いわゆる味について

 日本の家庭で毎日のようにでてくる味噌汁。この単純なようで奥深い味わい。しかもそれぞれの地方に文化が育っていったように、味噌汁にもその地方独自の味があります。頭に浮かぶだけでも東北あたりでは、中に入れる野菜の味を引き出す、大豆、麦、麹から出来た少し辛目のみそを使った味噌汁。中部岡崎あたりでは、八丁味噌に代表される「コクのあるしっかりとした味わい」の味噌汁。上方といわれる近畿地方では、白味噌を使った出汁のうまみと一体になった上品な味わいの味噌汁。

 どの味もそれぞれのうまみとバランスを取って、料理の一品として成立しています。しかし、主張の強い野菜に上品な白味噌を組み合わせ、野菜の味が強すぎたらどうでしょう。またアサリに塩辛い麹みそはどうでしょう。最初は目先が変わって新鮮味はあるでしょうが、おいしさという料理の本質から離れたものになっているのではないでしょうか。

 それは今私たちが楽しんでいるバイクや、くるまの本質と同じものだと思います。よく雑誌などには「このバイク(くるま)は味のある走りをする」などとあります。口の悪い友人は、「じゃあどんな味なんだ?技術力がなくて製品化できないから「味」という言葉で誤魔化しているんじゃないのか」などと憎まれ口をたたきますが、それは違います。

 最近子供を育てて感じる事に、子育てと製品を作ることは似ているのではないか?例えば、苦手なことを一生懸命勉強して平均的な「可もなく不可もなく」という、いかにも八方美人的な個性のない人間になってほしいのか。それとも良いところをさらに伸ばして個性的な人間になってほしいのか?という問いと、バイクやくるまの乗り味というのは、同義語だとやっとわかりました。

 一概にはいえませんが、バイクの挙動のネガティブな部分はそのバイクの良いところを生かすためにあり、そのネガを消すためには長所も消えてしまうのではないか。

 みなさん。モトグッチはゴルゴンゾーラのように味わい豊かなモータサイクルです。高速道路を一日1000km走るのに気負わなくても誰でも出来るし、ばりばりに渋滞していなければ街中でも、もちろん峠でも楽しいモーターサイクルです。私はこの味の濃さを薄めない「長所を生かした乗り方」をこれからも楽しんでいきたいと思います。みなさんと、よく冷えたビアンコと共に。

text = sato hideo