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V65 再生記 <11>

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前回、再生記10でフロリダとは別のタンクを載せた画像で終わりました。あのあと車輌をペイント屋さんに持ち込んで、デザインは?どんなカラーリングにするか?などなど楽しい打ち合わせをしておりました。車体の完成形のご披露はいましばらくお待ちいただければと思います。
 
ペイント屋さんに持ち込むためにオートバイのかたちにはなっていましたが、実は未整備の箇所が残されたおりました。V65を押せるようにするためにファイナルギアケースもリアホイールも装着していましたが、実はファイナルは空っぽだったのです。 
 
V65 再生記<3> に書きましたがファイナルギアに異常磨耗が発見されまして、これはいずれ音になって顕在化するだろうと思っていましたので、新品のギアセットをイタリアに発注しておりましたが完成予定日に間に合わず、塗装を先に、ファイナルは後回しにしたのでした。


 
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さて、V35〜V65の基本マニュアルにはストレートな形状のピニオンシャフトの写真が載っています・・・・・・が、じきにシャフトのピニオンギア側が太く強化されたものにかわりました。 
これはストレートなシャフトのままでは振れが起きるなどして、ベアリングのクリープを誘引するなどの不具合が確認された結果かと推測されます。ベアリング交換など部品調達の際は同じものを2個なのか?大小2個のベアリングが必要なのか注意が必要です。
 
ちなみにこの部分に関わるところでは、V35イモラ兇筍孱僑汽薀螢が発売され、それまでの18インチリアホイールの16インチ化と同時にリアショックが長くなった(1インチ分25.4mm)ことに起因すると思いますが、その分ファイナルケースに加工が施されてピニオンシャフト部にオイルがより届くようになりました。
これはスイングアームの垂れ角度が増えて(ファイナルケースが下がって)、従来モデルよりもピニオンシャフトのベアリングにファイナルオイルが届きにくくなったことに対応したものです。もしPS・PSJ・PT・IPSなどのモデルでファイナルのオーバーホールなどの作業をした際にこの加工「オイル穴増設」がまだ為されていなかったら、やることをお勧めします。
 
続いて、ファイナルケースを組む過程は書こうと思えばいろいろ書けるのですが、このモデルならではな部分、これはと思う部分を書いてみようと思います。
まずは奥のニードルベアリング(進行方向右側)のセット。インナーレースをドライブフランジに組むのですが、浮き上がり防止のCリングを溝にはめこむ際は、画像のようにまず切り欠きのほうをセットしてください。ついついまず弧のほうをはめ込んでからパチンパチンと切り欠き部をはめ込みたくなる場面ですが、そうすると鋭利な切り欠き部がドライブフランジの中空シャフト部(ここは奥のオイルシールのリップの当たり面になります)をこすって傷をつける危険があるからです。
 
また画像右側にありますが、Cリングをセットできたら奥のオイルシールを外す際の特殊工具でインナーレースを少し持ち上げてください。実は過去、このCリングが走行中にはずれてオイルシールを傷めてオイル漏れにつながった例があるからです。インナーレースをわずか持ち上げるだけでCリングを落ち着かせて脱落を防ぐことができます。この"わずか"の加減に注意してやってみてください。


 
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上の画像はいざ組み立てというところです。この手前の段階でケース(奥)に、ワッシャー(インナーパイプのための)、オイルシール(向きに注意)、薄いワッシャー、ニードルベアリングのアウターレースを順に組み込んでいきます。画像を押さえ忘れてしまいましたが、アウターレースを組み込むときはケースを加熱して慎重に入れなければなりません。すべてが収まったら最後にインナーパイプを組みますが、せっかく入れたオイルシールに不要に接触しないよう気を付けます。
さて画像に戻って、本組みをする前にシム調整があります。ピニオンギア面に光明丹(オレンジ色のもの)を塗って回転させ、ピニオンギアとリングギアのどの位置で接触しているか確認してシム調整するのですが、何度かケースの脱着をしなめればならないので、その際奥のオイルシールを傷めないように、シリコングリス等を塗るなどして、引き抜くときもまっすぐ引き抜くなどオイリシールに余計な負担を与えないよう丁寧に脱着します。
 
接触痕を見てシム調整をどう判断するか?はワークショップマニュアルにも書いてありますが、構造がわかっていればわかると思います。ケースの紙ガスケットは厚さ0.2mmありますが、締め付けると0.1mmになるのでご注意ください。
また、ピニオンシャフトのシムは増減させるのではなく、前後に移動させるだけで厚みの合計は変わりませんのでご注意ください。この部分の厚みは前後から向かい合っているテーパーローラーベアリングのインナーレースの位置決めをしていますので、ここが狂うとテーパーローラーベアリングにガタが出たりストレスが強すぎて異常磨耗が起きたりします。
 
これで完成〜。画像右側のスタッドボルトに引っ掛けてあるパーツはピニオンシャフトのカラーで、ファイナルケース前部のオイルシールが当たるところでもあります。線が見えますでしょうか?オイルシールのリップの跡が溝になっていました。まだ故障の段階ではありませんが、せっかくここまでバラしているので予防整備の意味もこめて交換しました。こんなのがX000円するんですよ〜!でも走り出してから「しまった!」となっては元も子もないので・・・・・。


 
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完成したファイナルケースをスイングアームに組み付けます。ドライブシャフト・カラーにグリスアップ、スプリングやプレートも忘れず正しく組んでください。書き忘れました。ピニオンギアの四角いフランジは90度ごとに4位置で組むことができますが、天地が決まっています。よく見ると上に線が入り、下に「B」と打刻されています。低い=bassoかなと思います。
 
4本のスタッドボルトがすんなりスイングアームにおさまったら、慌ててナットを締めずに仮止めにとどめて、アクスルシャフトを通してから本締めをしてください。なぜなら、例によってスイングアームの穴にも遊びがありますから、ファイナルケースがわずかにずれて組まれることもあります。ホイールを組むときになってこのずれのせいでアクスルシャフトが素直に入らなくなってしまいます。あらかじめアクスルシャフトを通してから本締めすれば、ストレス無く手ですいすい通るようになるはずです。のちの整備性をあげるためにもこういったところにも注意したいものです。
 
続いて、ファイナルオイルを入れます。オイル量はレベルホールで計ることができるわけですが、これはレベルホールからオイルが出てきたらOKというわけではありません。レベルホールからオイルが出きったことを確認しなければなりません。なぜならファイナルケース上部にある注入口から入ったオイルが全て落ちていくまでにはタイムラグがあるからです。そこを踏まえて一気に入れずにそろそろ?の一歩手前で加減するのもスマートな整備の一手なのかもしれません。
 
さあ、主要な構成部分がようやく組みあがったところで配線やケーブル類も装着します。簡単にパッパとやってるように見えて結構真剣に考えて取り組むところです。ワイヤーハーネスやガスケーブルなどをタイラップでガチガチに締め付けているのを見ますが、それによってカップラーが浮いて通電不良になったり、ガスコントロールケーブルが自然な動きができず(ステアリングを左右にきったときなどに)エンジンの左右シリンダーの動きにばらつきが出たりします。メーターケーブルはらせん状のケーブルなので曲がりに対応しつつ回転運動をメーターに伝えるようになっていますが、取り回しのうえで曲率がキツイ部分が折損の原因になるのでいかに余裕を持たせてやれるか考えます。
 
もうすぐ火が入ります。完成間近となりました。


 
mas
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