Home

冬眠される方へ

関東でも北部山沿いでの積雪のニュースが聞こえ始めました。地域によってはもう雪解けまで走るのはお預けですね。

ところで、
「週に一度はエンジンをかけてやってる」
というようなお話をいまだに伺います。長くお付き合いいただいているお客様にはそういう方はいらっしゃいませんが、初めてリパラーレをのぞいてみた、たまにパーツなどを買いにお見えに、というお客様からそういうお話を伺うことがあります。

お付き合いの浅い方にズバリと間違いを指摘するのもどうか?………と曖昧に話を流すこともありましたが、いい機会ですから少しご説明します。

結論をまず言いますと
乗らないならエンジンはかけない」これにつきます。
車庫で30分回し続けても、いくら空ぶかしを繰り返しても、実走行での負荷には及びません。「チョイ乗り」も同様の扱いです。


皆さん暖機はしなければならないとご存知でしょう。またオーバーヒートがいけないことも。漠然と伝承されている通り、つまりエンジン各所の温度やエンジンオイルの温度には一定の幅が要求されているわけです。
「1100Sport-inj./DAYTONA-RS最新は最良?」参照)

燃料が燃えると水分を発生します。その水分はクランクケースに浸入してエンジンオイルに混入します。そして油温が85度を下回ったままエンジンを止めると、混入した水分が気化分留せずにエンジンオイルの劣化が早まるのです。
また低温・低負荷・低回転では、ガソリンの気化も不十分であったり混合気の流速が低過ぎたり、燃焼室において不完全燃焼を起こしたり(「スパークプラグの話」参照)するので未燃焼ガス(ガソリン)もクランクケースに浸入してエンジンオイルに混入して、オイルを希釈してしまいます。
もうひとつ低回転の弊害として油圧が低すぎてクランクメタルを傷める可能性が大きいことも心配です。


チョイ乗りもチョイがけもいけない、では乗れないあいだはどうすればよいか?

たまに火を入れないと動かないのでは?
前回動いていた機械が、内部状況に変化ないのに今回動かないということは起きません。変化を小さく留めればよいのです。そこでガソリン。
最後に乗ったら家に着く前にコックをOFFにしたまま走行してフロートチャンバーを空にするか(ガス欠でちょうど家に着けばよいのです)、安全に作業できるならチャンバーのガソリンを抜く。インジェクション車はすることがありません。そして次回乗るときにコックを開けばタンクから状態のよいガソリンが供給されます。

油膜が切れてしまう?
プラグを抜いて、センタースタンド車ならギアもいれて、セルモーターで空クランキングしましょう。5〜6秒を数回やれば十分です。バッテリーが弱い、もしくは外しているなら、ちょっと大変ですがギアを入れてリアタイヤを手で回す方法もあります。(ニグジル・メッキのかかっているモトグッチのシリンダーはひと冬で錆びたりしませんが、エンジン番号VE80389以前の850ルマン・ルマン兇話鯏乾轡螢鵐澄爾覆里脳綉作業をやっておいて損はありません。)
サイドスタンド車でミッション系にオイルを回すには、ギアを入れてクラッチを切って押し歩けばよいです。リアタイヤひと回り押して戻れば十分でしょう。

長期保管後、ピストンリングの油膜切れで圧縮が得られずに始動できなくなることがあります。そのさいはプラグホールからスプレーオイル(粘度の高いスプレーグリスは不可)か浸透潤滑スプレーを吹き入れてください。見えないながらもシリンダーウオールを1周ぐるりと吹きつけるイメージで。そしてプラグをつけずに空クランキングを2〜3秒してやれば大丈夫です。


気にすればキリがなく、やろうと思えばまだすることはありますが、まずはこれで春を待ってください。冬でも乗り続けられる環境にいるグッチスタは乗れない方の分も頑張って乗りましょう!



mas

GUZZI Tempo <4>

ここで避けて通ることのできない問題があります。それは同じイタリアの雄、ドカテイの存在。

モトグッチと同じ90度Vツインエンジンを積むドカテイ、果たしてモトグッチのように単調な走りをものともしない“何か”を発しているのか。いや、ドカテイの場合クルージングが楽しいとか得意などの話はあまり聞いたことがありません。もっともクルージング不得意というのはエンジンや各部位の操作性を見ると、その反応のよさが神経質な乗り味に繋がってしまって長いクルージングでは疲れが早くくるという面は否めないであろうし、それにモトグッチのようにしっかりした重量を持つ回転マスがクルージング中の車体の安定に寄与するというメリットも少ないという点もあるでしょう。
それより肝心なエンジンからの“何か”という点を考えてみると、同じエンジン形式であれば、燃焼間隔であれば、モトグッチのように心音と同じリズムを刻んでいるのは間違いないのです。ただし、その伝わり方と増幅効果に差違があるのではと。


ducati

燃焼のテンポが乗り手にいかにして伝わるか追ってみましょう。
BANG!燃焼室内で燃焼
→→パルスはピストンからコンロッドへ伝わり
   同時にシリンダーヘッドからシリンダーへ伝わり
→→コンロッドからクランクシャフトへ
→→クランクシャフトボスからクランクケースへ
   シリンダーからもクランクケースへ
→→クランクケースからフレームへ
→→フレームから車体構成各部へ
→→接触箇所を通じて乗り手へ

上記の流れのなかで特に注視したい要素がクランクシャフトとクランクケースです。どっしりと頑丈な一体式クランクシャフトが太い径を持つボスを通じて、剛性の高いドーム型クランクケースにパルスを伝える。だが果たして剛性が高いとパルスの伝導がいいのだろうか。少なくともよい音を響かせるには振動体に硬さあるいは張りが必要なのは確かです。クランクシャフトのボスも小さく、クランクケースはコンパクトに設計しボルト留めの左右分割にしたドカテイ (もっともドカテイのエンジンレイアウトでクランクケースにボリュームを持たせたら地面に接してしまいますが)。軽く速くというレーシーな発想からなるドカテイと、重くても丈夫にという実用の発想からなるモトグッチとの違いがここで出ました。


v-twin l-twin

そしてもうひとつがエンジンのレイアウトの違い。車体中心、と言うよりフレームマウント位置から見てパルスの発生源である燃焼室が左右に遠く張り出しているのがモトグッチ(クレードルフレーム・バックボーンフレームともに)で、マウント位置と並行して抱え込まれるように前後にあるのがドカテイ(ダイアモンドフレーム・トレリスフレームともに)です。モトグッチの場合、中心線から離れたところで発生したパルスは、あたかも音叉のように鳴動の自由があるエンジンに増幅されつつフレームに伝えられてゆくのでしょう。

これらがドカテイは持ち得ない、モトグッチが圧倒的に優位な条件なのです。せっかくの心音テンポのパルスを、ドカテイは残念なことに乗り手にしっかり伝える条件を満たしていなかったということになります。

これでもはや、この乗り手に訴えかけてくるエンジンの声はモトグッチ特有のものと考えてよいでしょう。これを“グッチ・テンポ”と名づけます。ちなみにtempoという英単語は馴染みのあるものでしょう。が、実はイタリア語を語源としています。スペルも同じtempoで、英語と同じ時間や間隔や拍子をあらわすほかに楽章やピストンの往復運動も意味し、また天候をさす言葉としてよく用いられます。Che bel tempo!なんていい天気なんだ! “テンポ”は芸術性に富んだ素敵な単語ですね。


cielo

意識上では気づかないほどにわずかな“1/f ゆらぎ”を人は感知し心地よさを感じる、ならば生体が持っているものと同じリズムを感知すれば、それも人は快感として感じるのではないか。“グッチ・テンポ”、自然物の持つゆらぎを心地よく感じ取るという“1/f ゆらぎ”と同様に、人間の心音と同じリズムを刻んでグッチストを至福のライデイングにいざなうのです。

さてその実態はどんなものかというと、1サイクル(2回転)に1回“グッチ・テンポ”が発生するのですから仮に5000rpmでクルージングしている場合は毎分2500回ということになります。毎秒だと41.6666・・・・回、さらに1回あたりにかかる時間は0.024秒。先の心音“ドックン”に重ね合わせると“ドッ”に0.009秒を、“クン”に0.015秒を費やしているのです。
「ほんとうにそんな短い時間のことを感じてるのか」
疑問はもっともです。ですが安心していただいて結構です。“1/f ゆらぎ”を紹介した際に“星のまたたき・火のゆらめき”にも“1/f ゆらぎ”があらわれていると触れましたが、それはスペクトル分析のうえでようやく確認できる複雑で微細なものなのです。そんな“ゆらぎ”を無意識下にせよ感知する私たちですから“グッチ・テンポ”を感知するのもたやすいことなのです。


lemans III

それにしても、モトグッチの心音と人間の心音がシンクロしていたなんて。そしてグッチスタはそれを気づかぬうちに感知してどんなシチュエーションでもモトグッチをうれしげに駆る。新型旧型を問わずに発生する“グッチ・テンポ”は全てのグッチスタを魅了するのです。そういえば糸口は高速巡航でしたが、“グッチ・テンポ”は回転数を選ばず発生している。どの回転域でも面白さを示すモトグッチの秘密はまさにこの“グッチ・テンポ”でもあったのでしょう。そしてこれは2気筒が好き4気筒が好きなどという単なる嗜好の問題に留まらない・・・・・なぜなら人間であれば必ず惹かれてしまうはずの“テンポ”なのですから。

どこだったか覚えていませんが、ある海外のモトグッチサイトにこんな文章がありました。「人間には2種類いる。モトグッチに乗っているか、乗っていないか」。 しかしいま、“グッチ・テンポ”が発見された以上、こう書き換えられねばならないのです。「人間には2種類いる。モトグッチを知ったか、まだ気づいていないか」

さあ、これをどう受け取るかはアナタ次第です。


guzzista

(4/4) mas

エンジンRPMと油圧

CrankShaft.jpg

*エンジン回転数と油圧とトラブル

一般に4ストロークエンジンはエンジンオイルをオイルポンプでエンジン各部へ圧送し潤滑・冷却等をしています。
圧送ですからオイルラインに圧力が掛かっていますが、エンジン回転数が低い時は圧力も低くエンジン回転数が高い時は圧力も高くなりますのでモトグッチでは約4kg/c岼幣紊砲覆蕕覆ね佑縫廛譽奪轡磧璽譽ュレターで油圧をコントロールしています。(DAYTONA1000は5kg/c屐
(当然エンジンが起動していない時は油圧は発生していません。0kg/c屐

モトグッチは他の4ストロークと同じく、高加重に耐えるようにクランクシャフトの支持とコンロッドにプレーンベアリングを使用しています、このプレーンベアリングは先の油圧により理論的にはプレーンベアリングとクランクシャフトとは直接接触せずに圧力が掛かった油膜によりフローティング状態で運転されていますので、金属同士は接触していません。


s-クランクシャフト下からの図.jpg

エンジンへの悪影響は油圧が低い時に現れます。
「モトグッチのVツインの鼓動は心地よく楽しい」などとモトグッチの特徴みたいによく表現されますが、実はVツインの鼓動を感じる時はエンジン回転が低い時です、つまり油圧が低い状態です、4速以上のギヤポジションで頻繁に低回転(概ね1500rpm以下)を使用すると、Vツインの鼓動を聞いているつもりが実はノッキングを発生していてクランクシャフトとコンロッドが先ほどのフローティング状態で運転できなくなり数千キロでプレーンベアリングが潰されクランクシャフトの整備を余儀なくされます。


又、低油圧の弊害はカムシャフトにも現れます、カムシャフトの潤滑はフローティング状態を維持する事ではありませんが油圧が低いとカムとプランジャー(タペット)の潤滑不良で早期磨耗となりHP・テクニカルの項にもありますようにバルブ騒音と設計者の意図したバルブ作動と異なりエンジン不調の原因となります。


今まで上記のクランクシャフト関係のトラブルは稀ですが「モトグッチのVツインの鼓動」を間違った楽しみ方をするとあなたもモトグッチを壊すかもしれませんよ。オイル管理を怠らずエンジンはよく回して油圧を上げて乗りましょう、油圧が上がる事はオイル送油量が多い事ですから、エンジン各部の潤滑と冷却にもよい事です。-----回しても壊れませんから大丈夫です。


*「Vツインの鼓動を聞いているつもりが実はノッキング」の弊害は動力伝達機構にも発生しますが次の機会にお知らせします。


RIPA-Shiga

1/1

Home

Search
Feeds

Page Top