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東京モーターサイクルショー 2014

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去る3月28日、東京モーターサイクルショーに行ってきました。3週間も経って今更ですが(笑)
 
モトグッチブースは、ピアッジオグループジャパンの一角にありました。でもなんだか一番奥で目立たなかったのが残念です。4メーカーを出展するグループなので仕方ないのですがどことなく序列を感じます(笑)。愛が感じられないと思ってしまうのはグッチストのひがみでしょうか?まあでもいいでしょう、金主が次々に変わってもモトグッチの強みは、ゆるがないアイデンティティを持っていることなのですから。陽が当たっても当たらなくてもそこに変わらず存在できるのはしっかりした歴史と多くの古いファンを持つ厚みによるものでしょう。
 
ブースにはカリフォルニア1400をメインにV7が展示されていました。このカリフォルニアはモトグッチの最大排気量エンジンを搭載しています。そういえばスズキブースには昨秋のモーターショーにも出されたリカージョンという600cc並列2気筒インタークーラーターボ車が出ていました。これは4輪車での省エネ技術として定着しているダウンサイジングという手法にそっているのでしょう。エンジンを小型化(小排気量化)して、過給機で補うのです。排気量を小さくして、従来捨てるだけの熱量だった排気ガスを利用してパワーを得る。高効率化、低燃費化の手法と言われています。

 

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さて一方モトグッチのカリフォルニア1400はというと、排気量を増すことで希薄燃焼でもトルク(トルク感)を得られるようにしているのだと思います。そうして排ガス規制をクリアしつつユーザーの要望に応えて従来の乗り味をなるべく失わないにしている。この小排気量化と大排気量化を比較して、どちらが正解というものでもないと思いますが、後者のほうは今後の開発には苦労するんじゃないのでしょうか。このカリフォルニアでボアが104mmですが、これをあと何ミリ広げられるでしょう?火炎伝播の速度以上にボアを広げても混合気を燃やしきれないのでガソリンエンジンのボアにはある程度限界があると言われていることとオートバイである以上スペースにも制限があるからです。
 
ボアについてはツインプラグで対応すれば?と言う向きもあると思いますが、着火点を倍に増やしても燃焼時間が半分になるわけでもありません。現実にはプラグをつけることができる場所は所詮限られているので、それが燃焼時間短縮のための最適な位置にあるわけではないからです。ほかにボアが大きくなれば大きくなるほど熱ひずみによるオイル消費の増加の懸念も考えられます。
ちなみに、よくガソリンエンジンのボアの限界は150〜160mmと言われるそうで、それは20世紀前半の航空機レシプロエンジンの開発のなかで出た数字だということですが、これをオートバイエンジンの参考にするにはやはりスペースの問題と、どこまで回転数を上げられるかという問題があるように思います。

 

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さて、車体メーカーのブースを離れてさらにウロウロしてみます。
モーターショーと違ってパーツメーカーの技術的な展示は少ないなか、MITSUBAのブースに展示されていたブラシレスACGスタータ(ACG=ACジェネレーター)など眺めていましたら、スタッフの方が「今日は何をお探しですか?」と声をかけてくださいました。慌てて「いえ勉強しようと思って見ているだけでして・・・・・汗」
スタッフさんが「アイドリングストップのニーズから」とおっしゃる、私が見ていたACGスターターは従来使われているACGと同じサイズですが、これで始動できるのは150ccエンジンくらいまでだそうです。

ちなみにさらに大きいエンジンを始動するには、より大きなトルクが必要→強い磁界を得るためにステータコイルの巻き数を増やす(電流を変えないという前提)→巻き数とともに長くなるので抵抗が増えるので電線の線径も太くする必要がある→モーターが大きくなる。他にも要素があるかもしれませんが基本的にはこうなると思います。ですので発電に足るサイズであっても大型バイクのエンジンを始動するには小さすぎるのですね。

さらにスタッフさんは「センサーのスペースも必要ですので」ということをおっしゃいました。「ん?センサー?」と内心思いつつブースを離れた馬鹿な私は、マブチモータのように「電気を流せば回る」くらいなイメージで話を聞いていたわけです。元はACGだから恐らく3相(MITSUBAのHPにはそこまで書いてありませんでしたが)なので、センサーから角度情報を得て順番に電流を流す。脳内妄想空間でリニアモーターカーがゆっくり走り始めました。
ときどきお世話になる知恵袋氏に電話すると、1極に電流を流して磁力を発生させたあと2極めにはじわっと電流を流して磁力を増し1極めに引っ張られていたバランスを崩して(123123と繰り返し)回転につなげる、という説明をしてくれました。「じわっと」というコントロールまでやっているのですね。




せっかくなのでモトグッチにアイドリングストップ機構が搭載されるか考えてみました。コストなどは別として。

まず、アイドリングストップという行為は省エネとCO2排出低減に有効な手段です。とはいえエンジンを切ってからセルモーターでの再スタートを繰り返すとバッテリーの消耗と接点を有するセルモーターの損傷が心配です。それ以外にも日本自動車工業会はエンジン停止中に「エアバッグなど安全装置や方向指示器が作動しない」こと、オートバイには関係ないですが「ブレーキを何度か踏むと効かなくなる」(サーボが効かないので)ことなど手動アイドリングストップの注意点を挙げています。



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ということから、できることなら採用したいACGスターターですが、モトグッチは他社に比べて搭載しやすいエンジン形式かと思います。いにしえのV7やBREVA1100以降のモデルで発電機を置いているように、Vバンクのあいだに大型化したACGスターターを置くスペースがあるからです。ただ、大型化と言ってもコイルの巻き数を増やすためにACGスターター本体の径が大きくなりすぎるとVバンクに収まらなくなります。ステータを複列化(缶入りパイナップルの切り身が重なっているイメージ)することで巻き数を増やすということはできるのでしょうか。
次にクランクシャフトがジェネレーターを回す分にはよいとして、始動時にスターターがクランクシャフトを回す高トルクにベルト駆動で耐えられるでしょうか。V7やBREVAではベルトのスリップを防ぐためにオルタネーター自体の位置を調整することでベルトの張力を得ていますが、4輪車のシステム(4輪では統合型スターター、ISGシステムと呼ぶようです)を参考にすると、より大きな減衰力を発生できるテンショナーをあらたに装備しないとやはり無理なようです。
もうひとつはバッテリーの問題です。大容量バッテリーを積むために車体設計からバッテリースペースを考え直さないとならないでしょう。頻繁にアイドリングストップした際の対策も必要な気がします。大電流充電に耐えるバッテリーとか、残電力が少なくなったらアイドリングストップを自動停止するとか。でも残電力は電圧だけではわからないのか・・・。また知恵袋氏に電話しないとならないようですね。

結論ですが、こうしてみるとモトグッチへのアイドリングストップ機構搭載は意義は多少あれど、まだまだ難しいように思います。そのぶんパーキングエリアなどで長いアイドリングをさせたり空ぶかしをしたりの無駄な行為をやめたほうがよほど・・・・・と走り回って何も無し(笑)な話になってしまった東京モーターサイクルショー脱線レポートでした。



mas

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