趣味でも同じですが何かを始めるとき、いきなりネット情報のごとく行動・体感できるはずもありません。モトグッチに乗るという人生・文化・・・・・それは長く乗って初めて生じる、自分で積み上げてゆくものなのですから。



mas

verso sera
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虎徹

私は小説はたまに歴史小説を好んで読みますが幕末はすっかり手薄でありまして、たとえば人気者の坂本竜馬について書かれたものは読んだことを思い出せないくらいです。それでも手薄とはいいながら、幾度も読み返すのが司馬遼太郎の「峠」であり、たまに拾い読みする「新撰組血風録」があるのです。
新撰組血風録のなかで司馬遼太郎は近藤勇の佩刀、長曽祢虎徹入道興里(ながそねこてつにゅうどうおきさと1596〜1678)作、通称「虎徹」(こてつ)について書いているのですが、「見たら贋物と思え」と言われるこの刀については諸説紛々、司馬遼太郎が採用した説によれば近藤勇の佩刀は源清麿(幕末の刀工)の刀を虎徹だと信じこまされたものとしています。

さて、長曽祢虎徹入道興里についてはウィキペディアでもご覧いただくとしてその作品である虎徹のほうですが、新撰組血風録では虎徹のことを評して
「姿(なり)こそわるい。しかしその鋭利なことは、平安、鎌倉の古鍛冶でもおよぶものはすくない」と、また
「最初のひと目がわるく、一種の不快感をおこさせる。が、身辺に永くおけばおくほどその姿がおちついて来、ついにはこれこそぬきさしならぬ姿だ、とまで惚れこませる力をもっている・・ ・」と書いています。

さらに、とある大旗本に注文された虎徹を届けたところその見た目があまり喜ばれなかったので 、虎徹入道は庭にとびおり松の大枝をサクリと斬り、勢いあまって枝の下にあった石灯籠に数セ ンチ切りこみながら刃こぼれひとつせず、大旗本は怖れ、無礼を謝して刀を納めた。これを石灯籠切と呼ぶ、というエピソ ードも紹介しています。

私がなにより気に入ったのはこの虎徹評でした。
初見はわるい、がじきに抜き差しならぬ姿だと見惚れるようになり、そして斬れる。
これはモトグッチと同じではないか!!と。



******************************

なんでもモトグッチにつなげて考えるのは悪いクセでしょうか。どうぞ笑ってやってください。
そういえばモトグッチをスコッチウィスキーのモルト(原酒)のひとつであるラフロイグにたとえた方がいらっしゃいまして、なかなかうまい事をおっしゃるなあと思ったものです。ラフロイグは初めて口にすると一瞬「えっ、これはウィスキー!?」と思わせるほどに独特の香り(俗に薬品臭などと言います)が強いのです。そこをモトグッチが個性的であることに重ねられたのでしょう。

・・・・・が、ネットで調べていましたらドカテイをラフロイグにたとえて語る方もいらっしゃるようです。モトグッチとドカテイがラフロイグで競合してしまうならば私が交通整理してみましょう。硬質でシャープなイメージのドカテイはハードな口当たりのタリスカ、モトグッチはラフロイグと同じアイラ島産で同様に強い個性を持っている、スモーキーフレーバーが特徴のアードベックというところではいかがでしょう。ラフロイグはもちろん好きですが、あれほどにモトグッチは奇でしょうか?
おっととと、奥が深いスコッチのことを安易に書くと後難が恐ろしいのでほどほどにしておきましょう。お口直しにムゼオ・モトグッチ、モトグッチ本社の博物館に掲げられているポスターをご覧ください 。



ポスター

どうでしょう?なかなか洒落たポスターだと思いませんか?ただ、さまざまな異論も聞こえてきそうです。それはドカテイでは?とか、いやむしろグッチはマセラーティーが・・・とか、あるいはフィアットだろう!とか?

こんな論争で遊ぶのも楽しいものです。ただしそれは気の合った相手とだけにしておくべきでしょう。本来こんなことはそれぞれが好き勝手に思いこんでいればよいことなのですから。そもそもなにをもって、どこに注視してオートバイを評価するかは人それぞれなのですから。そもそもそれぞれの経験値が異なれば、測りをあてる角度が上からであったり下からであったりとまちまちなのですから。

ちなみに日本のグッチスタは日本でのモトグッチのシェアから見ても、あえて書きますが、いずれ「ひとくせある」ライダー として分類されるべきなのかもしれません。シェアが少ないのはモトグッチに乗るに至らないなにかしらの障壁、たとえば性能・価格・外観・悪評?(たとえばアフターサービスが悪いなどの?)、どんな理由かそれはわかりませんが障壁があるはずで、私たちはそれらを乗り越えてしまった、あるいは感じなかった面々なのですから。
そういう意味では・・・・・・・・先の「初見はわるい」というのは見た目の好みであったり、一般に慣れぬ乗り味であったりを大きく捉えて書いたつもりですが、そんな障壁をいつのまにか乗り越えて、すでにモトグッチとともに人生を歩んできてしまっているグッチスタからすれば「初見がわるい」と言われても「そういえばそうだったかなあ?」というほどのものでしかないはずです。

こう書いてしまうとモトグッチはやはり奇なるものであって、それを受け入れたグッチスタもまた奇なり、その他の多くのライダーにモトグッチは受け入れられないということになってしまいそうです。ただそこから先が芸術作品と、乗り物や道具(芸術性・神秘性があるにせよ)との違いなのです。先の石灯籠切虎徹のエピソード同様、「使えば斬れる」からです。第一印象が悪くても、使い込むとそれが徐々に変わってゆく・・・・・斬れるようになるまで時間を要するかもしれませんが。



******************************

さあ、虎徹のことを置き忘れていました。

この記事を書く前に虎徹の話を持ち出した際、志賀がすぐに「今宵の虎徹は血に飢えている」というセリフを口にしたのです。映画かなにかで有名なセリフらしいのですが、出典が正確にわかりません。私にはまったく記憶がありませんので少なくとも私が物心つく前の作品だとすると

1928年「新撰組隊長近藤勇」 近藤勇役 阪東妻三郎
1954年「新撰組鬼隊長」 近藤勇役 片岡千恵蔵
1963年「新選組血風録 近藤勇」 近藤勇役 市川右太衛門
1965年「新選組血風録」(テレビドラマ) 近藤勇役 舟橋元

などがあるようです。
「今宵の虎徹は血に飢えている」などと臭いセリフを言ったのは誰?・・・・・・志賀は片岡知恵蔵あたりでは?という記憶だそうです。いずれにせよ司馬遼太郎の「新選組血風録」が原作であればそんな芝居がかったセリフは馴染まないような気がしますので前2作ではないでしょうか。

でも・・・・・・・ちょっと待ってください。モトグッチに「開けろ開けろ!!」と言われたことはありませんか?高速道路で「戻すな戻すな!!」とけしかけられたことは?そして巡航速度が少しづつ上がってゆく・・・・・・・・・血に飢えているのはモトグッチなのでしょうか!?
「血に飢えて」はフザケすぎだとしても、ここまで来たら本物の虎徹を見ないでは済まなくなりました。



刀剣博物館

いろいろ調べると京王線初台駅近くに刀剣博物館があり、5日からの新春名刀展の展示リストに虎徹があるではないですか。そこで年明けて5日、さっそく行ってまいりました。

入り口すぐに国宝の鎌倉期の古刀が据えられ、そこから数々の刀が年代順に並べられています。順に見ていくと映画「魔界転生」でその名を覚えた「村正」があるのを見つけました。徳川将軍家に仇なす妖刀というのは伝説に過ぎないのかどうかわかりませんが、あの村正です。ーー以下、私は刀剣鑑賞についての素養がないことをご承知のうえお読みくださいーー見ると刃文がゆるやかに波打ち、スラリとした姿いかにもカタナ!という印象に、わかりもしないのに「さすが村正」などと心中思ってみたりしつつ、これを基準に虎徹と比べてみるのもよさそうです。

さらに歩を進め一本一本ゆっくり見ていくと、奥の展示棚に異彩を放つ刀が待っていました。虎徹です。よくみるとその先にも虎徹がずらり、全展示32振り中7振りの虎徹が展示されていたのです。下調べしたホームページにはそのようには書いてなかったのですが、なんとこの新春名刀展では寅年にちなんで虎徹を大きく扱っているということなのです。
さて異彩というのは刃文。新撰組血風録にも描かれている数珠刃というその刃文は、小さな目玉が無数に並んでいてこちらを見据えているかのよう。数珠刃という名のみを知っていて現物を知らない私がみてもすぐにそれとわかるほどのものだったのです。最初に視界に入った万治4年(1661)作のひと振りの刃文がもっとも顕著で、あとのほうに並ぶ延宝2年(1674)のものはなだらかに抑え目な乱れとなっていました。

歩みもどって他の刀と比較してみます。すぐにわかるのは反りが村正や、村正に同じ室町時代の作で名も知れている備前長船などと比べて浅いこと。そして幅があること。これらはどうも時代の特徴のようで、虎徹と同時代のものは同様に反りが浅く、切先(帽子と呼ぶそうです)短く、やや先細りながらも手元近くは幅のあるどっしりした姿です。これは永い戦乱ののちにできあがったかたちなのでしょうか。最後の大規模戦闘であった島原の乱(1638)から23年経っているとはいえまだ戦士の生き残りもいたことでしょうし。
ただこの比較では新撰組血風録にあるような「最初のひと目がわるく、一種の不快感をおこさせる。」という虎徹像は見えてきませんでした。その時代に刀の所有階級として生き、前後の流行や使い心地まで体験したうえでないとその不快感というものはわからないのかもしれません。

しかしおかしなことにその「長曽祢興里虎徹入道」と銘のある数珠刃の刀を見たあとは、最初に「これぞ日本刀」と思わせた「村正」をはじめ他の国宝や重文クラスも色あせて見えるのです。すでに虎徹にひいき目たっぷりな心持ちに至っていることは否めませんが・・・・・・決して血に飢えているようには見えず、ほれぼれするような美しさという感触でもなく、なぜオマエはそういう姿なのだ?と見つめずにはいられない・・・・このことなのでしょうか。しかしながら、こうしたアクの強いものを好むへそ曲がりな私の感性がいっぽうで「素晴らしきモトグッチ」と言わせているだけだとは認めたくないものです。

なぜならモトグッチの在りようは必然の積み重ねであり、競争の中でむりやり独自性を出さんとしたり奇をてらったりした結果のものではないからです。もちろんデザイン面でも同様にV10チェンタウロがそうであったように最初は「うっ!これはどうだろう!?」と思わせたものが、ある瞬間、ある角度からふと見たときに「これか!!」と気づかさせる美しさを持っているのです。
まあそれでも世界の大メーカーが4社もひしめく日本にいながらモトグッチを選択するグッチスタははたから見ればやはりどこかしら「ひとくせある」ということになるのでしょう。言わせていただくならば日本のグッチスタは「奇」というよりは「稀」。稀(まれ)なる眼識を持つ人々であり、また最初はモトグッチのあれこれを識しらずに乗り始める人々(私がそうでした)は稀なる幸運の持ち主なのです。
そしてモトグッチは「奇」というより「綺」にして「驥」(き)なる、美しきたくましき相棒です。たまに血を欲する(!?)茶目っ気を見せますが、そんなところも私たちをとらえて離さないのです。

ことしの干支の寅にかけたつもりはなかったのですが、おまけに私は鷲の子の一人のつもりですから虎にはシンパシーを感じないのですが、不思議とこの年末年始は頭から「虎」の一字が離れませんでした。しかし今年も鷲年のつもりで我田引水、なんでもかんでもモトグッチに結びつけて考えてゆこうと思っております。



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