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V65 再生記 <10>

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今回は車体まわりに取りかかります。
まず上の画像の左上ですが、センタースタンド・サイドスタンドの接地部分を大きいプレートに変更し、アンダーフレームのサイドスタンドステーを強化したところです。
 
サイドスタンドステーを強化したのにはわけがありまして、元々モトグッチのサイドスタンドはあくまでもメインではなくサブスタンドとしての使用を前提としていたので、あまり強く作られていませんし、スタンドを出した状態で固定できず、荷重を抜けばパタンと戻ってしまいます。長く離れるときはセンタースタンドを使うこと!というメーカーの意思表示だったわけですが、今回は例えばキャンプ地など柔らかい土の地面でセンタースタンドが立てづらかったりするときにサイドスタンドが使えるようにしました。またセンターもサイドもスタンドが土にもぐらないように接地部分を広くしたのです。
 
ステップは、フロリダには大きなラバークッションのついたものが使われていましたが、振動軽減の効果もあったのでしょうけれどダイレクト感に乏しいラバーは外しました。そして裸になった丸パイプに、スペインのモンテッサのトライアルモデルに使われていた頑丈なステップがリパラーレにありましたので、それを熔接してみました。左下の画像はビフォー&アフターです。
 
それと、前回のステアリングヘッド等の組みつけに続いて、フロントフォークも取り付けました。V65の標準、ステアリングヘッド下端からアクスルシャフトセンターまで545mmで組みました。しかしアメリカン・モデルであるフロリダのフロントフォークはもっと長いので、ご覧の通り突き出しが多くなってしまいました。さてさて・・・・・


 
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続いてリアスイグアーム。この車体には画像のスペーサーが入っていませんでした。センター出しの"肝"になるのに・・・・・。
 
前にP系はV系と違ってスイングアームがトランスミッションケースに取り付けられると書きましたが、もう少し書くと、V系が「外側に位置するフレームにネジが切ってあってピボットボルトでスイングアームを締め付ける」のに対してP系は「外側に位置するスイングアームにネジが切ってあってピボットボルトでトランスミッションケースを締め付ける」という違いがあるのです。
 
さらに、V系はテーパーローラーベアリングが入っているのでピボットボルトによってベアリングを一定のトルクで左右同等に締めつつ、ピボットボルトの頭が左右同じ高さになるように調整することで、スイングアームのセンター出しをしています(メンテナンスブック194Pをご覧ください)が、P系ではボールベアリングが使われていてスラスト方向の仕事はしていません。スイングアームの右の内側のみに入れられたスペーサーをはさんでいるスイングアームとトランスミッションケース(正確にはケースに入れられているボールベアリングですが、以降省略)に密着させることによって位置決めをしています。つまりこの車体はスペーサー無しで「雰囲気」で組まれてたということになります。いろいろ残念ではありますが、どんどん治していきましょう!
 
で、位置決めの方法、少し長くなりますが・・・・・
まず左右のピボットボルトを仮組セット、もちろん右の内側にスペーサーを入れておきます。あまり右は締めこまずにおいて、左のピボットボルトを締めこんでいくと、スイングアーム全体が左へと寄せられていきます。そして締めこみが進んでピボットボルトの反力が強くなったら、右側のスイングアーム・スペーサー・トランスミッションケースがピタッと密着したと判断できます。ちなみにボルトが締めこまれたことを「反力が・・・」という書きかたをしたのは、スイングアームがアルミ製なのである程度開いていくため、締め込みの最後にカチっと締まるような感触は得られないからです。
 
位置が決まったところで、右側のピボットボルトをベアリングインナーレースに着座するまで締めこんでいきます。先に書いたように締め過ぎがあるので注意!締めすぎるとすき間が生じます。
右側がきちんとセットされたあと、あらためて左側のピボットボルトも一度ゆるめてから右と同じようにベアリングインナーレースに着座するまで締めこんでいきます。やり直すのは、最初の締め込みでは左にきっちり寄せるために若干余分に締めていると考えられるからです。スイングアームの変形に注意してください。
 
ちなみに、スイングアーム組み付け時、ドライブシャフト表面にグリスを塗っておきました。P系はこのエリアにオイルが回らない構造で、スイングアーム内でひそかに真っ赤に錆びてることが多いので・・・・・。
 
だいぶ長くなりましたが、次にタイヤの組み付け。
アクスルナットを締める際にはスイングアーム後端のクランプを締めてアクスルシャフトを固定しなければなりません。が、アクスルナット締め付け後に一度緩めてから締めなおさなければなりません。なぜならナットが緩んでる位置から締めこんだ位置まで・・・・・画像の場合アクスルシャフトが右側に引っ張られている可能性があるからです。
おわかりでしょうか?フロントフォークも同様です。アクスルナットの反対側のクランプを締めてからナットを締めると、当然左右のフロントフォークが内側に引っ張られた状態になる恐れがあります。是正して、アクスルナットと2本のクランプボルトを適正な順番で締めていかなければなりません。そうでないとディスクブレーキの場合、キャリパーとディスクのセンターがずれてしまいます。
 
そしてリアサスペンションは新調しましたが、新品であっても使用する前にダンパーシールにシリコングリスを塗っておくとシールを傷めません。


 
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さあもろもろセットして、久しぶりに屋外に出せる状態になりました。タンクは中古を取り寄せて交換しました。
 
実は以前、親しいお客様が「なんでカリフォルニアがあるのにもう一台アメリカンなんですか?」と怪訝そうにしていらっしゃいましたが、もちろん2台似たようなのは要りません。アメリカンタイプではないことはこの画像でおわかりいただけると思って載せました(笑) ご心配、申し訳ありませんでした。
 
 
mas

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V65 再生記 <9>

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ついに、ようやく、やっとフレームに載ったところです。
今回は完全にバラバラになっているのでなおさらですが、仮にフロントフォークやその他装備品がついていたとしても、このエンジン&ミッションとフレームをあわせるのはわりと容易です。ただし画像のようにエアクリーナーケースを先にセットしておくと作業時間節約になります。
 
V系同様にストレートパイプを中心に構成された美しいダブルクレードル・タイプです。ただ、後端部はトランスミッションを介して接続され、スイングアームもトランスミッションに取り付けられてるのがV系(いわゆるトンティフレーム)とは異なる特徴です。


 
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このベース車輌のフロリダにはエンジンが載っていなかったので、それに伴って失われた配線がありました。また点火系はフロリダはトランジスタイグニッションであったのをあえてポイント点火を選択。ハンドルスイッチを換えたり、イグニッションキーやヒューズ配列を自分好みにしたり(例えばパーキングポジションを廃しスモールランプやウィンカーは作動させずにアクセサリー電源のみが使えるように変更など)。このため、あらたに配線を作る必要がありました。
 
ただ例えばいつの日かこのV65が私の手を離れたのち誰かが見たときに、いかにも改造車みたいな切った貼ったのぐちゃぐちゃ汚い配線にしたくなかったのと、できればモトグッチに手馴れたメカニックが見ても改造に気づかないような自然な仕上がり(コードの使用色も含めて)にしたかったので手間はかかりました。恐らく自己満足の域を出ないことでしょうが。
 
ちなみに既存の配線を使う場合も含めて、全ての圧着端子を新しいものに打ち換えて、全てハンダ付けしました。このあたりは若干は変態の領域に踏み込んでいるかもしれません(笑)。
ただ、この一連の作業を通じて感じるのは熱や油や摩擦などの外的要因が無ければ配線の損傷が少ない(皮膜・芯線ともに)ことです。もちろん電気部品は経年変化とともに抵抗が増すなどして性能が落ちるのでしょうが、たまに電気系トラブルが重なったからワイヤーケーブルを全て新調したいとおっしゃる方がいらっしゃいますけど、そこまでする必要があるのか疑問に感じます。丹念な故障探求と接点のケアに勤めたほうが良いように思います。
 
付随して、ボンディング・アーシングすればさまざまな電気要因のトラブルが一気に解決すると考える方もいらっしゃるようですが、元の構造が悪くない限り、言われるほど効果があるように思えません。それどころかリパラーレに持ち込まれたモトグッチの中にはボンディングパーツをつけているわりには、バッテリー端子の締め付けが甘かったりする例もありました。
自分自身ボンディングの有無による違いを確かめて書いているわけではないので書くには弱いかもしれませんが、既存配線の接点を丁寧にチェックするなど基本を見直すほうがよほど近道のように思えてなりません。
 
V65の配線に話を戻しまして、配線の美しさという点で・・・・・近年はカーナビをつけるライダーも増えまして、その他多様なオプション機器のために電源が必要になりましたが、私はどうもバッテリー端子にぐちゃぐちゃたくさんのコードがきてる光景が容赦できないので(笑)、画像のごとくシンプルになるよう整備or整理しました。
 
画像の配線図2枚は改造前後のもの。改造後(下)のほうがすっきりしているのが自慢です!?これも自満かな?(自己満足)
 
この配線製作と整理、考える時間も含めて予想よりもかなり時間がかかりまして、残業6晩を費やしてしまいました(笑)


 
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上はステアリングステムの組みつけです。
P系フレームではステアリングベアリングは、V35・V50・V65から始まりV35イモラ・V50モンツァまではボールベアリングを、V35イモラ兇筍孱僑汽薀螢以降はテーパーローラーベアリングを使用しています。
 
画像はベアリングのアウターレースを専用工具で圧入し、グリスをたっぷり塗りこんだインナーをセットするところです。そしてここからはボールベアリングとテーパーローラーベアリングとで構成部品と組み付け方が変わります。
 
文章だけでは説明がかなり長くなってしまうので詳細を書きませんが、ボールベアリングの場合は最後に締めるのはアッパーブラケットの中央のクランプボルトであり、テーパーローラーベアリングの場合は最後に締めるのはステアリングステムのトップのナットになります。
位置決めの仕方、各部に余計な応力がかからないように固定させるには?を考えて組むとそうなるのです。・・・・・と、偉そうに書きましたが、私ははるか昔、自分で考える前に師匠である志賀に教わってしまいました(笑)
 
ちなみに以前「天然ステダン」で触れましたが、ステアリングベアリングの損傷・磨耗・弛みは自然なハンドリングを阻害します。定期的なチェックと適切な部品交換を意識してください。ボールベアリングの場合、玉だけの交換では不十分です。カップなどのメッキが傷んでいる場合が多いので、思い切って全て交換することをお勧めします。
 
 
mas

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V65 再生記 <8>

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今回は小物ネタその1です。
 
まずはキャブレター。今回、エンジンが無い車体を買ったのでキャブレターはついていませんでした。イタリアで中古のエンジンを手配する際に中古キャブレターを買うこともできたのですが、それはせずに新調することとしました。
 
ありがたいことにデロルトは戦前のモデルについていたタイプでも新品を供給してくれています。ですからV65の時代なら余裕のよっちゃんなのです。
 
古いモトグッチを整備している方はあちこちいらっしゃると思いますが、覚えておいてください。もしキャブレターが欠品していたら新しいキャブレターを使うべきです。中古のキャブレターなんてアテになりません。キャブレターは精密機械です。ゴム類が硬化・劣化していたり、ジェットやニードルやアトマイザーが腐食していたり(これらは表面が曇って見える、ぐらいの腐食でも大きく走りに影響します)、本体ボディやスロットルバルブが磨耗していたり、これらを全てケアしなければならなくなったら新品を入手したほうが安上がりになると思います。
 
で、イタリアから届いた新品キャブレターですが、さっそくオーバーホールしました。念のためジェットなどのサイズが合っているかもチェックしつつ、洗浄し、ボディに目詰まりなどないかもチェック、すべて自分の眼でチェックしました。今回デロルトの工場から出たまんまの、ビニール袋に入った新品でしたが、ジェット類が薄汚れていました。
 
再生記<7>で新車納車整備に関連して書きましたが、キャブレターも要チェック箇所でした。新車は工場での完成検査でエンジンをかけて各部の作動チェックをしますので、キャブレターにガソリンが入ります。そしてそのまま梱包されて海外に出荷すると、時間経過とともにガソリンが揮発して添加剤などがフロートチャンバー内に残ってトラブルの原因となることがあったのです。
 
ちなみにEFI車であっても、モデルにもよりますが納車時にするべきチェックがあります。組み立て工場のラインでは「だいたい」の調整はしてありますが、やはり「慎重な」調整をする余地があるのです。モトグッチリパラーレでは必ずチェックしていましたし、他店で販売されたモトグッチでも整備に入った車輌はチェックしています。もちろん整備代金はいただきますが。


 
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続いて点火系。
エンジンを探すにあたり、ポイント点火車であることを条件の一つにしました。つまりポイントを付けることができるカムシャフトのついたモデルであることが求められます。650ccのモデルではラリオの後期型やフロリダのエンジンは対象外になりました。
トランジスタ点火もチョイスできるのに時代に逆行していますが、構成部品の総額が安いのと、出先のトラブル発生時にポイント点火のほうが対処できる可能性が高いのもありますが、やはりちょくちょくポイントの整備をするのがまったく苦にならない、むしろ楽しいし、ビシッと調整が決まったときの快調さが捨てがたく(笑) ポイント点火にしました。
 
上の画像は新しいコンタクトブレーカーを組むところです。プライヤーでスプリングを潰すように挟み込んでいますが、これは新品のコンタクトブレーカーのスプリングが強いためカム面への密着が強すぎてコンタクトブレーカーのヒールの磨耗が早くなったりするので、反発力を弱めるためにやっています。私がこの仕事を始めたころ教わったことですが、今でも変わりなく強いです。
 
下の画像に移ります。
アドバンスガバナーで進角をさせているのですが、2つのウェイトに2本ついているリターンスプリングは強さが異なるものが使われています。エンジンが回ると遠心力でウェイトが開くことによってカムの角度を変えて点火時期を進角させるのですが、ひとつのウェイトには軽いスプリングをつけて低回転からまず作動させ、高回転になると重いスプリングをつけたもうひとつのウェイトがゆっくり開き始めることによって、回転域に応じて進角を変化させているのです。
 
スプリングにガタが出ている、と勘違いしてスプリングがピンにかかる部分を曲げて設定された遊びをゼロにしてしまう方がいます。重いスプリングは低回転では軽いスプリングが伸びるのを邪魔しないように遊びを持たされていて、いくらかウェイトが開いたあとから作用し始めて、進角の後半をコントロールしているのです。
 
ポイントもアドバンスガバナーも、シャフトなどには丁寧にグリスを塗って組みます。特にアドバンスガバナーのカムが固着すると正常な進角ができずにエンジン不調の原因となります。ここをグリスアップするにはポイントをプレートごとはずさなければならないので手間ですが、面倒がらずに毎回やってあげてください。
 
また、コンタクトブレーカーのヒールにはシリコングリスを、回転するカム面とヒールのあいだにシリコングリスが入るように塗ってあげるのも大事です。ヒールが磨耗すれば点火時期はずれていきますし(多少の磨耗は避けられませんが、早期磨耗すればしょっちゅう点火時期調整をしなければならなくなります)、カム面が磨耗したらアドバンスガバナーを交換しなければなりませんが、ちなみにアドバンスガバナーは現在入手困難です。


 
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最後の画像はセルモーターのマグネットスイッチをオーバーホールしたところです。作動確認は良好だったのですが、後顧の憂いをなくすため一応開けてみます。コミュテーターとブラシは傷も汚れも無くキレイなものでした。
 
しかしマグネットスイッチは、スイッチ接点が荒れていました。画像はビフォー&アフターになります。
この接点が、まさにセルモーターに大電流を流し込むところなのです。始動時のトラブルで、スタータースイッチを押したときにセルモーターがガチャッと音をたてたにも関わらず回らないのは、バッテリーが弱いか、バッテリー端子の締め付け不足か、このマグネットスイッチの接点が荒れているのが主な原因です。
 
なお、リレーがカチッと作動したのにセルモーターがなにも反応しないのは上記接点の導通不良のほか、リレー自体とリレーからセルモーターまでの配線等が疑わしく、リレーの作動音すらしないときはスタータースイッチからリレーまでが疑われます。
 
ちなみにルマン1000の後期から使われ始めたヴァレオ製のセルモーターは、それまでのボッシュ製やルーカス製と違って遊星ギアを使うことで小さい電力で始動することが可能になりました。ただしその構造の違いから上記以外に、遊星ギアとモーター部を隔てる金属製カバーが外れてショートを起こすことも起きていますので、動作不良の際はチェックしてみてください。
 
 
mas

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V65 再生記 <7>

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今回は足回りなどをまとめてご紹介します。
ブレーキポンプを前後とも、ブレーキキャリパーも3つ、オーバーホールしました。
 
ですが画像をご覧の通り、キャリパーのボルトの一部は錆びて緩まず、強硬手段をとることとなりました。で、ようやく分解してみれば中の汚いこと!!これはほとんどブレーキフルードの交換をしていない証拠です。ちなみにブレーキホースも過去交換した気配が無かったので全交換です。
 
さらに、ピストンにも錆が出てコーティングが剥がれていました。各部オーバーホールやホースの交換は想定内でしたが、ピストン交換は少し痛かったです。ブレンボのキャリパー、現行モデルはダストブーツが付いていないものもありますが、この車輌のころはダストブーツがあり、ピストンが露出したから錆びたというわけではありません。ブレーキフルードを定期的に交換していればこれは防げると思います。
 
ブレーキフルードは吸湿性が高く(DOT4以下のグリコール系のもの)、そのためブレーキ内に水分が混入しても、ブレーキフルードに吸われるため沸点が低い水という姿のままでいることはなく、ゆえに極端な制動力低下を防げるのですが(ブレーキライン内で水が蒸発して気体になるとエアが入ったことと同じになるので)、ブレーキフルードを長く使いすぎると吸湿も進んで接している各部品を傷めやすくなります。また吸湿したブレーキフルード自体も沸点が下がってしまいます。


 
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上の画像は前に撮っておいたものですが、この車輌はまだ納車から最初の車検も受けていないのにリアブレーキのリザーバタンクの中が真っ黒でした。いざ交換作業を始めると黒いブレーキフルードがいつまでも出てくる。ブレーキライン内のブレーキフルードまんべんなく劣化していたのでした。
 
新車を売って、お客さまにお渡しする前にロクな整備をしていない証拠です。モトグッチリパラーレは正直、新車販売数はものの数ではありませんが、買っていただいた方々、伝票を引っ張り出してみてください。納車整備料をきちんといただいておりますが、そのかわり、納車整備の中には全ての油脂類とブレーキフルードの交換が含まれています。
 
国産車ではありません。メーカーの工場で完成してからしばしのプール、箱詰め、港へ陸送、船で日本へ、もろもろの手続きを経て、お客さまがついたら納車。各オイルだって何ヶ月か経っています。2度の赤道通過だってしています。ましてやブレーキフルードは車輌組み立て時に入れられるのではありません。ブレーキメーカーでマスター・ホース・キャリパーが連結されてブレーキフルードも入れられて納入されるのなら、もっと時間が経過しているはずです。
 
この真っ黒ブレーキフルードの車輌は納車整備料は支払われていたのでしょうか?こういう車輌に接すると、新車の初期クレームのなかには販売店の納車整備で防げるものがたくさんあるような気がします。メーカーにとってもこういった面の改善は、遠回りであっても販売促進にも利すると思うのですが、まあ、たくさん売ってから言ってくれ、と言われそうですね。
 
ともかく、ブレーキフルードの定期的な交換は私のV65のような余計な出費を防ぐことにもつながります。ブレーキの整備は無視していてもそこそこ効きますし、車検も受かってしまいます(ただし車検合格は次の2年間の安全を保証するものではありません)。でも無整備はいつか必ずなにかのかたちでしっぺ返ししてくるはずです。


 
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いろいろ不具合の多いこのV65ですが、フロントフォークのダンパーはまだ機能してくれていました(ホッ)。でもそのかわりインナーチューブに錆が浮いていたので悲しいかな・・・・・交換します。インナーチューブの画像で右の2本が古いもの、左が新品です。ポチポチ浮いた錆が見えるだけのどうでもいい画像ですが、出費が大きかったので載せずにはいられませんでした(笑)
 
さて問題なのは右上の画像です。差し示しているカラーが一部潰されていました。
これはアウターチューブ内の様子を考えずにおおざっぱに組んだあと、切り欠きの位置があっていないにも関わらずドレンボルトを強引にねじ込んだ痕跡です。そうならないように、ドレンボルトを位置決めとして活用しつつ、本締めの前にはボルト穴から切り欠きの位置が正しく収まっているか確認する、など留意が必要です。
 
またアウターチューブとダンパーを結合するには下から10ミリ径のボルトで締めるのですが、アウターチューブのボトムのボルト穴には当然「遊び」があります。なのでアウターチューブとダンパーの中心が多少ずれて組まれることも可能なわけで、そうなると一見ちゃんと組まれているようでも、インナーチューブとアウターチューブが正確に平行に作動せず、ストロークさせるとフルボトムに近づくほど摩擦が増えてしまいます。
 
ではどうやってセンターをそろえて組むか?
ダンパーはインナーチューブの上から、アウターチューブは下からセットしてボルトで連結されます。ダンパーはまだインナーチューブにねじ込まずにボルトは手で締める程度の仮組みをします。当然組む前に画像のようにオイルシールを傷めないようにオイルシールとカラーにたっぷりグリスを塗ります。インナーチューブのボトムにはモリブデングリスを塗りこんで、オイルも塗っておきます。カラーの切り欠きが回ってずれないようにドレンボルトも仮に入れておきます。
 
仮組みしたら、アウターチューブをフルストロークさせます。・・・つまり縮めるわけですが、インナーチューブにまだねじ込んでないダンパーも一緒に上へあがっていきます。最後にインナーチューブのボトムがカラーにぶつかりますが、その時センターが揃っていなければゴスッと違和感を感じることができるはずです。カラーはフルボトム時にインナーチューブの底つきを防ぐとともに、テーパー加工されているのでそれを利用してセンター出しができるのです。つまり仮組み状態なので何度かコンコンと押してやれば、カラーが(そしてダンパーロッドのボトムが)アウターチューブ内で正しく中心に収まります。そこで初めて本締めするのです。本締めしたら念のためドレンボルトを一度抜いて切り欠きがずれていないか確認します。
 
こうして組めば、ストロークさせると気持ちよく動いて最後にトンと軽やかな音を出してボトムするはずです。余分なグリス等を拭き取り、フォークオイルを規定量入れてダンパーも締め込んだら完成です。


 
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続いてホイールです。
フロントのリムは表面が傷んでいたので再メッキして、スポークも新調しました。リアは・・・・・・16インチリムがついていたのですが、用途に即したタイヤの選択肢のこともあって17インチに換装しました。現行V7のリムを取り寄せて、こちらもメッキしました。ちょっと出費がかさみましたが、見た目だけではなく耐候性が増すことに期待しての決断(笑)でした。
 
少し無理するとグニャグニャ狂ってしまう自転車のホイールと比べて、オートバイの硬いリムはざっと組んだだけでそこそこのカタチになりますが、もちろんその先は縦振れ、横振れを丁寧にとっていきます。ここはもう、丁寧に、と言うしかありません(笑)


 
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ホイールが組みあがったら、チューブレス加工をしました。「えっ、そんなことできるの!?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実は以前お客さまから「こういうキットがあるから」と依頼されてやったことがあったのです。こういうやり方があるのか〜!というアイデア商品でした。
 
以前よりリパラーレではチューブが入っていたキャストホイールのモデル(ルマン1000以前、ほとんどがそうでした)にはチューブレス化することをお勧めしてきました。リムに大きな傷など密着性が乏しい場合は除きますが、まず問題はありません。チューブレス化する最大のメリットは、パンクしても瞬時に空気が抜けないことです。出先でパンクに気づいても刺さった異物を抜かずに置けば、空気の漏れはゆっくりなのでなんとか走り続けることができます。もちろんそれはあくまでも家まで、整備工場まで、安全地帯まで、という非常走行です。それなりに注意も必要です。
 
そしてこのチューブ用スポークホイールのチューブレス加工、私はいまのところ4本実施して成功率100%ですが、それなりに神経を使う、雑にやれば失敗もあり得る加工のように感じました。
またこの先タイヤ交換をしたりとか、さまざまに使用するうちに気密性能が変化しないかどうかもまだ体験していませんので、いまの時点で「リパラーレ推奨」ということでご紹介するものではありません。
 
極端な話、こういった加工を施すと何かの場合にメーカー保証が受けられなかったりということも考えられますので、ご依頼があればお受けしますが、いろいろご心配な方はやめておいたほうが良いかもしれません。(2020/7/26追記)その後ご依頼があって何本か作業しましたがやはり100%ではありません。この製品には不備無いようですが、元のリムがそもそもチューブレス用ではない為にビードやリムサイドから少しづつ漏れているようです。中には乗るたびに空気がぬけている方もいらっしゃいました。リムの加工などすれば成功率があがるかもしれませんが。
 
画像の最後はホイールのラバーダンパーを交換したところです。P系はファイナルギアのフランジがこのラバーダンパーに差し込まれています。そしてV系にくらべてよく磨耗・変形します。
ラバーダンパーはチェーン駆動・シャフト駆動ともにだいたいの市販車に装備されていますが、チェーン自体にも多くの遊びがあってショックが緩和されるチェーン駆動に比べて、シャフトドライブ車は駆動力がよりストレートにホイールに伝達されるので、ダンパーの仕事が重要です。フランジの爪を2つのラバーダンパーで挟み込むようになっていますが、おもに進行方向側のラバーダンパーがよく減るようです。タイヤ交換のときなどにチェックして磨耗が進んでいたら交換しましょう。
 
タイヤ交換時のチェックといえばホイールベアリングも同様ですが、ホイールベアリングがよくイカレるという方は、中のカラースペーサーの交換をお勧めします。
ホイールベアリングのアウターレースはホイールまたはハブの定まった位置に納まります。もし中のカラースペーサーが繰り返したアクスルナット締め付けやベアリングの異常(摩耗による振れなど)による潰れで規定値より短くなっていたら、ベアリングを新しくしてもアクスルナットを締めるとアウターレースの位置よりも奥にインナーレースが押し込まれるように圧力がかかってしまいます。その状態で回転させれば早期にベアリングの異常磨耗が進んでしまうのは自明の理でしょう。
 
モトグッチに限らずですが、「よく壊れるんだよね〜」というようなセリフの裏にはこのようなもっともな原因とそれに気づかなかった至らなさとが隠れていることがたまにあるようです。


 
mas
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V65 再生記 <6>

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エンジンの組み立てに入ります。一度組んだら次にいつお目にかかるかわからないクランクシャフトまわりから。
 
コンロッドをクランクシャフトへ組み付けます。メタル・コンロッドボルト、コンロッドナットは無条件で交換とします。メタルは1サイズしか供給されていませんが、クランクピンやジャーナル部の径が規定値内でしたのでそれを使います。もしピンやジャーナルの磨耗が生じて規定値以下になってしまったら、加工したうえでメタルを作らなければなりません。クランクシャフトを新調するよりは安いでしょうか?そもそもクランクシャフトこそがエンジンそのものなので、ここは換えたくないですね〜。
メタルを組み付ける際はコンロッドとメタルの間にオイルが入らぬよう、メタル裏にオイルをつけたりせず慎重にセットします。
 
ここで、メタルはポンと置いただけではコンロッドビッグエンドに収まらず浮いた状態になりますが、これはそのように「張り」を持たされているからです。指でやや強く押し込むと入りますが、それでもややコンロッドの合わせ面より端が少し飛び出てしまいます。これを「クラッシュハイト」といいます。
張りはメタル背面とコンロッドの密着を高めるために設けられています。クラッシュハイトもコンロッドボルトを締め付ければきっちりと収まり、張りと同様に密着を高める効果があります。先ほどのオイルをつけずに組んだことも同じ狙いがあります。それはメタルが受けた熱をコンロッドに効率良く逃がしたいからです。
 
エンジンをバラしたとき、メタルに磨耗や接触痕が認められないことはままあります。オイル管理が良いエンジン、適切な暖機をして、常用回転域が低くないエンジンがそれにあたるのかな?と思われます。ただ、見た目が傷んでいないと思って古いままのメタルを使うと、張りやクラッシュハイトが少なくなっているために、トラブルにつながる恐れ(熱伝導が悪いためメタルが高温になって損傷に至る)があるので注意してください。滅多に開ける場所ではないので適切な部品交換をしてください。
 
コンロッドビッグエンドを組む際にオイルを塗らずに置いたので、あとからオイルをさしているのが左下の画像です。クランクウェイトを上に持ってくるとオイルラインが見えて、そこにオイルをさすと斜め下にあるクランクピンにオイルが回ってくれます。
 
クランクケースの締め付けの際には内側の10mmのスタッドボルトと外側の8mmのスタッドボルトは当然ながら締め付けトルクが異なります。精密さが要求されるので合わせ面にガスケットは使わず、液体ガスケットを微量塗布します。このときオイルラインを塞がない注意も必要です。そして、外側の8mmスタッドボルト6本をケースに取り付けるときはネジロックを付けて"す"を通じたオイル漏れを予防しました。クランクケース合わせ面付近からオイルが漏れるという方は、この外から見える6本のスタッドボルトも疑ってみてください。


 
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続いてカムシャフトの装着。V系(ルマン系)とは違い、タペットにつばが付いているのでケースの内側からしか入りません。カムシャフトを抜かないとタペット交換はできないのです。タペット・カムシャフトにモリブデンを塗布して組みました。この時タペットをクランクケース内に落とすとルマン系とは違ってオイルパン側からは取り出せないので注意しなければなりません。
 
カムチェーンの装着はカムスプロケットがボルト留めなせいもあって比較的容易です。ここは当然のことながらポンチマークに留意して組みます。ところでこのシリーズ、P系エンジンのカムチェーンですが、ほとんどお目にかかりませんが、シリーズ(350ccと500cc)発売当初はダブルチェーンでした。が、その後シングルチェーンに変わっています。それはいつのことか、古いサービスインフォメーションを探してみたら1984年5月に来ていました。このときに650ccが発売されたと同時にダブルチェーンからシングルチェーンになったようです。
 
排気量もあがったのに、ダブルからシングルへ?
チェーンの性能が向上したのでしょうか?もともとダブルはオーバークオリティだったのか?いずれにせよ現行のV7シリーズまでそのままシングルチェーンが採用され続けています。
 
カムシャフトの奥に位置するホルダーにオイルプレッシャースイッチを装着したら安心です。このオイルプレッシャースイッチでカムシャフトがスラスト方向に動かないようにしています。ですから、スイッチを入れるまえに不用意にカムシャフトを回すとホルダーの穴がずれてしまうので注意しましょう。
スイッチの交換時も同様に注意しましょう。「あの〜、オイルプレッシャースイッチの交換しようとしたら新しいスイッチが入らないんですが・・・・・」とお電話をくださった業者さんもいらっしゃいます。


 
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コンロッドにピストンを装着します。マニュアルには60度で・・・と書いてありますが、ピストンヘッドだけでも少しの間熱湯に漬けて、スカートのあたりが手で「熱いな」という温度になれば、ピストンピンは指ですんなり入ります(もちろんモリブデン等塗りましょう)。わざわざ「ピストンヘッドだけでも」としたのは、こうしておけばリング溝など細部に水分が入らず、拭き取りに苦労したりせずに済むからです。
 
画像で使っている特殊工具は本来ピストンピンを抜くときに使うのですが、最後にピンを奥まで収めるのに叩いたりせずに済ませたかったので、これを使って適切な位置まで押し込みました。ピストンピンクリップも全て交換します。細かい部品ですが、ここまでやってわずかな金額のクリップをケチってトラブったらもったいないですから。
 
ピストンリングはよほど無理しなければ折れたりしませんが、慎重に溝に収めます。必ず上の面にマークがあります。そして、シリンダーに収める前に、合い口の位置を調整しておきます。
ピストンリングの合い口は、エンジンが稼動したらいずれ回ってしまうのだろうけど、少しでも良い結果が出るように考えて調整します。ピストンはわずかながらも首を振るので振れの大きい位置からは合い口を遠ざけてシリンダーへの影響を小さくできるように、3つのリングの合い口が近すぎないように、トップリングの合い口はプラグ(着火位置)からなるべく遠くに、などです。この結果1例として紹介しますが、今回はトップリング2時の方向、セカンドリング8時の方向、オイルリング4時の方向、としてみました。
 
いざシリンダーに収める前にはオイルとモリブデンをたっぷりリング溝にさして、よく馴染ませました。ちなみにピストン周辺の部品調達についてですが、同じ650であってもピストンピンの径が2種類あります。当然クリップも異なります。また同じ排気量同じボアであってもピストンリングのトップとセカンドが同じものを使っているものと、異なるリングを使っているものがあります。ご注意ください。


 
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ちょっと時系列は前後してしまうのですが、左画像はシリンダースタッドボルトにネジロック剤を付けているところ。ネジロック剤は嫌気性と言って、空気から遮断された状態になると硬化が始まるのです。画像ではボルト側だけに多く塗ると溢れてしまうだけなので、ケース側にも塗っておいて、ほどよくネジ全体にネジロック剤が回ってくれるよう工夫してみました。
 
ちなみにシリンダースタッドの場合も、スタッドボルトの固定だけではなく"す"によるオイル漏れの効果にも期待してのネジロック剤塗布です。ただこのシリーズのエンジンのシリンダースタッドは画像左の上2本のスタッドはヘッドの外には出てこないので問題ありません。が、画像右下の2本のスタッドからオイル漏れが起こると厄介なことになります。
 
画像右上はピストンリングを押さえつけてシリンダーに収められる特殊工具。これが無くても丁寧にやればリングは収められますが、スピードがまるで違います(笑)
そして右下の画像。ここはこのP系エンジンの弱点と言ってもよいでしょう。シリンダーの外側、この部分はヘッドを潤滑したオイルがクランクケースに戻ってゆく(重力により落ちてゆく)トンネルです。が、その外側の壁が少し薄過ぎました。オイル漏れを防ぐのに充分なガスケットの面積(幅と言いましょうか)が確保されていません。ここはオイルを圧送しているわけではないので、ダラダラ流れるような漏れ方はしないのですが、じわじわと漏れてくることがありますので、液体ガスケットを塗布しました。
せめてここにもう1本スタッドボルトを立てておいてくれたら、密着が増してオイル漏れを防げたのではと思います。

 
 
V65_024.jpg
 

シリンダーにヘッドを載せて、いざ締め付けは画像のロッカーアームセットと共締めになるのもこのエンジンシリーズの特徴です。左上の画像で2本のピンの磨耗の差がわかると思いますが、中古と新品というわけではありません。このピンはストレスのかかる方向が決まっていてそちらの面だけ磨耗が進むのです。
それは上か?下か?どちらかわかりますか?
下からプッシュロッドに押し上げられてピンを支点にバルブを押し下げる・・・・・ので、ピンの下側のストレスが大きいのです。ですからここをバラすチャンスがあれば、なるべく磨耗(当たり)が少ないほうを下にして組むようにして偏磨耗を防ぐようにしています。画像のピンは恐らく一度もはずされた事が無かったのでしょう。片面は完全にキレイな状態でした。
 
画像左下を見るとピンに設けられた切り欠きがあるのがわかると思います。これはオイルラインから送られたオイルがラバースリーブ内の通路とピンの切り欠きを通ってロッカーアームやバルブステムトップを潤滑していくためのものです。さきほど、ピンの上下の面を入れ替えていると書きましたが、切り欠きの向きにも注意して組まないと通路が塞がれてしまい潤滑不良の原因になります。
 
画像右はオイルパンを付ける直前。P系エンジンはオイルパンを開けなくてもオイルフィルターが交換できますが、皆さんが思ってらっしゃるよりここには多くのスラッジが貯まっています。たまにはオイルパンもはずして、ストレーナーも分解して掃除してもよいでしょう。
 
そしてV系エンジンとの大きな違いのひとつ、P系エンジンのクランクケースには隔壁「バッフルプレート」が設けられていて、画像をご覧の通りクランクシャフトが見えません。高速で回転するクランクシャフトにオイルパンのオイルが当たって抵抗になってしまうのを防ぐと同時に、クランクケースの剛性増も稼いでいるものと思います。
決してざんぶりと大量にかかってるわけでもなさそうなオイルの接触抵抗ですが、レーシングエンジンにはクランクウェイトの回転方向(オイルが当たる方向)を流線型にして抵抗を減らそうとしているものもあるほどです。


 
V65_025.jpg
 

シリンダーヘッドを組む場面は撮り忘れていました。エンジン完成間近でテンポよく作業していたのでしょう。また、この稿はずいぶん長くなってしまったようです。V系とP系の違いもあって、モトグッチメンテナンスブックでは触れられていないことなどご紹介しようと書いていたらダラダラ長くなってしまいました。
 
最後にクラッチを組みます。画像の通り、クランクシャフトの回転をロックする特殊工具、クラッチプレートのセンターを出しつつホールドする特殊工具はV系のものと異なります。ボルトは硬度が高い特殊ボルトが使われていますが、オーバートルクをかけると伸びてしまいます。気持ちとしてガッチリ締めたい部分ですが、オーバートルクは禁物です。伸びて重くなったボルトは使わない。締め付け途中でなかなかトルクがあがらない気配を感じたらボルトを切ってしまう前に作業をやめてボルトを交換する。注意してください。
 
エンジンが完成しました。フレームを載せたらグッとオートバイらしくなるでしょう


 
mas
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Mandelloの怠慢!!??

新しいスイングアーム???
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RIPA-Shiga
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V65 再生記 <5>

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今回はトランスミッションの組み立てです。
  
画像はレイシャフト(メインシャフトから駆動を受けて、減速してドライブシャフトに伝達する)です。図面はV65シリーズのシャフト・1stドリブンギア(右端)・シム・ウェービングワッシャー・ベアリングの位置関係が3種類あることを説明しています。
 
単純にパーツリストだけ見て判断すると現物との相違に戸惑ってしまうので要注意です。パーツリストは一般に初期型のカタチに沿っているからです。このミッションは3rdバージョンでした。
ちなみにこの画像のもっとも右側に位置する1stドリブンギアが、再生記<3> で書いたギアです。部品がそろったので組み立てにとりかかりました。
 
そろそろ組み立ても始まって、その様子も少しづつご紹介しています。実際、今回のようなトランスミッションの分解・組み立てなどされる方はそういらっしゃらないでしょうが、モトグッチメンテナンスブックでは触れられなかったモデルですので、違いなどを一部でもご紹介できればと考えています。


 
V65_016.jpg
 

この350・500cc・650ccそして750ccまで使われたトランスミッションですが、エンジン型式がPを頭文字にしていたのでP系としましょうか、同時期の850cc・1000cc(同様にV系)とは異なり、短いクラッチシャフトで1次減速をして、3分割のケースで構成されています。
 
シャフトへベアリングを圧入、ケースへ組み付け、などなど。作業工程をいちいち細かく書きませんが、何点かだけ・・・・・。
 
シフトリターンスプリングも交換します。この組みつけはV系と異なり、足を開いて組みます。メンテナンスブックはV系を例に説明していますので注意してください。
ところでこのスプリングですが、特に異常が認められないのに交換するのにはわけがあります。あくまでも私の経験則なのですが、中古車納車後など、オーナーが変わったあとになぜかこのスプリングが折れることが多いのです。このスプリングが折れるとシフト操作に支障をきたすので、新しいオーナーの方にとっては買ってすぐにとんでもないトラブルが生じることとなります。
 
この現象はなぜ起こるのだろうと考えましたが、もしかしたら作動速度の差に原因があるのではと思いいたりました。たとえばシフトペダルの操作時、すばやくガチャっと入れるか、押し込むようにコクッと入れるか?スプリングにとって、馴れ親しんだ作動速度があって、オーナーが変わったあと、それとは異なる速度の入力があるとそれが金属疲労につながって、あげく折れてしまうのでは?????スプリングにそのような"くせ"がつくのか?専門家に聞いてみたいところです。
 
ベアリングのケースへのかん合時にはロック剤を塗りますが、この場合に限らず、どこに塗るかによってロック剤がはみ出る方向が異なります。ケース内に落ちたり回転部位にかかってしまったりしないようどの部品のどの部分に塗っておくのか?という注意が必要です。
 
また画像ではさらにポンチでベアリングを押さえています。強い駆動力がかかるので、ケースとのかん合が甘いとベアリングにクリープ(現象)が生じて、ベアリングのアウターレースがシャフトの回転と反対方向に回されてしまうのです。
ある方向から見たとき、シャフトが時計回りに回っているとすると、ベアリングのインナーレースも一緒に時計回りに回り、ころ(ボールやローラー)のひとつひとつは反時計回りに自転します。そうすると、ころの相手側であるアウターレースにはころによって半時計回りの方向に応力がかかります。もしケースとアウターレースのかん合が甘ければ徐々に反時計回りに回されてしまい、さらにケースの変形を招いてしまうのです。ちょっと長い説明になってしまいましたが、イメージしていただけましたでしょうか?

 
 
V65_017.jpg
 

上の画像はクラッチシャフトです。ポンチが写っている画像のあいているベアリングに収まります。中をクラッチプッシュロッドが通っているので、オイルシールが必要になるのですが、問題はその向きです。ついつい指で持っているオイルシールのように上向きにしたくなってしまいますが、このシャフトでの「ケースの外側」は下ですので、下向きにつけなくてはなりません。
 
もしこれを間違えて組んでしまったら・・・・・・・走り出すとミッションオイルが漏れ始め、ここから出たオイルはすぐにクラッチプレートを濡らしてしまうので、クラッチが切れなくなったり滑ったり、再分解になります。オイルシールだけではなくオイルを吸ってしまったクラッチプレートも要交換となりますので被害甚大なのです!!!
 
クラッチシャフトには(アウトプットシャフトも)Oリングをかけるのも忘れずに。最後にオイルシールのリップが当たるカラーを入れてロックナットを締めます。カラーは下に内側のオイルを止めるOリング、外側にオイルシールが当たるのでシリコングリスをたっぷり塗りました。
 
ロックナットをロックして、ケースが組みあがりました。


 
V65_018.jpg
 

ついでクラッチプッシュロッドも組んでおきましょう。
まずはパーツリストの画像から。このプッシュロッドの向きは逆です。なぜわざわざ逆に書いたのか不明ですが、逆です(笑) 細いほうがクラッチ側になります。太いほうは後ろのレバー側のカップに入るので、間違えて組もうとしてもカップとロッドの径の差に違和感を感じて気づくかもしれませんが。
 
私のプッシュロッドはパーツリスト「A」のオイルシール(既出の小さいオイルシール)のリップの部分で偏磨耗が起きていました。・・・・・・・交換です。ロッドが2本並ぶ画像では右のものが後年式の新しいもので、レバー側のカップに入る部分に螺旋の溝がきってあります。回転によってカップの奥にオイルを送り込めるようになっています。またこの画像では見られませんが何箇所か焼きが入れられて強度を与えられています。こうした改良の恩恵も受けられるので要交換部品の追加追加あいつぐ追加も喜んで・・・・・受け入れることとします。
 
ボール盤の画像はプッシュロッドをコンパウンドで磨いているところです。特にオイルシールが当たるエリアと、パーツリスト「B」の段差の部分です。
プッシュロッドは細いほうから差込み、オイルシールに太いほうが入るまで入れなくてはならないので、オイルシールリップが段差を通過するときに傷まないよう、段差に「少しでも丸くなれ!」と念をこめながら磨きます。
 
そして、グリスをたっぷり塗って、カップやスラストベアリングとともに装着。トランスミッション完成となりました。
 
 
 
 
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さて、ここまでの画像をご覧になって気づいた方はかなり少ないと思いますが、まずこのシリーズの前提として、私が再生しているモトグッチは650ccだということ。であればトランスミッションは650cc用のものであるということ。このトランスミッションは外観は350から750まで同じであっても、中身は排気量に応じて2つに分かれているのです。この年代で言うならば350・500・650ccと3種類に。
 
先にクラッチシャフトと紹介した画像のうち、クラッチプレートとともに撮影したものがありますが、違和感を感じませんでしたか?クラッチシャフトのボス、クラッチプレートに収まる部分ですが、350・500ccのものは細く、650ccのものは太いという基本認識がありました。
ところが、今回の整備を始めるにあたり、ボスが細いほうであることが判明しました。


 
V65_019.jpg
 

650cc用のクラッチプレートを置いてみました。シャフトより受け手のクラッチプレートのほうが径が大きいのがわかると思います。
 
しまった!!なぜかわからないけど小さい排気量のトランスミッションだったのか!?と当初思っていたのでしたが、よくよく調べるとギア比は650ccのものだったのです。もう少し細かく書くと、ギア比は650cc、クラッチボスは350〜500cc、1次減速比は500ccのものでありました。元になった650フロリダのデータとは異なっていて、これはもしかしたら650ccを造り始めた初期〜過渡期のかも?とも思いましたが、そもそもフロリダ自体が650ccシリーズのなかでは後年式にあたるのでそれも違うようです。
 
謎が解消できないまま、このトランスミッションを使うかどうか悩みました。なぜなら、650cc発売当時にクラッチシャフトのボスが太くされたのは、排気量アップに伴って増大したトルクに対応するためにほかならないからです。ちなみにクラッチシャフトを太いものに換えることも考えましたが、それに伴ってベアリングも大きくなるのでカバーの交換か加工が必要になってしまいます。
結局、このトランスミッション自体は20000kmほど650ccのエンジンとともに走っていたのは間違いないので、現状特にトラブルが起きていない様子から、このまま使ってみることとしました。
 
果たして後年、トルク差に負けてこの部分にトラブルが生じるのか?もし壊れてしまったらイタリアのモト・マフィアにお願いして中古の正真正銘650cc用のトランスミションを入手することにします。


 
 
 
mas
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V65 再生記 <4>

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今回はシリンダーヘッドを組み始めます。週に1回か2回、終業後にひっそり作業しているだけなので非常にゆっくりと進行しております(笑)
 
バルブとバルブガイドは振れが出てましたので交換します。メーカー指定の許容最大値は直径で0.055mmなのですが、画像のようなチェックもできます。
 
バルブガイドの頭を指で押さえて、バルブを勢いよくパッと抜く!すき間が小さければポンっと音がするのです。わたしのヘッドは・・・・・音がせず、ヌルッとバルブが抜けてきました(泣)


 
 
V65_012.jpg
 

このシリーズのエンジンは、現在のセールスの中心機種になったV7まで引き継がれてとても息の長いものになりました。2本のバルブはまっすぐ垂直に並び、ピストン燃焼室を持つ、シンプルというか地味な印象を受けるのですが。
 
でもそのおかげでプレスを使ってバルブガイドの交換ができるのです。お客さまのエンジンの場合はエンジン加工工場に依頼するのですが、自分のエンジンなのでせっかくだからトライしてみましょう。
 
まずヘッド全体をよく加熱してからガイドを慎重に抜きます。そして新しいガイドを傷めないよう特殊工具も使って圧入します。そしてゆっくり自然に冷やす。
 
ガイドはあらかじめバルブを通してチェックしていたのですが、圧入後は狭くなってバルブが入らなくなります。そこでリーマ通しをして内径をバルブステムに合わせてゆきます。削りすぎたらアウト!!自分のなので極力クリアランスを小さくしてみたい、でも狭すぎて焼きついたら・・・・・なんとも神経を使う場面が続きます。


 
 
V65_013.jpg
 

続いて擦り合わせをします。
と簡単に書きましたが、ピンとこない方のためにもう少し書くと、新しいバルブガイドとバルブをシリンダーヘッドに組むので、バルブシートとバルブの密着を良くするため(密着が足りないとよい圧縮が得られません)の作業です。
 
バルブとバルブシートの当たり面にコンパウンドをつけたうえで、エアフラッパーを使ってバルブを高速で往復させバルブシートに打ち付けることによって双方の当たり面がなじむ(微量に削られる)のです。バルブが並んだ画像の左のインテークバルブに白く当たりがついた跡が見えますでしょうか。これは少々頑張りすぎてしまいました。少し当たりが広すぎています。
 
その次の画像は下準備を終えていよいよシリンダーヘッドに各パーツを組み込むところですが、まずバルブステムにモリブデン・ペーストを擦り込んでいます。ブラシでゴシゴシやります。普通に塗布しても作動初期の潤滑不良を防ぎますが、擦り込むことによってその効果が増すのです。



V65_014.jpg

いよいよ組み付けです。コッターに脱落防止のグリスをつけてバルブステムに置いてゆきます。ちなみにバルブステムとコッターとリテーナーのマッチングは事前にチェックして、どのバルブをどこに使うかも最初に決めてから各作業をしています。
 
バルブを組んだら、ハンマーなどで軽くショックを与えて収まりをチェックします。・・・・・が、余り強く叩いたり、斜めにショックを与えたりしたら鋳鉄製のバルブガイドがコロッと折れてしまったりするので要注意です。
 
こうしてシリンダーヘッドが完成しました。


 
 
mas
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V65 再生記 <3>

V65_007.jpg
 

エンジンに続いてトランスミッションも分解しました。全ベアリングの交換を前提とした分解なのでそこはよいとして、そのほかはたいていの場合何も起きていない部分のはずでしたが・・・・・まさかの1速ドリブンギア(右画像上部のもっとも大きいギア)の錆・腐食を発見しました!!!
 
まあ「開けておいて良かった」ということになります。急遽部品を手配しましたが、なぜかキレイにギア1枚だけのダメージです。走り始めてからミッションケース内で起きた(水分・湿気により)というより、組み込み前に何かしら原因があったのでは?と思わせるものがあります。


 
V65_008.jpg
 
続いてはファイナルミッション。
 
ピニオンシャフトをホールドするテーパーローラーベアリングのガタ発生は想定内でしたが(ガタが無くても、ベアリングはもちろん交換予定だったので)、こちらにもまさかの事態!!異常磨耗が起きていました。ピニオンギアにかじったようなキズ、リングギアには妙に滑らかに潰されたような磨耗。
 
これはオイル管理の悪さが原因かと思われます。定期的なオイル交換を怠ったか、不適正なオイルや粗悪なオイルを使っていたか、このまま走れば恐らくヒューンヒューンと唸り音が聞こえるでしょう。・・・・・・と、他人事のように書いていますが、正直これは手痛い出費になりました。
 
整備履歴の見えない中古車を買うときは、内部でこういうことが起きているものだと考えてください。「調子はいいですよ!」と言うセールストークはごく普通に聞きます。ですが、わざわざファイナルミッション内部まで確認してそう言っている業者がそうそういるとは思えませんよね?
 
もちろんリパラーレでも中古車販売時になかなかそこまで(ファイナルミッション分解整備)はいたしません。ただし、それは前オーナーの施した整備履歴がわかっているからであって、定期的な整備をしていれば異常は起きていないと推測できるからなのです。
 
V65_009.jpg
 

トランスミッション・ファイナルミッションの分解整備では、ベアリングを抜く作業が発生しますが、これは無理やり叩き出したりせず、ケースを加熱したうえ、必要があればプレスを使用して慎重に抜くことが大切です。
 
ケースはアルミ合金です。幾度もベアリングの出し入れをすれば甘くなっていってしまいます。オートバイの車歴のうち、そう頻繁にやる作業ではありませんが少しでもダメージ(変形など)を防ぐ用心が必要になります。 
 
加熱する効果はなにかと言いますと、鋼鉄のベアリングよりアルミ合金のケースのほうが膨張係数が高いので、その差によって"かんごう"が甘くなって抜き易くなります。ちなみに加熱後は決して急冷せず、緩やかに自然に冷やしてケースにひずみが生じないようにします。


 
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エンジン・トランスミッション・ファイナルミッションを全て分解しました。傷んだ塗装・錆などを落として、ネジ部のロック剤なども落とし、キレイさっぱり!いよいよ組み立てに移ります。


 
 
mas
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V65 再生記 <2>

V65_004.jpg
 

V65の作業はゆるゆると進んでいます。エンジンの分解をしつつパーツのチェック・・・・・いや、そもそも分解はパーツをチェックし、必要とあらば交換するためにするんですね。また、分解したら再利用はしない部品もあります。コンロッドメタルやコンロッドボルトなどがそうです。
 
たまに「腰下(シリンダーより下、クランクシャフトまわりを指して世でよく言われている表現)の整備は走行何kmくらいでやるんですか?」とお客様に聞かれることもあります。また私がこんなことをしているので「ヤラネバナラナイ」と強迫観念にとらわれてしまう方が出るかもしれません。
 
が、基本的には何kmでやらなければということはありません。もし異常を感じることがあればそれを解消するために着手すればよいと思います。エンジンはオートバイの心臓であり、エンジンの肝がクランクシャフトです。モトグッチはシンプルで頑丈なクランクシャフトを堅牢なクランクケースでホールドさせています。普通に使っていて、オイル管理等のメンテナンスをきちんとしていれば滅多に壊れるようなところではありません。
 
ちなみに数年前に私のカリフォルニアが走行10万kmを越えたとき、若干のオイル消費もあったので「いい機会だから」とエンジンの整備をしましたが、それでもヘッドのオーバーホールやピストン&リングの交換などシリンダーから上がメインで、「ついでに」コンロッドビッグエンドをばらしてチェックしましたが、何も起きていませんでした。(何も無くてもコンロッドボルト、メタルは無条件交換しました)
 
今回のV65は「使えるエンジン」ということで輸入しただけで、実際の状況は皆目わかりませんでしたし、「中身を新車のようにして」乗ろうと思いましたのでこのような作業をしています。


 
V65_005.jpg
 

さて、さも「やらなくてよい整備」かのように書いていますが・・・・・・・恐らくなにもないと油断していたらクランクシャフトのスラストメタルが潰れていました!!画像左側の半円形の部品です。
これはクランクシャフトが前後に動きすぎないようクラッチ側でクランクシャフトをホールドしている部品です。クランクケースとクランクシャフトをじかに接触させず、自身もオイルによって磨耗から守られている、はずなのですが、これは後ろ側が偏磨耗していました。ひょっとして前オーナーはクラッチレバーを握ったままでいることが多かったのか?この傷みようはもしかすると異物を噛んでいたのかもしれません。前段と矛盾しそうですが、やはり整備に無駄は無いものですね〜(笑)
 
画像右はクランクシャフトのメクラ蓋を外して、クランクピンのジャーナル内に溜まったスラッジを掃除しているところです。これはこんな時でもないとできない整備です。クランクシャフトジャーナル内をオイルに混じって通過していたスラッジが強大な遠心力で内壁にこびりついているので、これを掃除します。その後メクラ蓋にネジロックを塗布して組み付けました。


 
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これはオマケもいいところなのですが、こんな時でもないとできない作業をもうひとつやりました。ケース上部のリブに水抜き穴を開けたのです。お気づきですか?洗車のあとでなかなか消えない溜まり水・・・・・。ミッションケースにも溜まりやすい箇所がありますよね?
 
スタッドボルトは全て一度はずして、いざ組み付け時にはシール性のあるネジロックを塗布して再装着することになります。実はここからオイルが出てくることもあるのです。鋳造されたクランクケースに「す」ができていて、そこを通じてオイルがにじんでくるようです。最初は出ていなかったのに何年か乗っているうちに「す」が通じたのか、オイルが出てくることもあります。
 
「す」というのは鋳物の部品内部に残る小さなすき間(空洞・割れ目?)です。鋳造の過程のうちおもに冷却&収縮時にできるそうで、なかなかこれの発生をゼロにはできないそうです。
さきほどケースのリブに水抜き穴を開けたことをご紹介しました。あれは薄いリブなのでやりましたけれども、鋳物の部品にあとから穴を開たり加工するのはなるべく避けたほうがよいかもしれません。例えばシリンダーヘッドのツインプラグ化やオイルラジエーターの増設のためにオイルラインをあけるなどする際、潜んでいる「す」に通じてしまってそれまで無かったオイルにじみが発生した事例があると聞いたことがあります。なかなか難しいものですね。
 
クランクケースは塗装を剥がして塗りなおすつもりだったのですが思ったより地肌の傷みが無く、「このままでもいいかなあ?」などと・・・・・・・
いろいろ楽しんでおります(笑)


 
 
mas
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