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V65 再生記 <番外の1>モトグッチ95周年

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再生記12でモトグッチ95周年イベントに参加と書きましたが、そのレポートです。
 
9月9日金曜日、ラドゥーノ(Raduno=集会)の初日にモトグッチのふるさとマンデッロ・デル・ラーリオ入りして、友人宅で待っていたV65と数ヶ月ぶりの再会。箱から引きずり出して最初にやったのは点火系をチェック(15年前にカリフォルニアをイタリアに送ったときはポイントが錆びて火花が飛ばなかったので・・・)。いい火花が飛んで、安心してガソリンも入れてオールグリーン!
 
友人のご両親が隣のアパルトメントで始めたB&Bにはオランダからのグッチスタが泊まったが、アルプス越えでリアのパッドが擦り減ってしまったらしく交換作業をしていました。
うーむ、備えあれば憂い無しなのですが、ここは鷲の巣マンデッロだから、パーツは容易に手に入るので、まあいいか。
 
でもミンスクからマンデッロを目指してきた友人は(友人?といってもSNSのみで今回初めて会ったのですが・・・)、来る途中のアウトストラーダでオイルが抜けて(!)置いてきたネヴァダを引き上げに戻るため、出会って90秒の邂逅のみで行ってしまいました(笑)。しかも彼のネヴァダは帰り道のポーランドでミッションがぶっ壊れたらしく・・・・・・やはり事前整備は重要なのですな。
 
★動画:ヴァレンナから湖岸を南下、マンデッロデルラーリオに入り、モトグッチ前を通過 
 


 
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マンデッロ・デル・ラーリオ、街なかは常にモトグッチで溢れる。朝7時から夜10時までモトのサウンドに包まれていた。第二次大戦後から大量に生産され続けた500cc単気筒の荷台付き3輪、エルコーレもお客さんを乗せてそこかしこを走る!素晴らしきトルク!
 
僕はV65を持ち込んでのラドゥーノ参加を見そめられて、ACI(アーチーイー・アウトモービレクラブデイタリア、日本のJAFみたいなものか?)の職員に促されファッショナブル・モト・コンテストに参加させられた・もとい参加させてもらいました。
 
戦前モデルからファルコーネ、ガレット、ディンゴ50、1000SPらとともにピアッツァ・ローマに集合。1台づつ順番に呼ばれてゆく。合図に合わせて斬新なファッションに身を包んだモデルさんと歩調をあわせてレッドカーペットを進む。司会になにやら紹介されてもどうしたらいいのやら・・・・・ともかく日本式に4方に深々とおじぎをして、当惑しながらも、でもたくさんの市民の皆さんの暖かい拍手に包まれた幸せないっときだったのでした。


 
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上の写真はモトグッチの正面ゲート、ですが今は残念ながらヒストリカル・エントランスというふうに呼ばれています。以前はトレーラーがこの門をぎりぎりで通ってモトグッチを出荷していたものですが(この目で見ました)、現在は奥にある車体組み立て工場のそばに大きなゲートが新設されています。
 
記念写真はファクトリー入り口に設けられたモトグッチワールドクラブのブースに招かれたときのもの。赤いシャツは会長のマリオ・アロージオさん。ワールドクラブ発足当初から会長をつとめられていて、モトグッチの大きな変化の時代にグッチスティをまとめられています。


 
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モトグッチ工場内では有名なムゼオ(ミュージアム)や風洞実験室などを見学できますが、以前と変わりがなかったのであまりシャッターをきりませんでした。よろしかったらモトグッチオーナーズクラブの過去の記事をご覧いただけたらと思います。
 
工場のことについては次回書こうと思います。


 
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工場そばのロータリーでは一日中常にモトグッチが旋回していました。常に(笑) ここは地元のクルマも通るところですが、工場の方向へはモトグッチしか入れません。 
 
宿泊は、南はレッコ北はヴァレンナに至るまで湖岸の各街のホテルは満室。市が整備する湖岸の公園がテント村に開放されています。もっとも土曜の深夜になってもまだ到着し続けるグッチスティであふれ、結果あちこちの空き地にもチラホラとテントが立っていました。
 
番外の2へ続きます・・・・・
 
mas

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V65 再生記 <12>

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忘れた頃にやって来る「V65再生記」ですが、いよいよ最終回になります。
  
塗装ができあがったタンクにエンブレムを装着。んむむ、何度やっても緊張するところです。そして残った整備箇所や組みつけが終わり、いよいよ登録です。


 
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今回は「中古新規登録」に加えて、エンジンを載せ換えているので改造の申請「構造変更」も同時にやります。厄介なのはこの申請で、ハンドルバーやカウルを換えて幅や高さが変わるくらいならよいのですが、エンジン載せ換えとなると、申請書類に証明書類も添えて事前審査(書類審査)に出さねばなりません。
 
書類に問題が無ければ、つまり検査官が納得するに足る書類が揃っていれば晴れて実車を持ち込んでの検査と相成るわけです。何も悪いことはしていないのに、待っている間ドキドキするのはなぜでしょう?(笑)


 
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そして無事に登録できました。1986年製V65スクランブラー!(嘘)
 
いままで掲載の画像で気づいた方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、スクランブラーを作っていました。それも今風ではなくて昔風の。もし「1986年に出たV65のスクランブラーですよ〜」と言ったら知ったかぶりな方が「ああ、そういえばこんなんあったよな」と知ったかぶってしまうような仕上がりを目指しました(笑)
 
だからとっても普通です。ビジネスバイクのような実用性も欲しかったのでしっかりしたキャリアを作ってもらいましたが、キャリアの上にタンデムシートが装着できるようになってますので、一応2人乗りです。前に書いたスタンドの強化もオフロードや山中の野営を想定してのことです。リアホイールを17インチ化しましたが、オフロード向きで今後の供給継続も期待できるタイヤに合わせてのことです。そして塗装色は、そういえば昔あったような?そしてちょっとだけお洒落で、ちょっとは目立って、そして至って普通な・・・・・というところを狙ってみましたがいかがですか?
 
2011年に1400カリフォルニアとV7スクランブラーのプロトタイプが発表されたのがそもそものきっかけで、これ出たら欲しいな!と思ったものの待てど暮らせどスクランブラーが出てこないので自分で作る決心をしたのでしたが、のんびりゆったりな製作途中でまさかのセミアップサイレンサーKITの発売やV7競好肇襯優奪蹐糧売という「仕打ち」まで食らうとは思いませんでした(笑)でも結果的に、ますますブラックボックス化が進む現行車よりV65のほうが私には合っているかもしれません。
 
さて、自分でもビックリするような金額を費やして至って普通なモトを作ってしまったのですが、経費の多くは中身に使ったことなので良しとしましょう。完全に自分の趣味のためにネジ穴の隅々まで自ずから確認できたというのは楽しい経験でした。


 
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そしてそして、実を言いますとこのV65スクランブラーはイタリアに向けて旅立っています。モトグッチ95周年のイベントに参加するためです。だからこのブログは現実の3ヶ月あとを追いかけていたわけです。
 
15年前にカリフォルニアで80周年モトグッチデイに参加しましたが、それ以来のことになります。まず以前と異なるのは、イタリアに関してはカルネ作成が不要になったようで若干経費は減りましたが、それがためにもしかしたらカルネのころより手続きが増えたんじゃないかと思います。自動車カルネは日本ではJAFが作成します。なのでJAFがさまざまな信用を保証してくれていたのでしょう。今回は「イタリア共和国での身分識別番号を一時的に取得」などという「そんなややこしい手続き必要ですか?」と言いたくなるような申請やら宣誓書やらなんやらたくさん提出しました。とどめにイタリアの税関に5000ユーロ(!!!)の預託金まで収めるはめになりました。私が関税を払わないままイタリアでV65を売り飛ばさないようにです(預託金、返ってきますように・・・笑)
 
もうひとつ15年前と異なるのは、元々乗っていたカリフォルニアではなくて、発送直前ギリギリに車体完成と登録が終わったV65であることでした。箱詰め10日前くらいに外注の塗装・熔接が終了。モトグッチオーナーズクラブの1泊ツーリングをはさんで3晩くらいで残り整備と組み立てを終了。ナンバープレートをもらって店のまわりを10分くらい走っただけでガソリン抜いてバッテリ端子はずして箱詰め業者のもとへ搬送・・・・・・という慌しいものでした。本当の試運転はレッコ湖畔で、ということになってしまいました(笑)
 
ちなみに乗ってすぐわかったのは軽すぎるハンドリングでした。再生記10で書いたようにステアリングヘッド下端からアクスルシャフトセンターまでの長さを545mmと、V65の標準にしておいたのですが、切れ込むというほどではないものの旋回中にフロントだけフワフワとステアしてしまうような落ち着きの無さが気になりまして、15mm長くしたところ収まってくれました。タイヤサイズも変わりましたし、あの小さな車体に大柄な私がシート後ろのほうにドッカリ座るので、そんなところかな?と思います。ともあれすんなりまとまって良かったです。
 
というところで、V65再生記はひとまず終了とさせていただきます。続いてイタリアツーリング記が書ければと思いますが果たしてどうなりますか?
ありがとうございました!


 
mas
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V65 再生記 <11>

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前回、再生記10でフロリダとは別のタンクを載せた画像で終わりました。あのあと車輌をペイント屋さんに持ち込んで、デザインは?どんなカラーリングにするか?などなど楽しい打ち合わせをしておりました。車体の完成形のご披露はいましばらくお待ちいただければと思います。
 
ペイント屋さんに持ち込むためにオートバイのかたちにはなっていましたが、実は未整備の箇所が残されたおりました。V65を押せるようにするためにファイナルギアケースもリアホイールも装着していましたが、実はファイナルは空っぽだったのです。 
 
V65 再生記<3> に書きましたがファイナルギアに異常磨耗が発見されまして、これはいずれ音になって顕在化するだろうと思っていましたので、新品のギアセットをイタリアに発注しておりましたが完成予定日に間に合わず、塗装を先に、ファイナルは後回しにしたのでした。


 
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さて、V35〜V65の基本マニュアルにはストレートな形状のピニオンシャフトの写真が載っています・・・・・・が、じきにシャフトのピニオンギア側が太く強化されたものにかわりました。 
これはストレートなシャフトのままでは振れが起きるなどして、ベアリングのクリープを誘引するなどの不具合が確認された結果かと推測されます。ベアリング交換など部品調達の際は同じものを2個なのか?大小2個のベアリングが必要なのか注意が必要です。
 
ちなみにこの部分に関わるところでは、V35イモラ兇筍孱僑汽薀螢が発売され、それまでの18インチリアホイールの16インチ化と同時にリアショックが長くなった(1インチ分25.4mm)ことに起因すると思いますが、その分ファイナルケースに加工が施されてピニオンシャフト部にオイルがより届くようになりました。
これはスイングアームの垂れ角度が増えて(ファイナルケースが下がって)、従来モデルよりもピニオンシャフトのベアリングにファイナルオイルが届きにくくなったことに対応したものです。もしPS・PSJ・PT・IPSなどのモデルでファイナルのオーバーホールなどの作業をした際にこの加工「オイル穴増設」がまだ為されていなかったら、やることをお勧めします。
 
続いて、ファイナルケースを組む過程は書こうと思えばいろいろ書けるのですが、このモデルならではな部分、これはと思う部分を書いてみようと思います。
まずは奥のニードルベアリング(進行方向右側)のセット。インナーレースをドライブフランジに組むのですが、浮き上がり防止のCリングを溝にはめこむ際は、画像のようにまず切り欠きのほうをセットしてください。ついついまず弧のほうをはめ込んでからパチンパチンと切り欠き部をはめ込みたくなる場面ですが、そうすると鋭利な切り欠き部がドライブフランジの中空シャフト部(ここは奥のオイルシールのリップの当たり面になります)をこすって傷をつける危険があるからです。
 
また画像右側にありますが、Cリングをセットできたら奥のオイルシールを外す際の特殊工具でインナーレースを少し持ち上げてください。実は過去、このCリングが走行中にはずれてオイルシールを傷めてオイル漏れにつながった例があるからです。インナーレースをわずか持ち上げるだけでCリングを落ち着かせて脱落を防ぐことができます。この"わずか"の加減に注意してやってみてください。


 
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上の画像はいざ組み立てというところです。この手前の段階でケース(奥)に、ワッシャー(インナーパイプのための)、オイルシール(向きに注意)、薄いワッシャー、ニードルベアリングのアウターレースを順に組み込んでいきます。画像を押さえ忘れてしまいましたが、アウターレースを組み込むときはケースを加熱して慎重に入れなければなりません。すべてが収まったら最後にインナーパイプを組みますが、せっかく入れたオイルシールに不要に接触しないよう気を付けます。
さて画像に戻って、本組みをする前にシム調整があります。ピニオンギア面に光明丹(オレンジ色のもの)を塗って回転させ、ピニオンギアとリングギアのどの位置で接触しているか確認してシム調整するのですが、何度かケースの脱着をしなめればならないので、その際奥のオイルシールを傷めないように、シリコングリス等を塗るなどして、引き抜くときもまっすぐ引き抜くなどオイリシールに余計な負担を与えないよう丁寧に脱着します。
 
接触痕を見てシム調整をどう判断するか?はワークショップマニュアルにも書いてありますが、構造がわかっていればわかると思います。ケースの紙ガスケットは厚さ0.2mmありますが、締め付けると0.1mmになるのでご注意ください。
また、ピニオンシャフトのシムは増減させるのではなく、前後に移動させるだけで厚みの合計は変わりませんのでご注意ください。この部分の厚みは前後から向かい合っているテーパーローラーベアリングのインナーレースの位置決めをしていますので、ここが狂うとテーパーローラーベアリングにガタが出たりストレスが強すぎて異常磨耗が起きたりします。
 
これで完成〜。画像右側のスタッドボルトに引っ掛けてあるパーツはピニオンシャフトのカラーで、ファイナルケース前部のオイルシールが当たるところでもあります。線が見えますでしょうか?オイルシールのリップの跡が溝になっていました。まだ故障の段階ではありませんが、せっかくここまでバラしているので予防整備の意味もこめて交換しました。こんなのがX000円するんですよ〜!でも走り出してから「しまった!」となっては元も子もないので・・・・・。


 
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完成したファイナルケースをスイングアームに組み付けます。ドライブシャフト・カラーにグリスアップ、スプリングやプレートも忘れず正しく組んでください。書き忘れました。ピニオンギアの四角いフランジは90度ごとに4位置で組むことができますが、天地が決まっています。よく見ると上に線が入り、下に「B」と打刻されています。低い=bassoかなと思います。
 
4本のスタッドボルトがすんなりスイングアームにおさまったら、慌ててナットを締めずに仮止めにとどめて、アクスルシャフトを通してから本締めをしてください。なぜなら、例によってスイングアームの穴にも遊びがありますから、ファイナルケースがわずかにずれて組まれることもあります。ホイールを組むときになってこのずれのせいでアクスルシャフトが素直に入らなくなってしまいます。あらかじめアクスルシャフトを通してから本締めすれば、ストレス無く手ですいすい通るようになるはずです。のちの整備性をあげるためにもこういったところにも注意したいものです。
 
続いて、ファイナルオイルを入れます。オイル量はレベルホールで計ることができるわけですが、これはレベルホールからオイルが出てきたらOKというわけではありません。レベルホールからオイルが出きったことを確認しなければなりません。なぜならファイナルケース上部にある注入口から入ったオイルが全て落ちていくまでにはタイムラグがあるからです。そこを踏まえて一気に入れずにそろそろ?の一歩手前で加減するのもスマートな整備の一手なのかもしれません。
 
さあ、主要な構成部分がようやく組みあがったところで配線やケーブル類も装着します。簡単にパッパとやってるように見えて結構真剣に考えて取り組むところです。ワイヤーハーネスやガスケーブルなどをタイラップでガチガチに締め付けているのを見ますが、それによってカップラーが浮いて通電不良になったり、ガスコントロールケーブルが自然な動きができず(ステアリングを左右にきったときなどに)エンジンの左右シリンダーの動きにばらつきが出たりします。メーターケーブルはらせん状のケーブルなので曲がりに対応しつつ回転運動をメーターに伝えるようになっていますが、取り回しのうえで曲率がキツイ部分が折損の原因になるのでいかに余裕を持たせてやれるか考えます。
 
もうすぐ火が入ります。完成間近となりました。


 
mas
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V65 再生記 <10>

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今回は車体まわりに取りかかります。
まず上の画像の左上ですが、センタースタンド・サイドスタンドの接地部分を大きいプレートに変更し、アンダーフレームのサイドスタンドステーを強化したところです。
 
サイドスタンドステーを強化したのにはわけがありまして、元々モトグッチのサイドスタンドはあくまでもメインではなくサブスタンドとしての使用を前提としていたので、あまり強く作られていませんし、スタンドを出した状態で固定できず、荷重を抜けばパタンと戻ってしまいます。長く離れるときはセンタースタンドを使うこと!というメーカーの意思表示だったわけですが、今回は例えばキャンプ地など柔らかい土の地面でセンタースタンドが立てづらかったりするときにサイドスタンドが使えるようにしました。またセンターもサイドもスタンドが土にもぐらないように接地部分を広くしたのです。
 
ステップは、フロリダには大きなラバークッションのついたものが使われていましたが、振動軽減の効果もあったのでしょうけれどダイレクト感に乏しいラバーは外しました。そして裸になった丸パイプに、スペインのモンテッサのトライアルモデルに使われていた頑丈なステップがリパラーレにありましたので、それを熔接してみました。左下の画像はビフォー&アフターです。
 
それと、前回のステアリングヘッド等の組みつけに続いて、フロントフォークも取り付けました。V65の標準、ステアリングヘッド下端からアクスルシャフトセンターまで545mmで組みました。しかしアメリカン・モデルであるフロリダのフロントフォークはもっと長いので、ご覧の通り突き出しが多くなってしまいました。さてさて・・・・・


 
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続いてリアスイグアーム。この車体には画像のスペーサーが入っていませんでした。センター出しの"肝"になるのに・・・・・。
 
前にP系はV系と違ってスイングアームがトランスミッションケースに取り付けられると書きましたが、もう少し書くと、V系が「外側に位置するフレームにネジが切ってあってピボットボルトでスイングアームを締め付ける」のに対してP系は「外側に位置するスイングアームにネジが切ってあってピボットボルトでトランスミッションケースを締め付ける」という違いがあるのです。
 
さらに、V系はテーパーローラーベアリングが入っているのでピボットボルトによってベアリングを一定のトルクで左右同等に締めつつ、ピボットボルトの頭が左右同じ高さになるように調整することで、スイングアームのセンター出しをしています(メンテナンスブック194Pをご覧ください)が、P系ではボールベアリングが使われていてスラスト方向の仕事はしていません。スイングアームの右の内側のみに入れられたスペーサーをはさんでいるスイングアームとトランスミッションケース(正確にはケースに入れられているボールベアリングですが、以降省略)に密着させることによって位置決めをしています。つまりこの車体はスペーサー無しで「雰囲気」で組まれてたということになります。いろいろ残念ではありますが、どんどん治していきましょう!
 
で、位置決めの方法、少し長くなりますが・・・・・
まず左右のピボットボルトを仮組セット、もちろん右の内側にスペーサーを入れておきます。あまり右は締めこまずにおいて、左のピボットボルトを締めこんでいくと、スイングアーム全体が左へと寄せられていきます。そして締めこみが進んでピボットボルトの反力が強くなったら、右側のスイングアーム・スペーサー・トランスミッションケースがピタッと密着したと判断できます。ちなみにボルトが締めこまれたことを「反力が・・・」という書きかたをしたのは、スイングアームがアルミ製なのである程度開いていくため、締め込みの最後にカチっと締まるような感触は得られないからです。
 
位置が決まったところで、右側のピボットボルトをベアリングインナーレースに着座するまで締めこんでいきます。先に書いたように締め過ぎがあるので注意!締めすぎるとすき間が生じます。
右側がきちんとセットされたあと、あらためて左側のピボットボルトも一度ゆるめてから右と同じようにベアリングインナーレースに着座するまで締めこんでいきます。やり直すのは、最初の締め込みでは左にきっちり寄せるために若干余分に締めていると考えられるからです。スイングアームの変形に注意してください。
 
ちなみに、スイングアーム組み付け時、ドライブシャフト表面にグリスを塗っておきました。P系はこのエリアにオイルが回らない構造で、スイングアーム内でひそかに真っ赤に錆びてることが多いので・・・・・。
 
だいぶ長くなりましたが、次にタイヤの組み付け。
アクスルナットを締める際にはスイングアーム後端のクランプを締めてアクスルシャフトを固定しなければなりません。が、アクスルナット締め付け後に一度緩めてから締めなおさなければなりません。なぜならナットが緩んでる位置から締めこんだ位置まで・・・・・画像の場合アクスルシャフトが右側に引っ張られている可能性があるからです。
おわかりでしょうか?フロントフォークも同様です。アクスルナットの反対側のクランプを締めてからナットを締めると、当然左右のフロントフォークが内側に引っ張られた状態になる恐れがあります。是正して、アクスルナットと2本のクランプボルトを適正な順番で締めていかなければなりません。そうでないとディスクブレーキの場合、キャリパーとディスクのセンターがずれてしまいます。
 
そしてリアサスペンションは新調しましたが、新品であっても使用する前にダンパーシールにシリコングリスを塗っておくとシールを傷めません。


 
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さあもろもろセットして、久しぶりに屋外に出せる状態になりました。タンクは中古を取り寄せて交換しました。
 
実は以前、親しいお客様が「なんでカリフォルニアがあるのにもう一台アメリカンなんですか?」と怪訝そうにしていらっしゃいましたが、もちろん2台似たようなのは要りません。アメリカンタイプではないことはこの画像でおわかりいただけると思って載せました(笑) ご心配、申し訳ありませんでした。
 
 
mas

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V65 再生記 <9>

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ついに、ようやく、やっとフレームに載ったところです。
今回は完全にバラバラになっているのでなおさらですが、仮にフロントフォークやその他装備品がついていたとしても、このエンジン&ミッションとフレームをあわせるのはわりと容易です。ただし画像のようにエアクリーナーケースを先にセットしておくと作業時間節約になります。
 
V系同様にストレートパイプを中心に構成された美しいダブルクレードル・タイプです。ただ、後端部はトランスミッションを介して接続され、スイングアームもトランスミッションに取り付けられてるのがV系(いわゆるトンティフレーム)とは異なる特徴です。


 
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このベース車輌のフロリダにはエンジンが載っていなかったので、それに伴って失われた配線がありました。また点火系はフロリダはトランジスタイグニッションであったのをあえてポイント点火を選択。ハンドルスイッチを換えたり、イグニッションキーやヒューズ配列を自分好みにしたり(例えばパーキングポジションを廃しスモールランプやウィンカーは作動させずにアクセサリー電源のみが使えるように変更など)。このため、あらたに配線を作る必要がありました。
 
ただ例えばいつの日かこのV65が私の手を離れたのち誰かが見たときに、いかにも改造車みたいな切った貼ったのぐちゃぐちゃ汚い配線にしたくなかったのと、できればモトグッチに手馴れたメカニックが見ても改造に気づかないような自然な仕上がり(コードの使用色も含めて)にしたかったので手間はかかりました。恐らく自己満足の域を出ないことでしょうが。
 
ちなみに既存の配線を使う場合も含めて、全ての圧着端子を新しいものに打ち換えて、全てハンダ付けしました。このあたりは若干は変態の領域に踏み込んでいるかもしれません(笑)。
ただ、この一連の作業を通じて感じるのは熱や油や摩擦などの外的要因が無ければ配線の損傷が少ない(皮膜・芯線ともに)ことです。もちろん電気部品は経年変化とともに抵抗が増すなどして性能が落ちるのでしょうが、たまに電気系トラブルが重なったからワイヤーケーブルを全て新調したいとおっしゃる方がいらっしゃいますけど、そこまでする必要があるのか疑問に感じます。丹念な故障探求と接点のケアに勤めたほうが良いように思います。
 
付随して、ボンディング・アーシングすればさまざまな電気要因のトラブルが一気に解決すると考える方もいらっしゃるようですが、元の構造が悪くない限り、言われるほど効果があるように思えません。それどころかリパラーレに持ち込まれたモトグッチの中にはボンディングパーツをつけているわりには、バッテリー端子の締め付けが甘かったりする例もありました。
自分自身ボンディングの有無による違いを確かめて書いているわけではないので書くには弱いかもしれませんが、既存配線の接点を丁寧にチェックするなど基本を見直すほうがよほど近道のように思えてなりません。
 
V65の配線に話を戻しまして、配線の美しさという点で・・・・・近年はカーナビをつけるライダーも増えまして、その他多様なオプション機器のために電源が必要になりましたが、私はどうもバッテリー端子にぐちゃぐちゃたくさんのコードがきてる光景が容赦できないので(笑)、画像のごとくシンプルになるよう整備or整理しました。
 
画像の配線図2枚は改造前後のもの。改造後(下)のほうがすっきりしているのが自慢です!?これも自満かな?(自己満足)
 
この配線製作と整理、考える時間も含めて予想よりもかなり時間がかかりまして、残業6晩を費やしてしまいました(笑)


 
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上はステアリングステムの組みつけです。
P系フレームではステアリングベアリングは、V35・V50・V65から始まりV35イモラ・V50モンツァまではボールベアリングを、V35イモラ兇筍孱僑汽薀螢以降はテーパーローラーベアリングを使用しています。
 
画像はベアリングのアウターレースを専用工具で圧入し、グリスをたっぷり塗りこんだインナーをセットするところです。そしてここからはボールベアリングとテーパーローラーベアリングとで構成部品と組み付け方が変わります。
 
文章だけでは説明がかなり長くなってしまうので詳細を書きませんが、ボールベアリングの場合は最後に締めるのはアッパーブラケットの中央のクランプボルトであり、テーパーローラーベアリングの場合は最後に締めるのはステアリングステムのトップのナットになります。
位置決めの仕方、各部に余計な応力がかからないように固定させるには?を考えて組むとそうなるのです。・・・・・と、偉そうに書きましたが、私ははるか昔、自分で考える前に師匠である志賀に教わってしまいました(笑)
 
ちなみに以前「天然ステダン」で触れましたが、ステアリングベアリングの損傷・磨耗・弛みは自然なハンドリングを阻害します。定期的なチェックと適切な部品交換を意識してください。ボールベアリングの場合、玉だけの交換では不十分です。カップなどのメッキが傷んでいる場合が多いので、思い切って全て交換することをお勧めします。
 
 
mas

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V65 再生記 <8>

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今回は小物ネタその1です。
 
まずはキャブレター。今回、エンジンが無い車体を買ったのでキャブレターはついていませんでした。イタリアで中古のエンジンを手配する際に中古キャブレターを買うこともできたのですが、それはせずに新調することとしました。
 
ありがたいことにデロルトは戦前のモデルについていたタイプでも新品を供給してくれています。ですからV65の時代なら余裕のよっちゃんなのです。
 
古いモトグッチを整備している方はあちこちいらっしゃると思いますが、覚えておいてください。もしキャブレターが欠品していたら新しいキャブレターを使うべきです。中古のキャブレターなんてアテになりません。キャブレターは精密機械です。ゴム類が硬化・劣化していたり、ジェットやニードルやアトマイザーが腐食していたり(これらは表面が曇って見える、ぐらいの腐食でも大きく走りに影響します)、本体ボディやスロットルバルブが磨耗していたり、これらを全てケアしなければならなくなったら新品を入手したほうが安上がりになると思います。
 
で、イタリアから届いた新品キャブレターですが、さっそくオーバーホールしました。念のためジェットなどのサイズが合っているかもチェックしつつ、洗浄し、ボディに目詰まりなどないかもチェック、すべて自分の眼でチェックしました。今回デロルトの工場から出たまんまの、ビニール袋に入った新品でしたが、ジェット類が薄汚れていました。
 
再生記<7>で新車納車整備に関連して書きましたが、キャブレターも要チェック箇所でした。新車は工場での完成検査でエンジンをかけて各部の作動チェックをしますので、キャブレターにガソリンが入ります。そしてそのまま梱包されて海外に出荷すると、時間経過とともにガソリンが揮発して添加剤などがフロートチャンバー内に残ってトラブルの原因となることがあったのです。
 
ちなみにEFI車であっても、モデルにもよりますが納車時にするべきチェックがあります。組み立て工場のラインでは「だいたい」の調整はしてありますが、やはり「慎重な」調整をする余地があるのです。モトグッチリパラーレでは必ずチェックしていましたし、他店で販売されたモトグッチでも整備に入った車輌はチェックしています。もちろん整備代金はいただきますが。


 
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続いて点火系。
エンジンを探すにあたり、ポイント点火車であることを条件の一つにしました。つまりポイントを付けることができるカムシャフトのついたモデルであることが求められます。650ccのモデルではラリオの後期型やフロリダのエンジンは対象外になりました。
トランジスタ点火もチョイスできるのに時代に逆行していますが、構成部品の総額が安いのと、出先のトラブル発生時にポイント点火のほうが対処できる可能性が高いのもありますが、やはりちょくちょくポイントの整備をするのがまったく苦にならない、むしろ楽しいし、ビシッと調整が決まったときの快調さが捨てがたく(笑) ポイント点火にしました。
 
上の画像は新しいコンタクトブレーカーを組むところです。プライヤーでスプリングを潰すように挟み込んでいますが、これは新品のコンタクトブレーカーのスプリングが強いためカム面への密着が強すぎてコンタクトブレーカーのヒールの磨耗が早くなったりするので、反発力を弱めるためにやっています。私がこの仕事を始めたころ教わったことですが、今でも変わりなく強いです。
 
下の画像に移ります。
アドバンスガバナーで進角をさせているのですが、2つのウェイトに2本ついているリターンスプリングは強さが異なるものが使われています。エンジンが回ると遠心力でウェイトが開くことによってカムの角度を変えて点火時期を進角させるのですが、ひとつのウェイトには軽いスプリングをつけて低回転からまず作動させ、高回転になると重いスプリングをつけたもうひとつのウェイトがゆっくり開き始めることによって、回転域に応じて進角を変化させているのです。
 
スプリングにガタが出ている、と勘違いしてスプリングがピンにかかる部分を曲げて設定された遊びをゼロにしてしまう方がいます。重いスプリングは低回転では軽いスプリングが伸びるのを邪魔しないように遊びを持たされていて、いくらかウェイトが開いたあとから作用し始めて、進角の後半をコントロールしているのです。
 
ポイントもアドバンスガバナーも、シャフトなどには丁寧にグリスを塗って組みます。特にアドバンスガバナーのカムが固着すると正常な進角ができずにエンジン不調の原因となります。ここをグリスアップするにはポイントをプレートごとはずさなければならないので手間ですが、面倒がらずに毎回やってあげてください。
 
また、コンタクトブレーカーのヒールにはシリコングリスを、回転するカム面とヒールのあいだにシリコングリスが入るように塗ってあげるのも大事です。ヒールが磨耗すれば点火時期はずれていきますし(多少の磨耗は避けられませんが、早期磨耗すればしょっちゅう点火時期調整をしなければならなくなります)、カム面が磨耗したらアドバンスガバナーを交換しなければなりませんが、ちなみにアドバンスガバナーは現在入手困難です。


 
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最後の画像はセルモーターのマグネットスイッチをオーバーホールしたところです。作動確認は良好だったのですが、後顧の憂いをなくすため一応開けてみます。コミュテーターとブラシは傷も汚れも無くキレイなものでした。
 
しかしマグネットスイッチは、スイッチ接点が荒れていました。画像はビフォー&アフターになります。
この接点が、まさにセルモーターに大電流を流し込むところなのです。始動時のトラブルで、スタータースイッチを押したときにセルモーターがガチャッと音をたてたにも関わらず回らないのは、バッテリーが弱いか、バッテリー端子の締め付け不足か、このマグネットスイッチの接点が荒れているのが主な原因です。
 
なお、リレーがカチッと作動したのにセルモーターがなにも反応しないのは上記接点の導通不良のほか、リレー自体とリレーからセルモーターまでの配線等が疑わしく、リレーの作動音すらしないときはスタータースイッチからリレーまでが疑われます。
 
ちなみにルマン1000の後期から使われ始めたヴァレオ製のセルモーターは、それまでのボッシュ製やルーカス製と違って遊星ギアを使うことで小さい電力で始動することが可能になりました。ただしその構造の違いから上記以外に、遊星ギアとモーター部を隔てる金属製カバーが外れてショートを起こすことも起きていますので、動作不良の際はチェックしてみてください。
 
 
mas

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V65 再生記 <7>

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今回は足回りなどをまとめてご紹介します。
ブレーキポンプを前後とも、ブレーキキャリパーも3つ、オーバーホールしました。
 
ですが画像をご覧の通り、キャリパーのボルトの一部は錆びて緩まず、強硬手段をとることとなりました。で、ようやく分解してみれば中の汚いこと!!これはほとんどブレーキフルードの交換をしていない証拠です。ちなみにブレーキホースも過去交換した気配が無かったので全交換です。
 
さらに、ピストンにも錆が出てコーティングが剥がれていました。各部オーバーホールやホースの交換は想定内でしたが、ピストン交換は少し痛かったです。ブレンボのキャリパー、現行モデルはダストブーツが付いていないものもありますが、この車輌のころはダストブーツがあり、ピストンが露出したから錆びたというわけではありません。ブレーキフルードを定期的に交換していればこれは防げると思います。
 
ブレーキフルードは吸湿性が高く(DOT4以下のグリコール系のもの)、そのためブレーキ内に水分が混入しても、ブレーキフルードに吸われるため沸点が低い水という姿のままでいることはなく、ゆえに極端な制動力低下を防げるのですが(ブレーキライン内で水が蒸発して気体になるとエアが入ったことと同じになるので)、ブレーキフルードを長く使いすぎると吸湿も進んで接している各部品を傷めやすくなります。また吸湿したブレーキフルード自体も沸点が下がってしまいます。


 
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上の画像は前に撮っておいたものですが、この車輌はまだ納車から最初の車検も受けていないのにリアブレーキのリザーバタンクの中が真っ黒でした。いざ交換作業を始めると黒いブレーキフルードがいつまでも出てくる。ブレーキライン内のブレーキフルードまんべんなく劣化していたのでした。
 
新車を売って、お客さまにお渡しする前にロクな整備をしていない証拠です。モトグッチリパラーレは正直、新車販売数はものの数ではありませんが、買っていただいた方々、伝票を引っ張り出してみてください。納車整備料をきちんといただいておりますが、そのかわり、納車整備の中には全ての油脂類とブレーキフルードの交換が含まれています。
 
国産車ではありません。メーカーの工場で完成してからしばしのプール、箱詰め、港へ陸送、船で日本へ、もろもろの手続きを経て、お客さまがついたら納車。各オイルだって何ヶ月か経っています。2度の赤道通過だってしています。ましてやブレーキフルードは車輌組み立て時に入れられるのではありません。ブレーキメーカーでマスター・ホース・キャリパーが連結されてブレーキフルードも入れられて納入されるのなら、もっと時間が経過しているはずです。
 
この真っ黒ブレーキフルードの車輌は納車整備料は支払われていたのでしょうか?こういう車輌に接すると、新車の初期クレームのなかには販売店の納車整備で防げるものがたくさんあるような気がします。メーカーにとってもこういった面の改善は、遠回りであっても販売促進にも利すると思うのですが、まあ、たくさん売ってから言ってくれ、と言われそうですね。
 
ともかく、ブレーキフルードの定期的な交換は私のV65のような余計な出費を防ぐことにもつながります。ブレーキの整備は無視していてもそこそこ効きますし、車検も受かってしまいます(ただし車検合格は次の2年間の安全を保証するものではありません)。でも無整備はいつか必ずなにかのかたちでしっぺ返ししてくるはずです。


 
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いろいろ不具合の多いこのV65ですが、フロントフォークのダンパーはまだ機能してくれていました(ホッ)。でもそのかわりインナーチューブに錆が浮いていたので悲しいかな・・・・・交換します。インナーチューブの画像で右の2本が古いもの、左が新品です。ポチポチ浮いた錆が見えるだけのどうでもいい画像ですが、出費が大きかったので載せずにはいられませんでした(笑)
 
さて問題なのは右上の画像です。差し示しているカラーが一部潰されていました。
これはアウターチューブ内の様子を考えずにおおざっぱに組んだあと、切り欠きの位置があっていないにも関わらずドレンボルトを強引にねじ込んだ痕跡です。そうならないように、ドレンボルトを位置決めとして活用しつつ、本締めの前にはボルト穴から切り欠きの位置が正しく収まっているか確認する、など留意が必要です。
 
またアウターチューブとダンパーを結合するには下から10ミリ径のボルトで締めるのですが、アウターチューブのボトムのボルト穴には当然「遊び」があります。なのでアウターチューブとダンパーの中心が多少ずれて組まれることも可能なわけで、そうなると一見ちゃんと組まれているようでも、インナーチューブとアウターチューブが正確に平行に作動せず、ストロークさせるとフルボトムに近づくほど摩擦が増えてしまいます。
 
ではどうやってセンターをそろえて組むか?
ダンパーはインナーチューブの上から、アウターチューブは下からセットしてボルトで連結されます。ダンパーはまだインナーチューブにねじ込まずにボルトは手で締める程度の仮組みをします。当然組む前に画像のようにオイルシールを傷めないようにオイルシールとカラーにたっぷりグリスを塗ります。インナーチューブのボトムにはモリブデングリスを塗りこんで、オイルも塗っておきます。カラーの切り欠きが回ってずれないようにドレンボルトも仮に入れておきます。
 
仮組みしたら、アウターチューブをフルストロークさせます。・・・つまり縮めるわけですが、インナーチューブにまだねじ込んでないダンパーも一緒に上へあがっていきます。最後にインナーチューブのボトムがカラーにぶつかりますが、その時センターが揃っていなければゴスッと違和感を感じることができるはずです。カラーはフルボトム時にインナーチューブの底つきを防ぐとともに、テーパー加工されているのでそれを利用してセンター出しができるのです。つまり仮組み状態なので何度かコンコンと押してやれば、カラーが(そしてダンパーロッドのボトムが)アウターチューブ内で正しく中心に収まります。そこで初めて本締めするのです。本締めしたら念のためドレンボルトを一度抜いて切り欠きがずれていないか確認します。
 
こうして組めば、ストロークさせると気持ちよく動いて最後にトンと軽やかな音を出してボトムするはずです。余分なグリス等を拭き取り、フォークオイルを規定量入れてダンパーも締め込んだら完成です。


 
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続いてホイールです。
フロントのリムは表面が傷んでいたので再メッキして、スポークも新調しました。リアは・・・・・・16インチリムがついていたのですが、用途に即したタイヤの選択肢のこともあって17インチに換装しました。現行V7のリムを取り寄せて、こちらもメッキしました。ちょっと出費がかさみましたが、見た目だけではなく耐候性が増すことに期待しての決断(笑)でした。
 
少し無理するとグニャグニャ狂ってしまう自転車のホイールと比べて、オートバイの硬いリムはざっと組んだだけでそこそこのカタチになりますが、もちろんその先は縦振れ、横振れを丁寧にとっていきます。ここはもう、丁寧に、と言うしかありません(笑)


 
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ホイールが組みあがったら、チューブレス加工をしました。「えっ、そんなことできるの!?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実は以前お客さまから「こういうキットがあるから」と依頼されてやったことがあったのです。こういうやり方があるのか〜!というアイデア商品でした。
 
以前よりリパラーレではチューブが入っていたキャストホイールのモデル(ルマン1000以前、ほとんどがそうでした)にはチューブレス化することをお勧めしてきました。リムに大きな傷など密着性が乏しい場合は除きますが、まず問題はありません。チューブレス化する最大のメリットは、パンクしても瞬時に空気が抜けないことです。出先でパンクに気づいても刺さった異物を抜かずに置けば、空気の漏れはゆっくりなのでなんとか走り続けることができます。もちろんそれはあくまでも家まで、整備工場まで、安全地帯まで、という非常走行です。それなりに注意も必要です。
 
そしてこのチューブ用スポークホイールのチューブレス加工、私はいまのところ4本実施して成功率100%ですが、それなりに神経を使う、雑にやれば失敗もあり得る加工のように感じました。
またこの先タイヤ交換をしたりとか、さまざまに使用するうちに気密性能が変化しないかどうかもまだ体験していませんので、いまの時点で「リパラーレ推奨」ということでご紹介するものではありません。
 
極端な話、こういった加工を施すと何かの場合にメーカー保証が受けられなかったりということも考えられますので、ご依頼があればお受けしますが、いろいろご心配な方はやめておいたほうが良いかもしれません。(2020/7/26追記)その後ご依頼があって何本か作業しましたがやはり100%ではありません。この製品には不備無いようですが、元のリムがそもそもチューブレス用ではない為にビードやリムサイドから少しづつ漏れているようです。中には乗るたびに空気がぬけている方もいらっしゃいました。リムの加工などすれば成功率があがるかもしれませんが。
 
画像の最後はホイールのラバーダンパーを交換したところです。P系はファイナルギアのフランジがこのラバーダンパーに差し込まれています。そしてV系にくらべてよく磨耗・変形します。
ラバーダンパーはチェーン駆動・シャフト駆動ともにだいたいの市販車に装備されていますが、チェーン自体にも多くの遊びがあってショックが緩和されるチェーン駆動に比べて、シャフトドライブ車は駆動力がよりストレートにホイールに伝達されるので、ダンパーの仕事が重要です。フランジの爪を2つのラバーダンパーで挟み込むようになっていますが、おもに進行方向側のラバーダンパーがよく減るようです。タイヤ交換のときなどにチェックして磨耗が進んでいたら交換しましょう。
 
タイヤ交換時のチェックといえばホイールベアリングも同様ですが、ホイールベアリングがよくイカレるという方は、中のカラースペーサーの交換をお勧めします。
ホイールベアリングのアウターレースはホイールまたはハブの定まった位置に納まります。もし中のカラースペーサーが繰り返したアクスルナット締め付けやベアリングの異常(摩耗による振れなど)による潰れで規定値より短くなっていたら、ベアリングを新しくしてもアクスルナットを締めるとアウターレースの位置よりも奥にインナーレースが押し込まれるように圧力がかかってしまいます。その状態で回転させれば早期にベアリングの異常磨耗が進んでしまうのは自明の理でしょう。
 
モトグッチに限らずですが、「よく壊れるんだよね〜」というようなセリフの裏にはこのようなもっともな原因とそれに気づかなかった至らなさとが隠れていることがたまにあるようです。


 
mas
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V65 再生記 <6>

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エンジンの組み立てに入ります。一度組んだら次にいつお目にかかるかわからないクランクシャフトまわりから。
 
コンロッドをクランクシャフトへ組み付けます。メタル・コンロッドボルト、コンロッドナットは無条件で交換とします。メタルは1サイズしか供給されていませんが、クランクピンやジャーナル部の径が規定値内でしたのでそれを使います。もしピンやジャーナルの磨耗が生じて規定値以下になってしまったら、加工したうえでメタルを作らなければなりません。クランクシャフトを新調するよりは安いでしょうか?そもそもクランクシャフトこそがエンジンそのものなので、ここは換えたくないですね〜。
メタルを組み付ける際はコンロッドとメタルの間にオイルが入らぬよう、メタル裏にオイルをつけたりせず慎重にセットします。
 
ここで、メタルはポンと置いただけではコンロッドビッグエンドに収まらず浮いた状態になりますが、これはそのように「張り」を持たされているからです。指でやや強く押し込むと入りますが、それでもややコンロッドの合わせ面より端が少し飛び出てしまいます。これを「クラッシュハイト」といいます。
張りはメタル背面とコンロッドの密着を高めるために設けられています。クラッシュハイトもコンロッドボルトを締め付ければきっちりと収まり、張りと同様に密着を高める効果があります。先ほどのオイルをつけずに組んだことも同じ狙いがあります。それはメタルが受けた熱をコンロッドに効率良く逃がしたいからです。
 
エンジンをバラしたとき、メタルに磨耗や接触痕が認められないことはままあります。オイル管理が良いエンジン、適切な暖機をして、常用回転域が低くないエンジンがそれにあたるのかな?と思われます。ただ、見た目が傷んでいないと思って古いままのメタルを使うと、張りやクラッシュハイトが少なくなっているために、トラブルにつながる恐れ(熱伝導が悪いためメタルが高温になって損傷に至る)があるので注意してください。滅多に開ける場所ではないので適切な部品交換をしてください。
 
コンロッドビッグエンドを組む際にオイルを塗らずに置いたので、あとからオイルをさしているのが左下の画像です。クランクウェイトを上に持ってくるとオイルラインが見えて、そこにオイルをさすと斜め下にあるクランクピンにオイルが回ってくれます。
 
クランクケースの締め付けの際には内側の10mmのスタッドボルトと外側の8mmのスタッドボルトは当然ながら締め付けトルクが異なります。精密さが要求されるので合わせ面にガスケットは使わず、液体ガスケットを微量塗布します。このときオイルラインを塞がない注意も必要です。そして、外側の8mmスタッドボルト6本をケースに取り付けるときはネジロックを付けて"す"を通じたオイル漏れを予防しました。クランクケース合わせ面付近からオイルが漏れるという方は、この外から見える6本のスタッドボルトも疑ってみてください。


 
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続いてカムシャフトの装着。V系(ルマン系)とは違い、タペットにつばが付いているのでケースの内側からしか入りません。カムシャフトを抜かないとタペット交換はできないのです。タペット・カムシャフトにモリブデンを塗布して組みました。この時タペットをクランクケース内に落とすとルマン系とは違ってオイルパン側からは取り出せないので注意しなければなりません。
 
カムチェーンの装着はカムスプロケットがボルト留めなせいもあって比較的容易です。ここは当然のことながらポンチマークに留意して組みます。ところでこのシリーズ、P系エンジンのカムチェーンですが、ほとんどお目にかかりませんが、シリーズ(350ccと500cc)発売当初はダブルチェーンでした。が、その後シングルチェーンに変わっています。それはいつのことか、古いサービスインフォメーションを探してみたら1984年5月に来ていました。このときに650ccが発売されたと同時にダブルチェーンからシングルチェーンになったようです。
 
排気量もあがったのに、ダブルからシングルへ?
チェーンの性能が向上したのでしょうか?もともとダブルはオーバークオリティだったのか?いずれにせよ現行のV7シリーズまでそのままシングルチェーンが採用され続けています。
 
カムシャフトの奥に位置するホルダーにオイルプレッシャースイッチを装着したら安心です。このオイルプレッシャースイッチでカムシャフトがスラスト方向に動かないようにしています。ですから、スイッチを入れるまえに不用意にカムシャフトを回すとホルダーの穴がずれてしまうので注意しましょう。
スイッチの交換時も同様に注意しましょう。「あの〜、オイルプレッシャースイッチの交換しようとしたら新しいスイッチが入らないんですが・・・・・」とお電話をくださった業者さんもいらっしゃいます。


 
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コンロッドにピストンを装着します。マニュアルには60度で・・・と書いてありますが、ピストンヘッドだけでも少しの間熱湯に漬けて、スカートのあたりが手で「熱いな」という温度になれば、ピストンピンは指ですんなり入ります(もちろんモリブデン等塗りましょう)。わざわざ「ピストンヘッドだけでも」としたのは、こうしておけばリング溝など細部に水分が入らず、拭き取りに苦労したりせずに済むからです。
 
画像で使っている特殊工具は本来ピストンピンを抜くときに使うのですが、最後にピンを奥まで収めるのに叩いたりせずに済ませたかったので、これを使って適切な位置まで押し込みました。ピストンピンクリップも全て交換します。細かい部品ですが、ここまでやってわずかな金額のクリップをケチってトラブったらもったいないですから。
 
ピストンリングはよほど無理しなければ折れたりしませんが、慎重に溝に収めます。必ず上の面にマークがあります。そして、シリンダーに収める前に、合い口の位置を調整しておきます。
ピストンリングの合い口は、エンジンが稼動したらいずれ回ってしまうのだろうけど、少しでも良い結果が出るように考えて調整します。ピストンはわずかながらも首を振るので振れの大きい位置からは合い口を遠ざけてシリンダーへの影響を小さくできるように、3つのリングの合い口が近すぎないように、トップリングの合い口はプラグ(着火位置)からなるべく遠くに、などです。この結果1例として紹介しますが、今回はトップリング2時の方向、セカンドリング8時の方向、オイルリング4時の方向、としてみました。
 
いざシリンダーに収める前にはオイルとモリブデンをたっぷりリング溝にさして、よく馴染ませました。ちなみにピストン周辺の部品調達についてですが、同じ650であってもピストンピンの径が2種類あります。当然クリップも異なります。また同じ排気量同じボアであってもピストンリングのトップとセカンドが同じものを使っているものと、異なるリングを使っているものがあります。ご注意ください。


 
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ちょっと時系列は前後してしまうのですが、左画像はシリンダースタッドボルトにネジロック剤を付けているところ。ネジロック剤は嫌気性と言って、空気から遮断された状態になると硬化が始まるのです。画像ではボルト側だけに多く塗ると溢れてしまうだけなので、ケース側にも塗っておいて、ほどよくネジ全体にネジロック剤が回ってくれるよう工夫してみました。
 
ちなみにシリンダースタッドの場合も、スタッドボルトの固定だけではなく"す"によるオイル漏れの効果にも期待してのネジロック剤塗布です。ただこのシリーズのエンジンのシリンダースタッドは画像左の上2本のスタッドはヘッドの外には出てこないので問題ありません。が、画像右下の2本のスタッドからオイル漏れが起こると厄介なことになります。
 
画像右上はピストンリングを押さえつけてシリンダーに収められる特殊工具。これが無くても丁寧にやればリングは収められますが、スピードがまるで違います(笑)
そして右下の画像。ここはこのP系エンジンの弱点と言ってもよいでしょう。シリンダーの外側、この部分はヘッドを潤滑したオイルがクランクケースに戻ってゆく(重力により落ちてゆく)トンネルです。が、その外側の壁が少し薄過ぎました。オイル漏れを防ぐのに充分なガスケットの面積(幅と言いましょうか)が確保されていません。ここはオイルを圧送しているわけではないので、ダラダラ流れるような漏れ方はしないのですが、じわじわと漏れてくることがありますので、液体ガスケットを塗布しました。
せめてここにもう1本スタッドボルトを立てておいてくれたら、密着が増してオイル漏れを防げたのではと思います。

 
 
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シリンダーにヘッドを載せて、いざ締め付けは画像のロッカーアームセットと共締めになるのもこのエンジンシリーズの特徴です。左上の画像で2本のピンの磨耗の差がわかると思いますが、中古と新品というわけではありません。このピンはストレスのかかる方向が決まっていてそちらの面だけ磨耗が進むのです。
それは上か?下か?どちらかわかりますか?
下からプッシュロッドに押し上げられてピンを支点にバルブを押し下げる・・・・・ので、ピンの下側のストレスが大きいのです。ですからここをバラすチャンスがあれば、なるべく磨耗(当たり)が少ないほうを下にして組むようにして偏磨耗を防ぐようにしています。画像のピンは恐らく一度もはずされた事が無かったのでしょう。片面は完全にキレイな状態でした。
 
画像左下を見るとピンに設けられた切り欠きがあるのがわかると思います。これはオイルラインから送られたオイルがラバースリーブ内の通路とピンの切り欠きを通ってロッカーアームやバルブステムトップを潤滑していくためのものです。さきほど、ピンの上下の面を入れ替えていると書きましたが、切り欠きの向きにも注意して組まないと通路が塞がれてしまい潤滑不良の原因になります。
 
画像右はオイルパンを付ける直前。P系エンジンはオイルパンを開けなくてもオイルフィルターが交換できますが、皆さんが思ってらっしゃるよりここには多くのスラッジが貯まっています。たまにはオイルパンもはずして、ストレーナーも分解して掃除してもよいでしょう。
 
そしてV系エンジンとの大きな違いのひとつ、P系エンジンのクランクケースには隔壁「バッフルプレート」が設けられていて、画像をご覧の通りクランクシャフトが見えません。高速で回転するクランクシャフトにオイルパンのオイルが当たって抵抗になってしまうのを防ぐと同時に、クランクケースの剛性増も稼いでいるものと思います。
決してざんぶりと大量にかかってるわけでもなさそうなオイルの接触抵抗ですが、レーシングエンジンにはクランクウェイトの回転方向(オイルが当たる方向)を流線型にして抵抗を減らそうとしているものもあるほどです。


 
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シリンダーヘッドを組む場面は撮り忘れていました。エンジン完成間近でテンポよく作業していたのでしょう。また、この稿はずいぶん長くなってしまったようです。V系とP系の違いもあって、モトグッチメンテナンスブックでは触れられていないことなどご紹介しようと書いていたらダラダラ長くなってしまいました。
 
最後にクラッチを組みます。画像の通り、クランクシャフトの回転をロックする特殊工具、クラッチプレートのセンターを出しつつホールドする特殊工具はV系のものと異なります。ボルトは硬度が高い特殊ボルトが使われていますが、オーバートルクをかけると伸びてしまいます。気持ちとしてガッチリ締めたい部分ですが、オーバートルクは禁物です。伸びて重くなったボルトは使わない。締め付け途中でなかなかトルクがあがらない気配を感じたらボルトを切ってしまう前に作業をやめてボルトを交換する。注意してください。
 
エンジンが完成しました。フレームを載せたらグッとオートバイらしくなるでしょう


 
mas
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Mandelloの怠慢!!??

新しいスイングアーム???
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RIPA-Shiga
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V65 再生記 <5>

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今回はトランスミッションの組み立てです。
  
画像はレイシャフト(メインシャフトから駆動を受けて、減速してドライブシャフトに伝達する)です。図面はV65シリーズのシャフト・1stドリブンギア(右端)・シム・ウェービングワッシャー・ベアリングの位置関係が3種類あることを説明しています。
 
単純にパーツリストだけ見て判断すると現物との相違に戸惑ってしまうので要注意です。パーツリストは一般に初期型のカタチに沿っているからです。このミッションは3rdバージョンでした。
ちなみにこの画像のもっとも右側に位置する1stドリブンギアが、再生記<3> で書いたギアです。部品がそろったので組み立てにとりかかりました。
 
そろそろ組み立ても始まって、その様子も少しづつご紹介しています。実際、今回のようなトランスミッションの分解・組み立てなどされる方はそういらっしゃらないでしょうが、モトグッチメンテナンスブックでは触れられなかったモデルですので、違いなどを一部でもご紹介できればと考えています。


 
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この350・500cc・650ccそして750ccまで使われたトランスミッションですが、エンジン型式がPを頭文字にしていたのでP系としましょうか、同時期の850cc・1000cc(同様にV系)とは異なり、短いクラッチシャフトで1次減速をして、3分割のケースで構成されています。
 
シャフトへベアリングを圧入、ケースへ組み付け、などなど。作業工程をいちいち細かく書きませんが、何点かだけ・・・・・。
 
シフトリターンスプリングも交換します。この組みつけはV系と異なり、足を開いて組みます。メンテナンスブックはV系を例に説明していますので注意してください。
ところでこのスプリングですが、特に異常が認められないのに交換するのにはわけがあります。あくまでも私の経験則なのですが、中古車納車後など、オーナーが変わったあとになぜかこのスプリングが折れることが多いのです。このスプリングが折れるとシフト操作に支障をきたすので、新しいオーナーの方にとっては買ってすぐにとんでもないトラブルが生じることとなります。
 
この現象はなぜ起こるのだろうと考えましたが、もしかしたら作動速度の差に原因があるのではと思いいたりました。たとえばシフトペダルの操作時、すばやくガチャっと入れるか、押し込むようにコクッと入れるか?スプリングにとって、馴れ親しんだ作動速度があって、オーナーが変わったあと、それとは異なる速度の入力があるとそれが金属疲労につながって、あげく折れてしまうのでは?????スプリングにそのような"くせ"がつくのか?専門家に聞いてみたいところです。
 
ベアリングのケースへのかん合時にはロック剤を塗りますが、この場合に限らず、どこに塗るかによってロック剤がはみ出る方向が異なります。ケース内に落ちたり回転部位にかかってしまったりしないようどの部品のどの部分に塗っておくのか?という注意が必要です。
 
また画像ではさらにポンチでベアリングを押さえています。強い駆動力がかかるので、ケースとのかん合が甘いとベアリングにクリープ(現象)が生じて、ベアリングのアウターレースがシャフトの回転と反対方向に回されてしまうのです。
ある方向から見たとき、シャフトが時計回りに回っているとすると、ベアリングのインナーレースも一緒に時計回りに回り、ころ(ボールやローラー)のひとつひとつは反時計回りに自転します。そうすると、ころの相手側であるアウターレースにはころによって半時計回りの方向に応力がかかります。もしケースとアウターレースのかん合が甘ければ徐々に反時計回りに回されてしまい、さらにケースの変形を招いてしまうのです。ちょっと長い説明になってしまいましたが、イメージしていただけましたでしょうか?

 
 
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上の画像はクラッチシャフトです。ポンチが写っている画像のあいているベアリングに収まります。中をクラッチプッシュロッドが通っているので、オイルシールが必要になるのですが、問題はその向きです。ついつい指で持っているオイルシールのように上向きにしたくなってしまいますが、このシャフトでの「ケースの外側」は下ですので、下向きにつけなくてはなりません。
 
もしこれを間違えて組んでしまったら・・・・・・・走り出すとミッションオイルが漏れ始め、ここから出たオイルはすぐにクラッチプレートを濡らしてしまうので、クラッチが切れなくなったり滑ったり、再分解になります。オイルシールだけではなくオイルを吸ってしまったクラッチプレートも要交換となりますので被害甚大なのです!!!
 
クラッチシャフトには(アウトプットシャフトも)Oリングをかけるのも忘れずに。最後にオイルシールのリップが当たるカラーを入れてロックナットを締めます。カラーは下に内側のオイルを止めるOリング、外側にオイルシールが当たるのでシリコングリスをたっぷり塗りました。
 
ロックナットをロックして、ケースが組みあがりました。


 
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ついでクラッチプッシュロッドも組んでおきましょう。
まずはパーツリストの画像から。このプッシュロッドの向きは逆です。なぜわざわざ逆に書いたのか不明ですが、逆です(笑) 細いほうがクラッチ側になります。太いほうは後ろのレバー側のカップに入るので、間違えて組もうとしてもカップとロッドの径の差に違和感を感じて気づくかもしれませんが。
 
私のプッシュロッドはパーツリスト「A」のオイルシール(既出の小さいオイルシール)のリップの部分で偏磨耗が起きていました。・・・・・・・交換です。ロッドが2本並ぶ画像では右のものが後年式の新しいもので、レバー側のカップに入る部分に螺旋の溝がきってあります。回転によってカップの奥にオイルを送り込めるようになっています。またこの画像では見られませんが何箇所か焼きが入れられて強度を与えられています。こうした改良の恩恵も受けられるので要交換部品の追加追加あいつぐ追加も喜んで・・・・・受け入れることとします。
 
ボール盤の画像はプッシュロッドをコンパウンドで磨いているところです。特にオイルシールが当たるエリアと、パーツリスト「B」の段差の部分です。
プッシュロッドは細いほうから差込み、オイルシールに太いほうが入るまで入れなくてはならないので、オイルシールリップが段差を通過するときに傷まないよう、段差に「少しでも丸くなれ!」と念をこめながら磨きます。
 
そして、グリスをたっぷり塗って、カップやスラストベアリングとともに装着。トランスミッション完成となりました。
 
 
 
 
-------------------------------------
 
さて、ここまでの画像をご覧になって気づいた方はかなり少ないと思いますが、まずこのシリーズの前提として、私が再生しているモトグッチは650ccだということ。であればトランスミッションは650cc用のものであるということ。このトランスミッションは外観は350から750まで同じであっても、中身は排気量に応じて2つに分かれているのです。この年代で言うならば350・500・650ccと3種類に。
 
先にクラッチシャフトと紹介した画像のうち、クラッチプレートとともに撮影したものがありますが、違和感を感じませんでしたか?クラッチシャフトのボス、クラッチプレートに収まる部分ですが、350・500ccのものは細く、650ccのものは太いという基本認識がありました。
ところが、今回の整備を始めるにあたり、ボスが細いほうであることが判明しました。


 
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650cc用のクラッチプレートを置いてみました。シャフトより受け手のクラッチプレートのほうが径が大きいのがわかると思います。
 
しまった!!なぜかわからないけど小さい排気量のトランスミッションだったのか!?と当初思っていたのでしたが、よくよく調べるとギア比は650ccのものだったのです。もう少し細かく書くと、ギア比は650cc、クラッチボスは350〜500cc、1次減速比は500ccのものでありました。元になった650フロリダのデータとは異なっていて、これはもしかしたら650ccを造り始めた初期〜過渡期のかも?とも思いましたが、そもそもフロリダ自体が650ccシリーズのなかでは後年式にあたるのでそれも違うようです。
 
謎が解消できないまま、このトランスミッションを使うかどうか悩みました。なぜなら、650cc発売当時にクラッチシャフトのボスが太くされたのは、排気量アップに伴って増大したトルクに対応するためにほかならないからです。ちなみにクラッチシャフトを太いものに換えることも考えましたが、それに伴ってベアリングも大きくなるのでカバーの交換か加工が必要になってしまいます。
結局、このトランスミッション自体は20000kmほど650ccのエンジンとともに走っていたのは間違いないので、現状特にトラブルが起きていない様子から、このまま使ってみることとしました。
 
果たして後年、トルク差に負けてこの部分にトラブルが生じるのか?もし壊れてしまったらイタリアのモト・マフィアにお願いして中古の正真正銘650cc用のトランスミションを入手することにします。


 
 
 
mas
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