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GUZZI Tempo <1>

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モトグッチは楽しい。乗っていて楽しくてしょうがない。だからこそ20年も乗り続けているようなグッチスタが周囲にたくさんいて、人それぞれにそれぞれの車歴があってさまざまな思いいれをもってモトグッチに乗っている。でも大きく見て、いったいなにがどう楽しいのだろうかとふと考えることがあります。モーターサイクルの楽しさを言うときに、高速道路をトバす・峠でトバす・オフロードを走る・さわやかな風景の中を走る・日本中を巡る・キャンプツーリングする、などこれらは手段としての楽しさ。ほかには、姿を愛でる・塗装や改造を試みる・磨く・誰かに語る(笑)、など興味の対象または素材としての楽しさもあるでしょう。ただそこにはまだモトグッチでなければならないという理由がないのです。 
 
モトグッチならではの良さってなんだろう。モトグッチに乗っている方のなかからは独特のカタチやメーカーの持つヒストリーに惚れ込んで、ひょっとしたら真っ赤なイタリアンがかっこいいから乗っているんだという声もあがるかもしれませんが、まあここでは乗った上での楽しさという部分にテーマを絞っていきましょう。
 
一般によく言われてきたモトグッチの特徴は低回転でのトルクリアクションや加速時のテールリフト、低速トルクと背中を押すような加速感、それに回転上昇とともに収束してゆく振動など。これらの現象を楽しいというのは、つまりモトグッチが示す特徴に面白みを感じているということでしょう。それぞれエンジン形式・配置とシャフトドライブとフライホイールの重量などから生み出される特徴です。乗ったうえでの楽しさという面では低速トルクや加速感や振動収束はいいとしても、残念ながら他にあげられた車体の挙動については一瞬だけの付随的な現象という印象しか持てません。それに低速トルクに関してもモトグッチのよく語られる特徴のひとつではありますが最大の魅力とはいえず、むしろそれはずるずる走る重ったるいモーターサイクルというイメージを先行させがちです。低回転での使用を前提とするなら高回転時において最もバランスのよい90度Vツインという選択はないのです。それはさておきここで問題となってくるのは、これらの特徴がモデルが新しくなるとともに薄れてきているという点です。


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旧型モトグッチ、といっても本当に古いモトグッチは第二次大戦ころから走り続けているので、一応分類をしておかないとまずいでしょう。モトグッチオーナーズクラブのHP記事から近年日本でも一般化した言葉“トンテイ・フレーム”に90度Vツインエンジンを載せたモデル達をおおまかに旧型モトグッチと捉えてください。(1976年から1993年のルマンシリーズなど) その旧型に乗るグッチスタから「新しいモデルは面白くない」という声があがっている。かわって近年のモトグッチに乗り始めたという方に「どうですか」と問うと、「面白い」という返答があってまずはホッとひと安心。他社製のモーターサイクルには無い楽しさがあるというのです。
 
時代は違えどもモトグッチを選んだという点で新旧グッチスタはよく似た趣向・感性・選択眼を持っているはずです。そこで例えばここにSPORT1200があり、これを面白い面白くないと評価が分かれるとしたらそれはなぜなのだろう。もちろん好みというものは単純に分類ができるものではなく、人それぞれに複雑な思いが交わって導き出されるものなのですが、それでもなお、旧型モデルを好むグッチスタの多くが新型に目もくれない傾向は明らかなのです。旧型の各モデルがそれぞれ持っている細分化できる特徴(例えばルマン靴呂匹Δ世箸ルマン1000はこうだとか)についてはこの稿では不問としますが、旧型グッチスタからの「新型車は面白くない」という声はまさに先に書いたモトグッチが持っていた特徴に乏しいからではないかと推測されます。
 
濃い味に慣れてしまったら薄味の食事は味気ないもの。一方、新型グッチスタが「面白い」というのは、特徴の薄いあるいは異なる特徴をもつモーターサイクルから乗り換えたときに感じたのでしょう。(もしそうではなく、生まれて初めて跨ったのがモトグッチで、しかもいきなりウマが合ったのだとすれば、それはとびきり幸運な人生)結局こういった感覚は絶対評価ではなく、自分の体験をベースにした基準との比較が大きな要素になっているはずなのです。
 
いや味付けの濃い新型モトグッチが出れば・・・・・・・・これは言っても仕方のないことで、騒音規制は厳しくなるし排ガス規制も強化され、それらをクリアしてゆくためにますますスムーズでおとなしいエンジン作りが進んでいくでしょう。ならば今後モトグッチは楽しいモーターサイクルではなくなってゆくのか。先に挙げた特徴はさらに薄くなってゆくとして、ではそれ以外に私たちグッチスタを惹きつける何かは存在しないのか。そうでなければ新型グッチスタの皆さんが「モトグッチは楽しい」と語るわけがないのです。


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糸口をひとつ見つけました。それは高速道路に。
そう、高速道路での巡航に不思議な、いいようのない楽しさがある。ルマン靴覆匹得意とするレールの上を行くような走りのことを指しているのではなく、追い越し加速や逆にゆとりのある減速時の、フライホイールの慣性に支配されて1拍待たせるようなあの感覚を言っているのでもありません。そもそもそれらは神経の疲労につながらない特徴であっても楽しさと呼べるのかどうか。余談ながら日本車との比較を問われたときに人間に遠いか近いかという表現をすることがあるのですが、まさにこの1拍おいてジワッと始まり徐々に高まってゆく反応こそが人間に近い優しい動きと言えます。なぜなら私たちを取り巻く機械の進歩に比べて、私たち人間自身の性能は古代よりそれほど研ぎ澄まされてきているとは思えないので。

話を戻しますがなにが妙なのかと言うと、高速道路でもコーナーやアップダウンに乏しい平野や盆地などのルートで一定速度のクルージングをするとき、たとえば音楽に救いを求めるでもなく変化の少ない走行を長々と続けられること。よくそのことからモトグッチに乗ると日本が小さくなるなどと言うのですが、それは最高速度が高いからではなく巡航速度が高いまま燃料タンクが空になるか膀胱が満タンになるかまで走り続けることもできるからです。もちろんヘッドカウルの装備などある程度の条件は必要ですけれども。
 
先にふれた疲労しないことは大事な要素ではありますが、多少疲労があったとしても私たちがそれを強く意識するのは飽きたときこそなのです。モトグッチは長距離移動で走りに飽きない。そのことは新旧問わずに言えることです。ここにグッチスタを惹きつけるモトグッチ特有の要素があるのではないか。ただ困ったことに飽きない原因を探すときに新旧モデルでの特徴的共通項はエンジンが90度Vツインであることくらいしか残ってないのです。ただし高速走行では90度Vツインは回転上昇につれ振動を収束させてゆく。すでにトルク変動やツインの鼓動から無縁になりつつある5000rpmから6000rpmへと回っていくエンジンから感じ取ることができる楽しさなんてあるのだろうか・・・・・・・・・そんなことを考えていたある日、ラジオで不思議な言葉を聞いたのです。



(続く 1/4) mas

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