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排気ガスとバルブタイミングNo.2

排気ガスとHC(ハイドロカーボン/炭化水素) No.2
EX.Chamber.jpg

前回はバルブタイミングとHCの関連を述べましたが、今回はHC排出の他の理由を考えて見ます。

  続きのテーマHCはハイドロカーボン(炭化水素)ですが一般に燃料としてのガソリンは液化炭化水素です。燃焼する過程で酸素[O]と結びつき水蒸気[H2O]と二酸化炭素[CO2]に変わりますが、整備不良や空燃費燃料過多などで燃焼が不十分ですと一酸化炭素[CO]を発生させ光化学スモッグの発生など大気汚染の原因となり、又、HCのまま排出されると、HC(ガソリン)はエキゾーストサイレンサーの熱により気化され大気中のHC濃度を高めてしまいます。
先述の高回転を重視したバルブタイミングを含めた吸気系・排気系のセッティングと相俟って、低回転時にはガソリンの最良な燃焼は行われにくく、シリンダー内では不完全燃焼を起こし燃費の悪化と設計者の意図した性能は発揮していない状態です。

又、パワーアップと称し排気抜けの良過ぎる音の大きなコンペティション型マフラー(サイレンサー?)、のために吸気系の空燃費をリッチに振ったセッティングと燃料冷却の為のセッティング-----常用する低中回転域では特にガソリンの不完全燃焼の起因となり、エンジン内部の温度が上がらずカーボンの堆積、吸気系内部のHC過剰・排気系の低温度(と言いましても火傷はします)。------サーキット走行でもしない限り弊害ばかりです。


皆さんはツーリングに行かれたときに往路より復路の方がエンジンの調子が良くなったと感じませんか、
ツーリングのみに使用されていますと判りにくいと思いますが、ライダーが一般道を多く使用される場合ツーリング復路のほうがはるかに快調になっていると思います。-------------何故?
エンジンの快調さは、高速道路走行などで高回転域を使用し高負荷運転が多い為吸気系・排気系の流速も速くなり吸気ポートに余分なHC成分も無くなり排気系の温度も上昇しエンジンが良好な燃焼を継続して各部の温度も上昇しエンジンの調子が良くなるのです。(設計者はこの状態をベースに設計しています)

現在各エンジンメーカーでは全ての回転域で最良の燃焼を目指しバルブタイミングコントロールやスロットルコントロールなど色々な技術を開発していますがスペースが限られている二輪車には採用は困難な状況です。
我々に一番身近なレシプロエンジンは全ての回転域で最良の燃焼をして高い平均有効圧力[ kg/c ]を得る事の出来るエンジンではありません。------もしも、あるとすればそれは神様が創ったエンジン?

結論は、------
メーカーの設計者はあなたのライディングの事を良く理解して最適性の妥協点を見出したモデルを設計していますが、ライダーの皆さんは使用状況にあったモデルの選別と定期的に正確な整備の実施とそのエンジンの性格に合ったスロットルワークを含めたライディング必要です。
そして、----我々は、そのお手伝いをしています。

*今回のテーマがスポーツモデルのライディングに付いて何らかの参考になる事とこれからも良好で楽しくて安全なそして環境問題を少し考えたモーターサイクリングを過ごされる事を願っています。
出来れば、MOTO GUZZIで。


RIPA-Shiga
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排気ガスとバルブタイミングNo.1

排気ガスのHC(ハイドロカーボン/炭化水素) No.1

-------これからの記述はMOTO GUZZIに限らず一般の二輪車にも言えることです。Diagram.gif

昨年2008年9月より二輪車の排気ガス規制がスタートしました。この日本の排気ガス規制は世界で最も厳しい規制です。
最初は二輪車は規制対象外でしたが、国土交通省で全ての車両の排気状況の調査段階で二輪車のHC(俗にガソリン成分)排出量が多い事が判明しまして排気ガス規制対象となりました。

二輪車は他の車両よりHCの排出量が多いのは二輪車の高出力が起因しています(リッター馬力が高い)、製造者は高性能高出力を目指して二輪車を設計製造していますが高出力を得る為には、より多くの空気と燃料(混合ガス)を吸入し、圧縮し、最適なタイミングで点火し、混合ガスを燃焼・膨張させて出力を得て、排気し再び新気混合ガスを吸入します。
この4工程全てにHC(燃え残りガソリン)を発生する要素を含んでいますが、多くの空気と燃料(混合ガス)を吸入するには出来るだけ長い間吸気バルブを開けている事が必要です。又、多くの新気混合ガス吸入する前には排気工程での全ての排気ガスを排出する為に排気バルブを出来るだけ長い間開けシリンダー内の圧力を下げる事が必要です。つまり、高出力を求めればバルブの開弁時間を長くする必要があり上図のバルブダイヤグラム的に言い換えればバルブ作動角度を広くする事となります。

何故、バルブ作動角度を広くするとHCが増えるのか?
それは二輪・四輪問わずアイドリングから最高回転数まで幅広くエンジン回転を使用する乗り物だからです。

参考までに下記にMOTO GUZZI主要の各モデルのバルブタイミングを記します。
*OHV 2バルブ****
:850LeMans------
吸気開・上死点前20度---吸気閉・下死点後52度
排気開・下死点前52度---排気閉・上死点後20度
OR(オーバーラップ)----40度

:LeMans1000-----
吸気開・上死点前29度---吸気閉・下死点後60度
排気開・下死点前58度---排気閉・上死点後31度
OR(オーバーラップ)----60度

:V11Sport--------
吸気開・上死点前22度---吸気閉・下死点後54度
排気開・下死点前52度---排気閉・上死点後24度
OR(オーバーラップ)----46度

*OHC 4バルブ****
:DAYTONA1000---
吸気開・上死点前23.3度---吸気閉・下死点後57.3度
排気開・下死点前49.3度---排気閉・上死点後12.3度
OR(オーバーラップ)----35.6度

:MGS-01---------
吸気開・上死点前36度---吸気閉・下死点後70度
排気開・下死点前64度---排気閉・上死点後28度
OR(オーバーラップ)----64度

*OHV2バルブ-ツインプラグ****
:BREVA1200------
吸気開・上死点前24度---吸気閉・下死点後52度
排気開・下死点前54度---排気閉・上死点後22度
OR(オーバーラップ)----46度

*OHC 4バルブ****
:GRISO 8V-------
吸気開・上死点前36度---吸気閉・下死点後62度
排気開・下死点前58度---排気閉・上死点後30度
OR(オーバーラップ)----66度

:1200SPORT 4V---
吸気開・上死点前40度---吸気閉・下死点後60度
排気開・下死点前54度---排気閉・上死点後34度
OR(オーバーラップ)----74度

:1200SPORT4Vは常識以上のオーバーラップ角度を持っています。排気ガス規制をどの様にクリアーしているのか、
さて、?

上記のバルブタイミングはスポーツモデル故の高出力を求める為に設計者が考えましたが、このバルブタイミングが低中回転を使用する時にはHC(燃焼させる事が出来なかったガソリン)排出の原因となります。

参考図のダイヤグラムをご覧になればお判りと思いますが、吸気・排気の各バルブが同時に作動し各ポートが開いている時があります。これをバルブのオーバーラップと言いますが、新気混合ガスや排気ガス等の気体による弾性と慣性の法則の為流速の作動遅れが発生します。特に高回転高出力を得る時にはバルブの作動は早めに開き始め、遅めに閉じ始めても良いのです、必要不可欠の結果オーバーラップが必要となります。

このオーバーラップは排気ガスを排出しながら排気バルブが閉じ始めている時に吸気バルブが開き始めますが、このときに新気混合ガスの一部が排気ポートを通り排気パイプへと排出されます。これはガスの吹き抜けですが、この吹き抜けはオーバーラップの大きい高出力エンジン程低中回転時に多く発生します。
当然、新気混合ガスが吹き抜けますからパワーロスとなりますので、それを補う為に排気パイプとサイレンサーの間に膨張チャンバーを設け排圧を保持しガスの吹き抜けを抑えているモデルもあります。

一方、高回転時にはピストンの動きと吸・排気ガスの流速がバルブタイミングとシンクロし設計者の意図した通りに流れ、吹き抜けは殆んど生じません。 エンジンはパワーバンドに乗り “カムに乗るエキゾーストノート”を発し快調に走ります。
他に排気音の大きいコンペティションマフラーを装着した場合は一般に使用する低中回転時にはガスの吹き抜けは、より顕著となり低中回転トルクの低下とより多くのHCを排出する事となります。

以上がリッター出力の高い高性能二輪車の排気ガスにHCが多い理由の一つですが、他にもHCが多くなる理由がありますが、それは次回と致します。

------次回のもう一つ理由はライダーの心がけ次第で随分と防げるかも知れません。


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